大手3キャリアが、冬春商戦に向けた新製品を続々と発表している。
NTTドコモの目玉は、初のNTTドコモブランドで販売されるスマホの「MONO」。一括価格が648円と超格安なのが特徴で、機能やデザインなどはシンプルに仕上げている。
NTTドコモ代表取締役社長・吉澤和弘氏によると、MONOは、「今までなかったローエンド」という位置づけ。NTTドコモがデザインや品質などに責任を持ち、低価格だがきちんと“使える製品”に仕上げている。
今回は、NTTドコモを筆頭に大手3キャリアの最新スマホから各社の戦略をレポートしていく。
大手3キャリアの最新&注目スマホをチェック
iPhoneを筆頭に、XperiaやGalaxyなど、スマホはグローバルメーカーの存在感が大きい。各キャリアとも同じメーカーから調達するため、以前より端末での差別化がしづらくなっているのが現状だ。
こうした中、auはオリジナルブランドとして「Qua Phone」や「Qua Tab」を開発。夏モデルとして、LG製の「Qua Phone PX」や「Qua Tab PX」を発売した。
NTTドコモはオリジナルブランド「MONO」を用意
MONOは、NTTドコモのオリジナルモデルとして作り込んだ端末。製造こそ中国メーカーのZTEだが、そのメーカー名は伏せてあり、壁紙や着信音に至るまで、NTTドコモの色で染め上げられている。
Androidでは珍しいマナーモードスイッチを搭載するなど、機能面での使い勝手にもこだわった。
マナーモードスイッチも装備している。
NTTドコモがMONOを投入したもう1つの背景には、勢いを増すMVNOの存在がある。MVNOは安価なSIMフリースマホと組み合わせて使うのが一般的で、「格安スマホ」とも呼ばれている。全スマホに占める、SIMフリースマホの割合も上昇中だ。
特に価格にセンシティブなフィーチャーフォン(ガラケー)ユーザーが、スマホに切り替える際にMVNOに移るケースが増えている。ここに価格面で対抗することで、流出を食い止める効果もありそうだ。
キャリアごとの差別化という意味では、NTTドコモは他社にない「Xperia X Comapct」を独占提供する。依然として人気の高いフィーチャーフォンには、Android OSをベースにしたLTE対応モデルの「AQUOSケータイ」と「P-Smart」の2機種を揃え、月1,800円からの割安な料金プランも用意した。
auの「isai Beat」はグローバル版に近くなった印象
対するauやソフトバンクは、冬春モデルで独自性を十分出せていない。auはオリジナルブランドの1つだった「isai」の最新モデル「isai Beat」は、機能やデザインがNTTドコモの「V20 Pro」とほぼ同じで、グローバルモデルに近い位置づけになってしまった。もう1機種のXperiaとなる「Xperia XZ」は、3キャリアから発売される。
KDDI広報部によると、「冬春モデルはまだ用意している」というが、現時点ではインパクトに欠ける印象が否めない。
ソフトバンクは「Xperia XZ」などを発売
同様にソフトバンクも「Xperia XZ」や「AQUOS Xx3 mini」などを発表したが、他社との差別化が十分図れていないと感じる。
総務省により“実質0円”が禁止され、端末の総販売台数は低下傾向にある。MNPの利用が大きく落ち込んだ結果、端末の販売で特に影響を受けているのがKDDIとソフトバンクの2社だ。
したがって機種変更需要が見込めるNTTドコモよりおのずと販売台数は少なくなり、9月にはiPhone 7/7 Plusを発売したことによって、auとソフトバンクの2社には、Androidスマホのラインナップを十分に揃える余裕がないのかもしれない。
今季は各社の置かれた状況の違いが、ラインナップにも表れつつあると言えるだろう。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう