ドイツの自動車・バイクメーカーであるBMWから、設立100周年を記念するコンセプトバイク「Motorrad Vision Next 100」が発表された。その名の通り、“今後の100年”を見据えたコンセプトモデルで、停止中でも自らバランスをとって転倒しない機能など意欲的なテクノロジーを採用している。
ここでは、自動車業界の最先端をひた走るBMWが提唱する今後100年のビジョンを紐解いていく。
BMW、次の100年に向けた提案とは?
1916年の設立から今年で100年を迎えるBMWでは、3月に4輪車のコンセプトカー「Vison Next 100」を発表したのを皮切りに、同グループのMINIやロールス・ロイスブランドも次なる100年の進化を提案するコンセプトモデルを発表しており、今回の2輪部門の発表で主要なコンセプトモデルが出揃った形だ。
4輪バージョンの「Vison Next 100」では自動運転時代になっても“駆け抜ける喜び”を提案するドライバー中心主義を打ち出し、MINI版ではドライバーとの新たな関係を、ロールス・ロイス版ではクルマが専属運転手の代わりを務める世界を提案したBMWだが、今回のコンセプトバイクでは、どのようなビジョンを示しているのだろうか?
事故防止機能でヘルメットが不要に
まず、目を引くのはまたがっているライダーがヘルメットをかぶっていないことだろう。これは、電気モーターを活用した自立機能によって転倒せず、各種センサーを活用した安全機能によって事故を防ぐためヘルメットが不要になるという提案だ。
体をむき出しで2輪車に乗るライダーにとって、事故に対する不安は常につきまとうものだが、「Motorrad Vision Next 100」はその不安から解き放ってくれる。
ヘルメットの代わりにライダーが身に着けているグラスには、通常はメーターに表示される車体の情報やナビゲーションなどを映し出す。しかもライダーの目の動きを追従し、それに合わせて走るべきラインなどの情報を表示する機能も搭載されている。
また、太いタイヤと有機的なデザインの車体は何も視覚的なデザインだけで採用されたのではなく、サスペンションの代わりに路面からのショックを吸収する機能を実現するためのものだ。柔軟性を持ったボディは、ステアリングを操作すると全体が柔らかく形を変えて曲がって行く。
動力源であるモーターは、BMWのバイクの伝統的な特徴でもある水平対向(ボクサー)エンジンを模したデザイン。そのモーターを中心とした全体のレイアウトは、同社の歴史的モデルに則った配置とされ、伝統に対する敬意も伺える。
100年という歴史がもたらすヘリテイジを継承しながら、文字通り“次の100年”にふさわしい意欲的な提案にあふれた「Motorrad Vision Next 100」。このままの形で市販されることは想像しにくいが、搭載される個々の機能が1つずつでも実用化されることを期待したい。
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