スマートフォンの操作といえば、画面に指で触れる“タッチ操作”をイメージする人が多いのではないだろうか。スマホのデザインのスタンダードが、タッチディスプレイを主体とした板状のフォルムになって以来、「スマホ=タッチで操作するもの」という認識が広まった。現在もスマホの操作の大半はタッチで行うのが常識となっている。
しかし、近年では音声アシスタントやジェスチャーなど、タッチとは異なる操作スタイルが登場。これまでにない新たな操作感を体験できるデバイスが増えつつある。
ソニーモバイルコミュニケーションズが11月18日に発売する「Xperia Ear XEA10」(市場推定価格2万円前後)は、専用アプリをインストールした対応スマホとBluetoothでワイヤレス接続することで、声やヘッドジェスチャーでスマホを操作できる片耳タイプのヘッドセット。耳に装着して自分の声やジェスチャーで指示を出すことで、スマホを鞄などから取り出すことなく、通話やメッセージの送受信などを行える。
今年3月に開催された世界最大級のモバイル関連の国際展示会「Mobile World Congress 2016」で発表された「Xperiaスマートプロダクト」の第1弾となる製品だ。
コミュニケーションの未来を創る「Xperiaスマートプロダクト」
ソニーモバイルはこれまでスマートフォン・タブレットのブランドとして認知されていた「Xperia」を、今後は「コミュニケーションデバイス全体に冠するブランド」として発展させていく方針を打ち出している。こうしたビジョンを具現化したのが「Xperiaスマートプロダクト」だ。スマートプロダクトの商品企画を統括するソニーモバイルの近藤博仁氏が、Xperiaスマートプロダクト狙いを語った。
「人類の歴史が始まってから、人はいろいろ手段でコミュニケーションをとってきました。現在ではスマートフォンが最もコミュニケーションに特化したツールとして使われていますが、これをゴールだとは考えていません。コミュニケーションの仕方・ツールはさらに進化していきます。であれば、ソニーモバイルのXperiaがコミュニケーションの未来を創造していこうと考えました」
耳に装着できるパーソナルアシスタント
Xperia Earには、音声対話などの入出力を通してユーザーに情報を提供する独自技術「ソニーエージェントテクノロジー」が搭載されており、近接センサーとの組み合わせにより、スマホを介さなくてもさまざまな操作が行える。
まず通話では、発信と不在着信の確認を行える。移動中に電話をしたいときは「○○さんに電話」と伝えると、そのままハンズフリーで通話を開始できる。不在着信の確認は、Xperia Earを耳に装着するだけでいい。不在着信があると「10分前に○○さんから着信がありました」と読み上げてくれる。折り返しの電話をする操作もそのまま実行できる。
メッセージの受信と返信にも対応する。スマホがメッセージを受信すると、差出人名とメッセージの内容を読み上げてくれる。それに対して「返信しますか?」と聞いてくれるので、「はい」と答えて返信のメッセージを伝えると、それをテキストに変換して送信してくれる仕組みだ。
そのほか、Twitterでフォローしている人のつぶやきや今日の予定、天気予報、ニュースなどの情報も音声で伝えてくれる。また、Wikipediaと連動する検索機能や、ナビゲーションにも対応。例えば、「○○まで電車でナビ」と話しかけると、指定した場所への電車のルートを表示して音声でナビゲーションしてもらうといったこともできる。
耳にしっかり固定できるイヤーピースとアークサポーターを付属
デザイン面では、Xperiaスマートフォンとマッチする質感や光沢感を追求。装着感にもこだわっており、オープン型とカナル型(S/M/L)の2種類のイヤーピースが付属し、ユーザーの耳のサイズに合わせて交換することができる。
また、装着時にわずかに動いてしまう場合に備えて、「アークサポーター」というキャップも用意。こちらもS/M/Lの3種類のサイズからチョイスでき、心地よい装着感が得られる。
専用の充電ケースに収納できる
サイズは約15.2×29.3×24.3ミリで、重さは約6.6グラム。IPX2相当の防水性能を備えている。加速度センサーやジャイロセンサー、近接センサーを搭載しており、声で「はい」「いいえ」と回答する代わりに、首を縦に振ったり横に振ったりすることで、Yes/Noを伝えることもできる。
同梱の充電ケースに収納してバッテリーをチャージする仕様になっており、フル充電の状態で約4時間の連続通話が可能。Xperiaだけでなく、Android 4.4以上を搭載する端末で利用できる。
まずはアーリーアダプターをターゲットとして市場を作る
Xperia Earは、日本国内ではまず「イノベーター」「アーリーアダプター」と呼ばれる層や、スマホでメッセージアプリをよく使う人、移動が多いビジネスパーソンをメインターゲットとして展開される。
類似商品が少ない先駆的な製品であるため、まずは“市場を作る”ことを重視しているようだ。先進的な操作を可能にする野心的な製品が、目の肥えたアーリーアダプターにどう受け入れられるのか、Xperiaブランドを拡張する試みが市場にどのように評価されるのか。今後もXperiaの動向から目が離せない。
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