ファッション関連のニュースを見ていくと、必ずと言っていいほど目につく回数が多いコラボレーションのニュース。毎日のように様々なブランド同士のコラボレーションがアナウンスされている。
そんな取り組みの中でも、とりわけ注目を集めるのはファストファッションブランドと世界的なデザイナーズブランドのコラボレーションだろう。本記事では、発表されるたびに“事件”と称されるコラボレーションを解剖していく。
KENZO×H&Mが11月3日に発売
出典:www2.hm.com 毎年一流メゾンとのコラボレーションを発表し続け、ファッション業界の話題をかっさらうH&M。2016年はデザイナーズブランド、KENZOとのコラボレーションアイテムが11月3日に発売される。
KENZOとは?
出典:int.baccarat.com KENZOは高田賢三氏が1965年にフランス・パリで立ち上げたブランド。カラフルな色彩と民族的な意匠を取り入れたアイテムが世界的に支持され、世界的なブランドへと成長した。
現在高田賢三氏はデザイナーを辞してしまっているが、今までコラボしたそうそうたるブランドたちにも劣らない一流ブランドなのは間違いない。流石はファストファッションブランド×一流メゾンの潮流を産み出したH&Mと言ったところだろう。
ユニクロはルメールと……双方のメリットとは
日本のファストファッションブランドの雄も精力的にコラボレーションを行っている。アンダーカバーやジルサンダー、最近ではユニクロとクリストフ・ルメールのコラボも記憶に新しい。つい先日も、デザイナーであるクリストフ・ルメール氏が監修する新ライン「uniqlo u」が発表されたばかりだ。
H&M、ユニクロ……ファストファッションブランドとデザイナーズブランドのコラボが頻発するのはなぜなのだろうか? 双方のメリットを確認していこう。
ファストファッションブランド側のメリット
とかく流行の移り変わりが激しいファッション業界。ファストファッションブランドはデザイナーズブランドやハイブランドのデザインを“パクって”いるのではないか? と嫌疑をかけられることも少なくない。
ファストファッションブランド側としては、まさしくそのデザイナーズブランドとコラボすることによってブランド価値の底上げだけでなく「デザインの正当性」をアピールする狙いもあるのだ。
デザイナーズブランド側のメリット
対してデザイナーズブランド側は、ファストファッションブランドの巨大な流通網とプロモーションに自らのブランドを乗せることで知名度のアップを図り顧客を新規開拓することができる、というメリットがある。
また、デザイナーズブランドにとって、ファストファッションブランドが支払う巨額のコラボ料は非常に魅力的。コム・デ・ギャルソンがH&Mとのコラボを行った際にデザイナーの川久保令氏が「私はデザイナーであると同時に数百人の社員を雇っている企業の社長でもある」と語っているように、人件費の確保や新たな商品開発の資金を求めるというのも大きな理由だ。
ファッション業界はジリ貧? コラボは続くのか
出典:www.ign.com とは言え、自社で展開すれば本来10万円はくだらないようなアイテムを、1万円前後で買えてしまうコラボに「ブランドイメージが悪くなる」と苦言を呈する声も少なくない。
しかし、いわゆる高級ブランド市場は年々縮小の一途を辿っており、10年で半分以下にまで市場の縮小を迫られている。「ブランドイメージ」を堅く守ることのできるブランドはごくわずか。
また、デザイナーズブランドが新しいアイテムを企画することが難しくなっている点も見逃せない。過去のアイテムを「アーカイブ」としてファストファッションブランドとのコラボで復刻するのである。つまり、確実な売上が期待できるということなのだ。
ファッション不況と言われる中、徹夜の行列、そして即完売とセンセーショナルなニュースを産み出し続けるコラボレーション。ブランド双方のメリット、そして消費者の熱狂が消えない限り、まだまだ続くのは間違いないだろう。
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