今年4月に起きた熊本地震、そして10月に起きた鳥取地震。日本は言わずと知れた地震大国である。特に近年では首都直下型地震や、さらに大きな地震がいつ起こってもおかしくはないと言われている。
万が一、地震が起きた時にあなたは自分の身、そして身近にいる人を正しく守ることができるだろうか。地震が起きた時に何をするべきか、震災後に取るべき行動を十分把握できているだろうか。
今回は、いざという時に知っておくと役に立つ、いや、知っておかなければいけない地震・災害時の知識を紹介する。
机の下に隠れるだけじゃない? 地震の時に身を守る方法
by stuant63 実際に大きな揺れを感じたら何をするべきなのか。その時どこにいるのかで対応は異なるが、一番多いのは家や会社にいる時だろう。まずは、最低限知っておくべき地震対策を紹介していく。
震度の規模によって身の守り方は変わる
一般的に広く知られていることは、地震が起こったらまずは机の下に隠れるということ。頭と足の安全の確保は最重要となるため、落下物から身を守るのに机の下に隠れるのは良い判断となる。
しかし、問題は建物が崩壊するほどの巨大地震が起こった時だ。いわゆる直下型地震である。実は建物が崩壊するほどの揺れの時は、タンスやベッドなどの大きな家具の脇や、車のすぐ横で小さくうずくまっていた方が助かる確率が高くなるという。これは、崩壊した天井・屋根と、家具などの丈夫な構造物との間に「三角形の生存空間」ができるためだ。
地震では約10秒間の判断で生死が決まると言われる。地震の規模によって適切な判断を心がけることが重要だ。
逃げ道確保で生死が決まる
身の安全が確保できそうな場合にまず行わなくてはいけないことは、逃げ道の確保。特に木造のドアは揺れによって木が軋み、開かなくなることがあるため注意したい。
外だからこそ危険を伴うこともある
都会で大地震に遭ってしまった場合、最大の恐怖は降り注ぐガラスの破片。特に高層ビルが立ち並ぶ場所では、ビルの窓ガラスが割れて降ってくる。そのため、ビル群にいる時は室内の方が安全な場合がある。
震災後に知っておきたい知識・対策
by stevendepolo 続いて紹介するのは、実際に地震が起こってしまった後の知識だ。これを知っているのと知らないのとでは、震災後に感じるストレスが全く異なる。地震が起こってはほしくはないが、起きてしまったいざという時に実行してほしい。
水を貯める
いざ揺れが収まった時に、危惧されるのは断水だ。飲み水として事前に用意している方は多いだろうが、トイレや洗い物といった生活用水に使うための水のことは忘れがち。浴槽、バケツ、シンク、桶などにまとまった量の水を日々汲み置きしておくと、たとえ断水になったとしても慌てずに済む。
屋内でも靴を履く
地震が起きると、窓ガラスや食器類は割れ、破片が散乱してしまう。当然、床は危険物が多くなり、歩くのもままならない状態になる。こうした時に気をつけたいことが怪我である。
特に足の裏を怪我すると歩くことができず、逃げる時はもちろん、避難所へ水や食料などの物資をもらいに行く際にも支障が出てしまう。そのためべッドの脇やデスクの下に、履物を1つ用意しておくと良い。
震災後は小銭を持つ
震災後には小銭を持っておくと役に立つ。特に10円や50円、100円は重宝する。理由としては、震災後に比較的繋がりやすい公衆電話や停電してもしばらくの間は稼働する自動販売機で小銭を使うからだ。
自動販売機は、皆が紙幣で購入した場合、すぐにつり「銭切れ」に。のどの渇きを潤す大切な飲料も、小銭なしでは買うことはできなくなってしまう。
持っておくと役立つアイテム
震災後にこれだけは持っておくべきアイテムは3つだ。まず1つ目は、「非常食や飲料水」である。これらは、今ではどの家庭でも備えがあると言っていいほど広く周知されているだろう。
そして2つ目は、「懐中電灯」である。震災後には停電を余儀なくされるため、懐中電灯があるかないかで状況は大きく異なるのだ。最後の3つ目は「携帯ラジオ」である。携帯ラジオは、正確な情報を得るうえで不可欠なアイテムだと言える。
ネットの力を駆使して情報を得る時代
by N.gawa 巨大地震が起こった時に、まず重要となるのが情報だ。特に今では誰もが持っているであろうスマートフォンやパソコンは、いざという時の情報収集に役に立つ。
災害時は通話制限により電話回線はつながりづらくなり、固定電話や携帯電話での通話はかなり難しくなる。しかし、災害用伝言板やSNS(交流サイト)等はインターネット回線を通じて使うことができるのだ。家族の安否、現在の被害状況を知れるかどうかは死活問題である。
誰でも登録可能:災害時の新定番「災害用伝言板」
現在では、どのキャリアも災害時に災害用伝言板を設けている。災害用伝言板とは、災害に見舞われ家族の安否等の情報を確認したい時に、事前に登録を済ませていれば、確認ができるサービスのことだ。そこで本記事では大手3キャリアの「NTTドコモ」「SoftBank」「au」での災害用伝言板の比較を紹介していく。
NTTドコモ:サービス概要
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運用条件:震度6以上の巨大地震や大きな災害が発生した場合
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メッセージ登録及び、確認可能エリア:
・全国のFOMA・Xiサービスエリア
・Wi-Fi経由のアクセスが可能なエリア
NTTドコモ以外の携帯電話やPHS、パソコンからもメッセージを確認できる - メッセージ登録可能件数:1携帯電話番号あたり10件
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メッセージ登録内容:状態(複数選択可)
日本語版:「無事です」「被害があります」「自宅に居ます」「避難所に居ます」
英語版:「I’m okay」「Need Help」「Safe at home」「At evacuation area」コメントは全角100文字まで以内入力可 - 利用料金:無料
SoftBank:サービス概要
- 運用条件:震度6弱以上の地震など大規模な災害が発生した場合
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メッセージ登録可能エリア:
・ソフトバンク携帯電話および、他社携帯電話やパソコンなどのインターネット端末からも確認可能
・Wi-Fi対応 - メッセージ登録可能件数:1電話番号あたり80件
- メッセージ登録内容:「無事です」「自宅にいます」「被害があります」「避難所にいます」「移動中です」「会社にいます」「学校にいます」の中から選択でき、全角100文字までコメント入力可
- メッセージ確認可能機種:地域制限なく、すべての携帯電話・PHSの電話番号で検索可能
- 利用料金:無料
au:サービス概要
- 運用条件:大規模災害発生時
- メッセージ登録及び確認エリア:被災地域を担当している営業エリアおよびその周辺
- メッセージ可能件数:1電話番号あたり10件
- メッセージ登録内容:「無事です」「被害があります」「自宅に居ます」「避難所に居ます」「コメント見て」の中から選択でき、100文字までのコメントが可能
- メッセージ確認可能機種:地域制限なく、すべての携帯電話・PHSの電話番号で検索可能
- 利用料金:無料 一部別料金のコースあり
各キャリアによって多少の差異はあるものの、基本的には違いはない。また、今ではどのキャリアもアプリを採用しており、スマホを持っている人はアプリから登録し、そうでない方はそれぞれのサイトから登録することができる。
SNSは人命を救う
3.11の巨大地震の時から、SNSには計り知れない潜在能力が秘められていると言われていた。実際に、災害時にSNSで情報が拡散され、それにより人命が救われた事例も少なくない。これからSNSで注目されるポイントは主に2つある。
1つ目はいざ災害時SNSが使われる時、いかにして混み合う回線を回避できるかだ。そのために、SNSを複数使用できることがポイントとなる。
2つ目は増える“デマ”情報をいかにして正確なものと判断できるかということだ。より正確な情報を得るために、複数のユーザーからの情報を確保することが重要となる。
「備えあれば憂いなし」と言われるが、震災時、パニックになり最適な判断ができない状況だけは避けたい。意外に知っているようで知らないこれらの予備知識や対策。地震は起こってほしくはないが、いざ起こってしまった時に、あなたの知識が自分、そして周りの人の身を守ってくれるだろう。
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