「格安スマホ」がトレンドになっているが、この名称は、毎月の通信費の安さに由来する。利用できる端末は、安いものから高いものまで、さまざまだ。高性能な機種でよければ10万円以上するiPhoneも使えるし、逆に節約したいなら1万円前後で高速通信規格のLTEに対応したものもある。
こうしたスマホは、特定のキャリアでしか使えない「SIMロック」がかかっていないことが多く、「SIMフリースマホ」などとも呼ばれる。
このジャンルで、再起を図ろうとしているのが、モトローラだ。元々、モトローラは米国の通信機器製造業で、ケータイが通話のためのツールだったころから端末を販売していた。いわゆるショルダーフォンも作っていた老舗メーカーなのだ。日本ではiモード全盛期にも薄型ケータイの「RAZR(レーザー)」などの端末を投入し、話題を集めていた。
日本市場を意識したモトローラ最新モデル
しかし、スマホ時代に入り業績は大きく低迷。モトローラの端末事業はグーグルに吸収され、その後、中国PCメーカーのレノボに買収されることになった。
現在では、レノボ傘下として、モトローラブランドの端末を製造している。そのモトローラが、日本市場に本腰を入れ始めたのが今年7月のこと。同社は通話とデータ通信を別々のキャリアで行える「Moto G4 Plus」を発売した。ネットショップでは品切れになるなど、人気を博している。
日本市場に再び本腰を入れ始めたモトローラ。写真はその第一弾となった「Moto G4 Plus」。
このモトローラが新たに発売するのが、「Moto Z」と「Moto Z Play」の2機種となる。どちらも先に挙げたSIMフリースマホとなり、格安SIMとの組み合わせで使うことを想定したものだ。特徴は、背面に「Moto Mods」と呼ばれる拡張機器を取り付けられるところにある。
背面にMoto Modsと呼ばれるアタッチメントを付けられる「Moto Z」。
Moto Modsには、ハッセルブラッドのカメラや、JBLのスピーカーなどを用意。プロジェクターもあり、スマホ単体ではできない、さまざまな機能を実現できる。例えば、カメラのMoto Modsは光学10倍ズームに対応しているため、被写体に遠くから寄って撮ることが可能だ。こうした機能は筐体が大きくなってしまうため、スマホ単体では実現が難しい。他社にはない先進的な機能を打ち出し、差別化を図っていくのがモトローラの戦略なのだ。
スマホ単体では難しいとされる、光学10倍ズームを実現している。
モトローラを傘下に収めたレノボの立場にとっては、このブランドが市場シェアを広げる武器になる。レノボ自身もスマホ事業を持っており、特に新興国では高い人気で、一時は世界シェアで3位になったことがあるほど。一方で、レノボブランドのスマホは、先進国だとあまり見かけない。日本でもこれは同様だ。
このような先進国市場を切り崩すための武器になるのが、モトローラブランドだというわけ。一部の国ではデュアルブランド戦略を取っており、日本でもよりPCに近い「Phab 2 Pro」や各種Androidタブレットは、レノボブランドで投入している。
2015年ごろまではシェア3位を争っていたレノボとモトローラだが、現在は急速に勢いを伸ばすファーウェイなどに押され、トップ5からも姿を消してしまった。モトローラのスマホを強化し、他社との差別化を重視する姿勢からは、先進国市場でしっかり足場を固めたい同社の思惑も見て取れる。
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