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思わずツイートしたくなる、Googleによる「Twitter買収」の噂と経緯

Saki Shinoda

2016/09/28(最終更新日:2016/09/28)


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 140字以内の短文を投稿するSNS“Twitter(ツイッター)”について、複数の企業が買収に動いているとの報道がなされた。Googleが買収に積極的であることが明らかになり、投資家のみならず、多くのIT関係者がこの買収劇に注目している。GoogleはなぜTwitterの買収に向けて動いているのだろうか。今回はその理由を解明していく。

ついに現実となった「Twitter買収の噂」

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Twitterの“業績不振”が囁かれた経緯

 Twitterは2013年末にニューヨーク証券取引所に上場を果たし、一時は時価総額250億ドル(約2.9兆円)を叩き出すなど、ソーシャルメディア業界をリードするサービスとして注目されてきた。しかし昨年から、その成長に陰りをうかがわせる報道が相次いでいる。

 2015年7月、株式上場の立役者であるジャック・コストコ氏がCEOを辞任し、創業者のジャック・ドーシー氏がCEOに復帰。そして同年10月、従業員336名を解雇する大規模なレイオフを実行した。さらに今年8月、サンフランシスコのTwitter本社のうち、約1万7000平方メートルのフロアが「又貸し」に出され話題となった。

 Twitterは株式上場後も収益の主力である広告事業が軌道に乗らず、長らく赤字が続いていた。マーケットにおいても、投資家の失望の声が大きくなるにつれ、買収の虚偽報道や憶測が飛び交う混乱が続いていた。

そして明らかになった買収報道

 今月23日、Twitterが複数の企業から買収を持ちかけられていることを、アメリカの経済専門テレビ局CNBCが報じた。GoogleやSalesforce(顧客関係管理ソフト大手)がTwitter買収の意向を示しており、一株あたり約26ドルの買収額となる可能性が示されたのだ。

 買収総額は180億ドルから最大で300億ドル(約3兆円)にのぼるとの推測がテクノロジー系ニュースサイトRecodeでも提示され、Twitterの株価は前日比21%と急上昇した。

Googleが買収に向けて動く理由

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 GoogleはこれまでYouTubeを筆頭に、150以上の企業を買収してきた。買収の最高額はMotorola Mobilityの125億ドル(約9600億円)で、Twitter買収が実現すれば、これを上回る過去最高額での買収だ。Googleが多額の資金を投じてまでTwitterを手に入れようとするのには、二つの理由が挙げられる。

#1 Twitterの広告をより活用できる

 Googleは広告の分野で順調に収益を得ており、昨年7月に発表された四半期決算では160億2000万ドル(約2兆円)の広告収入を記録している。しかしPC向けの事業が好調であるのに対し、モバイル向けへのシフトで出遅れている点が課題となっていた。

 一方でTwitterは、ユーザーの約7割がモバイルからのアクセスとなっている。また広告事業を柱としているものの、上述のように収益化に苦戦している状況だ。

 買収が実現すれば、Googleが持つ豊富な広告のノウハウが、モバイルに強いTwitter上で活用される形となる。さらにTwitterの膨大なリアルタイム情報が広告に反映されることで、新たなプロモーションの手法の誕生にも期待できる。

#2 Googleのソーシャルメディア事業における躍進を狙える

 動画共有サービスであるYouTubeやフリーメールサービスのGmailなど、あらゆる分野で覇権を握っているGoogleだが、ソーシャルメディアの分野では数多くの失敗を積み重ねている。2011年に設立されたGoogle+は「失敗プロジェクト」と評されており、今年5月に発表された新アプリSpacesの評判も芳しくない。

 それでもソーシャルメディアの事業展開を諦めきれないGoogleにとって、SNSの買収は最後の砦だろう。全世界で3億2000万人以上のユーザー数を誇るTwitterは、多額の資金を投じてでも手に入れたい存在なのだ。


 気軽にやり取りを行えるSNSとして、日本国内でも人気の高いTwitter。“IT業界の巨人”であるGoogleによる買収が実現した際には、SNS全体に及ぼされる影響も大きくなる。買収劇がもたらすインパクトも含めて、今後の動きに注目だ。

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