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ついつい700円まで手が伸びる……当たりまくりでもコンビニが儲かる「700円くじ」の仕組み

Saki Shinoda

2016/10/03(最終更新日:2016/10/03)


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by Japanexperterna.se
 各コンビニチェーンで定期的に開催されている「700円くじ」。当たりくじの数が比較的多いため、開催時期を狙ってコンビニを訪れる人も多いだろう。

 だがコンビニ各社は、それだけ多くの商品を景品として使用してまで、なぜ700円くじを開催し続けているのだろうか。今回はコンビニの700円くじにクローズアップし、その“儲かる仕組み”を紐解いていく。

700円くじの基本知識

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by Dick Thomas Johnson

700円くじの基本システム

 700円くじは各コンビニチェーンで毎年2〜3回ほど開催されており、期間中はレジで700円以上購入ごとに1回くじを引くことができる。店舗からくじがなくなり次第終了となるため、開催期間は店舗ごとに違いがあるものの、およそ1〜2週間程度だ。

 当たりくじはドリンクやお菓子、ホットスナックなどの無料引き換え券となっている。その場で当たり商品と引き換えてくれるため、レジから急いで商品を取ってくる店員の姿は700円くじの代名詞とも言えるだろう。はずれのくじも応募券となっており、指定された枚数を集めることで家電製品などの抽選に応募することができる。

700円くじを展開しているコンビニチェーン

 セブンイレブンやファミリーマートといったコンビニチェーンが700円くじを定期的に開催しており、アイドルグループやアニメ作品とのタイアップが行われている。

 サークルKサンクスも700円くじを展開しており、かつては無料引き換え券か値引き券のいずれかが必ずもらえるのが特徴的だった。だが、9月末まで行われた「統合記念キャンペーン」では値引き券は廃止され、他のチェーンと同様の応募券に変更したようだ。

そもそもなぜ「700円」なの?

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 1000円や500円ではなく「700円」という、少し半端な値段で行われる700円くじ。この価格設定には、コンビニの客単価の平均値が関係している。

 日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、2015年の全国のコンビニエンスストアの年間平均客単価は609.2円。他の年度においてもコンビニの平均客単価は600円前後となっているため、700円は平均客単価を少しだけ上回る価格設定だ。

 会計の合計を700円以上にするために、レジ近くに陳列されているお菓子やガムに手を伸ばしたことのある人も多いだろう。平均の客単価より「少しだけ高く」することで“ついで買い”を促すのが、このキャンペーンの肝となっている。

700円くじ開催によるコンビニ側のメリット

 “ついで買い”を促進できるとはいえ、700円くじを実施するためのコストは決して少なくはないだろう。くじを引くために毎回レジが中断することも損失になっているはずだ。この項目では、それでもコンビニ各社が700円くじを開催し続けている理由を明らかにしていく。

売上・客単価が落ち込む時期のブーストになる

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 日本フランチャイズチェーン協会が発表した2015年のデータに再び目線を戻すと、コンビニ全店で売上が最も落ち込むのは3月だ。客単価は既存店において6〜8月に少しずつ減少しており、客数は9月と11月に落ち込んでいる。

 コンビニ各社は売上が大きく落ち込む3月期においては、タイアップ商品のキャンペーンやホットスナックのセールなどを複数展開している。700円くじの時期は同じコンビニチェーンでも毎年異なるが、6月〜8月と10月下旬〜11月に開催されることが多い。下半期の客単価が少しずつ減少する時期に、700円くじを展開することで消費を刺激しているようだ。

スポンサーから当たり商品を調達できる

 サークルKサンクスが9月末まで開催した700円くじ「統合記念キャンペーン」のウェブサイトに、『商品はメーカー各社様のご協賛によるものです。』との表記がある。つまり、無料引き換え券で配布されている商品はコンビニ各店舗が仕入れたものではなく、メーカーによって提供されているものなのだ。

 引き換え券で商品を提供することは、メーカーにとっても販売促進につながる。店員がその場で当たりくじの引き換えまで行ってくれるのは、このような儲かるカラクリが存在するからだろう。

「はずれくじ」でも来店回数UPを見込める

 上述したように700円くじには当たりの無料引き換え券と、応募券の2種類が含まれている。応募券も何枚か集めることで抽選に応募することができるため、厳密には“はずれくじ”ではない。

 抽選で当たる商品もスポンサーから提供されているものか、タイアップしているアイドルグループ・アニメ作品などの関連商品がほとんどだ。特にタイアップ関連商品はファンによる需要が大きいため、応募券を求めて700円くじを引く人も多い。700円くじは客単価を増やすだけでなく、来店回数を増やす効果もあると推断できる。


 利用者の心をくすぐりつつ、コンビニにとってはメリットの大きい700円くじ。何気なく引いているくじにも、コンビニの“客単価を上げる”という経営戦略が隠されているのだ。

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