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ロバのパン屋さん・電話交換手・カストリ雑誌業……:20代が知らない「昭和の消えた職業」

Mayuko Ono

2016/09/26(最終更新日:2016/09/26)


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ロバのパン屋さん・電話交換手・カストリ雑誌業……:20代が知らない「昭和の消えた職業」 1番目の画像
出典:www.methodsunsound.com
 近頃、小学生の憧れの職業ランキング3位にYouTuberが入るなど、職業とはその時代背景を象徴するものである。

 世の中には時の流れや、技術の進歩によって消滅していった職業がいくつも存在する。今回は、その無くなった職業の一部を時代背景と一緒に紹介していきたいと思う。

昭和時代は主流だった:現在はない職業

ロバのパン屋さん

ロバのパン屋さん・電話交換手・カストリ雑誌業……:20代が知らない「昭和の消えた職業」 2番目の画像出典:www.etsy.com
 ロバのパン屋と呼ばれていた馬車を使った移動式のパン屋は、ロバ(木曽馬)に馬車を引かせ蓄音機で音楽を流しながらパンの販売を行っていた。

 ロバのパン屋と称されていた株式会社ビタミンパン連鎖店本部は、昭和30年に「パン売りのロバさん」というイメージソングをキングレコードから発売するほどであった。

 しかし、高度経済成長によって自動車が普及したことで、ロバは交通の妨げになると指摘されたうえ、車のクラクションに驚いたロバが暴走して馬車が横転し、死亡事故が発生。その後、自動車による移動販売に切り替えられた。

電話交換手

 現在は固定電話だけでなく、スマートフォンや携帯電話が普及し、好きな時に好きなだけ電話をかけることが出来るようになったが、初期の電話サービスは交換手が電話を繋いでいた。

 交換手に電話したい相手を伝えると、その相手に手動で回線を繋ぐというシステムが取られていた。しかし、電話サービスが普及し、利用者が増加するにつれて手動では追いつかなくなり、自動交換機が導入された。この時に初めて電話番号が必要となり、ダイヤル付きの電話機が誕生したという。

カストリ雑誌業

 カストリ雑誌とは、戦後の出版の自由化以降大流行した大衆向け娯楽雑誌の総称。創刊から3号ほどで廃刊となるケースが多く、3合飲めば酔い潰れる粗悪なカストリ酒になぞらえてそう呼ばれた。物資不足の中、古紙を漉き直した粗悪な仙花紙で製本し、多くが1部20~30円で全国各地の書店や露店に並んだという。

 解放感と反権威に満ちたカストリ雑誌は、武者小路実篤、江戸川乱歩、大佛次郎など大家も文章を寄せたほどであった。雑誌上の自由な表現や挿絵を取り入れた構成は現在の週刊誌の基となっている。

文選工

 現代のように印刷技術が発達していなかった昭和の時代は、本を印刷する際に一文字ずつ合金で作られたハンコのように反転したものにインクを流し込んで圧力をかけて紙に転写させていた。

 文選工は原稿に従って活字棚から活字を順に拾い、文選箱に納めるのを職としていた。しかしながら、日本語は英語のようにローマ字だけで文字が構成されているわけでなく、漢字やひらがなといった多様な文字から構成されていたため、とても効率の悪い印字法だったという。

サンドイッチマン

 サンドイッチマンとは、身体の前後に看板をぶら下げて宣伝をする職業で、その歴史は、明治時代末期の頃には広告人夫と呼ばれるこの職業が存在していた。そして、大正時代になるとサンドイッチマンという呼称が使われるようになった。

 サンドイッチマンは、第二次世界大戦後間もない頃の昭和26年から27年ごろが全盛期であったとされている。現在では宣伝手段が多様化し、サンドイッチマンを専業とする人はほとんどいない。繁華街などにおいて、合法的に人件費だけで看板が出せる経済的な手段として存在しているくらいだ。


 今日においては技術の進歩によって機械化、ロボット化が当たり前のように思えるが、たった数十年前までは、今では考えられないようなアナログな手法の職業が存在した。読者の皆さんが就いている職も、数十年後にはアナログな扱いになってしまう可能性も否めない。今は存在しないその時々の職業を調べることで、過ぎた時代だけでなく、これからの「シゴト」の行く末を感じ取ることができるだろう。

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