アメリカ・シリコンバレー生まれの電気自動車(EV)専門メーカー、テスラから 3モデル目となる「モデルX」が日本国内でも販売開始された。前後にモーターを搭載し、4つの車輪を全て駆動。100%電気で走るSUVだ。
同社初となるSUVモデルは性能もデザインも“攻め”のスタイル
テスラは2003年の創業以来、新モデルを発売するたびに話題を呼んできた。初代モデルの「ロードスター」では、PC用の18650と呼ばれるリチウムイオン電池を数千本用いたバッテリーセルが。2車種目で初めて車体も自社で手掛けた「モデルS」では、3G回線に常時接続し、クルマの性能をPCのOSのようにソフトウェア・アップデートできる機能が注目を集め、その機能を利用して自動運転を可能にしたことは、さらなる驚きを持って迎えられた。
今回、日本に上陸した「モデルX」は同社初のSUVタイプのデザインを採用。「従来のモデルよりもファミリー層にも買いやすいように」とテスラモーターズ ジャパンの社長であるニコラ・ヴィレジェ氏は発表会で述べたが、最上位グレードの「P100D」では時速100kmまでわずか3.1秒で到達するという驚異的な加速性能を誇り、後席へのアクセスには上に跳ね上がるガルウィング(同社では「ファルコンウィングドア」と呼ぶ)を採用するなど“攻めた”作りはテスラらしいインパクトを持っている。
1回の充電で最高542km走行可能なハイパフォーマンスモデルを用意
バッテリー容量に応じて4つのグレードが用意され、最も価格の低い「60D」は895万円〜で、1回の充電で走れる航続距離は355km。最も容量が大きい「P100D」では542km(ともに欧州での燃費測定方法NEDCでの値)となっており、“航続距離が短い”というEVのイメージを覆すパフォーマンスを持っている。
自動運転機能のアップデートや安全性を向上させた
安全性の高さもこのモデルの売りの1つで、フロアにバッテリーを敷き詰めるような構造を採用しており、エンジンも搭載していないため、衝突時にエネルギーを吸収するクランプルゾーンが他のSUVに比べて非常に長く設けられている。また、5月にアメリカで起きた死亡事故でマイナスな意味での注目度も高まっていた自動運転機能もバージョン8.0にアップし、より高精度なセンシングを可能にしている。
また、バッテリーをフロアに収めた構造は積載性能にも貢献しており、エンジンの搭載されていないためフロントにはトラベル用のトランクが2つ、リアの収納スペースにはゴルフバッグが4つまで搭載可能だ(しかも大人7人が乗車した状態で!)。リアのファルコンウィングドアは、通常のミニバンに採用されるスライドドアよりも狭いスペースで乗り降りが可能で、上方があいているため子供を抱いてチャイルドシートに乗せるような時でも頭をぶつけにくいという。
ファミリータイプでも妥協しないテスラの姿勢
「でも」と発表会後の囲み取材で、このドアについて訊かれたヴィレジェ氏は言葉を続ける。「利便性ももちろん大事ですが、見た人が“カッコいい”と思ってくれることも大切。このドアがあったからこそ、このクルマはここまで話題になっているのだと思いますから」。こうした遊び心を忘れないところもテスラのクルマが人々の心を惹き付ける大きな理由だろう。
世界的に人気の高いSUVのカテゴリーに投入されたテスラの新モデル。このカテゴリーでも台風の目となりそうだ。
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