ディズニーを代表するキャラクター“ミッキーマウス”。世界中で愛される彼をビッグスターへと導き、成功を果たしたディズニーが行うライセンス契約はご存知だろうか。
日本でも、世界中で活躍する有名なキャラクターが数々存在するが、ディズニーとはまるで市場規模が違う。その要因をディズニーが行うビジネスの展開との相違を見てみよう。
世界で活躍するキャラクター“ミッキー”成功の秘訣
国内でもミッキーに会える場所といえば、千葉県浦安市に位置する、国内最大級のテーマパーク“東京ディズニーリゾート”だ。株式会社オリエンタルランドが米国“ディズニー・エンタプライゼズ・インク”のライセンスを受け、ディズニーブランド施設として運営している。では、そのライセンスとはどのようなものなのか。
ライセンスビジネスとは
そもそもライセンスビジネスとは、名称、ブランド、ロゴ、キャラクター、ノウハウ等の知的財産をリースするビジネスを指す。借りた側が貸した側にライセンス料を支払うことでビジネスが成り立つ。
ディズニーの重要な売り上げ“ライセンス料”
ディズニーと言えば、ディズニーランドやディズニーシーでの収益を連想する人も多いと思うが、米国のディズニー本社の重要な売り上げの一つにライセンス料がある。
昨今、世界中で大ブームを起こした「アナと雪の女王」。2013年、映画「アナと雪の女王」での興行収入は約13億ドル(約1,611億円)というものの、「アナと雪の女王」のグッズなどのライセンス商品は、映画の興行収入を上回っているとされている。
ディズニーの売り上げだけで見ても大きな市場が見えてくるが、世界の2014年度のエンターテインメント関連のキャラクター商品は累計1,072億ドル(約13兆2,831億5,000万円)。エンタメ分野は世界のライセンス商品のロイヤリティ総額、134億ドルの46%を構成しているという。その中でも、ディズニー関連商品の売り上げはトップで、ディズニーのライセンスビジネスの規模は計り知れない。
また、ウォルト・ディズニーの2015年9月期決算は、純利益が前期比12%増の83億8,200万ドル(約1兆200億円)と、過去最高益を記録した。そして売上高も7%増の524億6,500万ドルで過去最高。「アナと雪の女王」や「スター・ウォーズ」シリーズに関連した商品のライセンス収入はいまだ好調で、商品事業は13%伸びたという。
世界に展開する日本のキャラクターの売り上げが伸びない理由
リオデジャネイロ五輪の閉会式で、日本のキャラクターとともにPRをした2020年東京五輪。閉会式の盛り上がりは、世界でも日本のキャラクターが知られていることを示唆する。
そこでここでは、日本を代表する、任天堂のキャラクター“スーパーマリオ”とサンリオのキャラクター“ハローキティ”のライセンスビジネスについて取り上げてみたいと思う。
サンリオ:ハローキティ
世界中の多くのセレブからも愛されているサンリオを代表するキャラクター“ハローキティ”だが、近年その売り上げが冴えないという。
サンリオの売り上げは4割が海外のライセンスビジネスで占めていたが、ディズニーの“アナ雪”人気の影響などで、海外での売り上げが落ちたことが利益軽減の要因だと見られている。また、サンリオのキャラクター使用のライセンス獲得がディズニーに比べるとハードルが低く、ロイヤリティが下がったことも指摘されている。
サンリオの売り上げは4割が海外のライセンスビジネスで占めていたが、ディズニーの“アナ雪”人気の影響などで、海外での売り上げが落ちたことが利益軽減の要因だと見られている。また、サンリオのキャラクター使用のライセンス獲得がディズニーに比べるとハードルが低く、ロイヤリティが下がったことも指摘されている。
任天堂:スーパーマリオ
インターネットが普及し、誰でも手軽にスマートフォンでゲームを楽しめる世の中になった影響で任天堂のゲーム機の売り上げが大幅に落ち込んだ。
そこで近年任天堂が力を入れているのが、ライセンスビジネスである。任天堂がライセンスビジネスに力を入れだしたのは最近のため、2015年度のライセンス収入は約57億円で、売上高全体の1%程度でその市場規模は大手ディズニーに比べるとまだまだ小さい。
そこで近年任天堂が力を入れているのが、ライセンスビジネスである。任天堂がライセンスビジネスに力を入れだしたのは最近のため、2015年度のライセンス収入は約57億円で、売上高全体の1%程度でその市場規模は大手ディズニーに比べるとまだまだ小さい。
日本のキャラクタービジネスの打破者“ピカチュウ”
ポケモンGOが開いた新たなビジネスモデル
今年の夏、大ブームを起こしたスマートフォンのゲームアプリ“ポケモンGO”だが、ポケットモンスターの権利を保有しているポケモンは、ポケモンGOの権利を所有するNiantic社から、ライセンス料と開発運営協力費を受け取る関係にある。また、ポケモンの32%は任天堂が出資している。
これまで、スーパーマリオやポケットモンスター、その他の任天堂のキャラクターは、ゲーム機ビジネス以外での活用に力を入れられていなかった。ポケモンGOの大ヒットから、キャラクターをライセンス化し、利益を上げようと考えているという。
任天堂のIPビジネス拡大
任天堂のライセンス事業は、限られた企業としか取引していなかったが、徐々に規模を広げていく方針だ。
これまでテーマパーク事業には手を出さなかった任天堂だが、IPビジネス拡大するとともに、ユニバーサル・パークス・アンド・リゾーツとテーマパーク事業に任天堂のキャラクターを提供することも始めていることを明かした。そして、テーマパーク事業だけでなく、スマートフォン向けアプリの開発・配信を行うことを発表。着々と新たなビジネスモデルを展開している。
また、ポケモンの玩具を扱うタカラトミーはポケモンGO配信後、ポケモン関連のおもちゃに再び関心が高まっているとも指摘している。今後、任天堂のIPビジネスが拡大すれば、さらにこの様な現象が起こるだろう。
出典:azdailysun.com キャラクタービジネスで地位を獲得したディズニーからだいぶ遅れてのビジネスの展開となった日本だが、2015年度のキャラクタービジネス市場規模は前年度比100.6%と3年連続の増加。2016年度も堅調推移が予測されている。
任天堂がディズニーに学んだように、これからの時代は一つの分野だけでなく、ライセンスという形で違う市場に参入することが、企業としての成功の鍵になってくることが予想される。今後の日本のキャラクターたちの世界での活躍と、各企業のキャラクタービジネスの展開に注目していきたい。
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