「セカンドライフ」という言葉を聞いて、どのような印象を受けるだろうか? 定年後に悠々自適な生活を想像する方もいれば、経済面に不安を感じた方もいるだろう。定年後は、収入がなくなる。そんな状態でもちゃんと生活ができるのか?と、いうことだ。
言うまでもなく、老後は年金がメインの収入となる。老後生活を考えるうえで、年金がいくらもらえるのか?は、大きなポイントだ。
確実に知っておきたい「年金制度の仕組み」
by Japanexperterna.se 日本の年金制度は、二階建ての制度といわれている。1階部分は、原則20歳以上の人は全員加入の国民年金。2階部分は、会社員や公務員の方が加入する厚生年金。国民年金に関しては、給付額は一律だ。全期間保険料をきちんと納付した方の場合、今年の年金受給額は780,100円/年だ。
月額換算すると、約6.5万円だ。6.5万円で生活費を賄うというのは現実的ではないだろう。一方厚生年金に関しては、報酬比例という制度を採用している。現職時代の所得に応じて、納める保険料も異なり、将来受けとる年金額も異なる。現役時代の所得が多い方は、支払う厚生年金保険料が多く、その分受け取る年金額も多いということだ。
厚生労働省の平成26年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、男性会社員の厚生年金の平均受給月額は、179,578円。女性会社員の平均受給月額は、108,384円だ。働き方の違いから男女で金額が異なることがわかる。
年金以外に足りない金額とは?
by Moyan_Brenn 気になるのが年金だけで生活できるのか?ということだ。現在の年金受給世帯は、比較的妻は専業主婦だったという世帯が多い。仮に夫:会社員、妻:専業主婦だとすると、夫婦の年金額は、約24.5万円(夫:約18万円、妻:6.5万円)だ。
生命保険文化センターによると、夫婦二人の老後の最低限の生活費は、20万円~25万円と答える世帯が多いようだ。そのため、年金だけで最低限の生活は過ごすことは可能といえるだろう。とはいえ、時には旅行に行ったり、老後こそ豊かな生活を過ごしたいものだ。前述のデータによると、ゆとりある老後生活に必要な金額は、30万円~35万円と答えた世帯が最も多かった。
全体の平均をとると、35.4万円となるようだ。旅行にいかなくても、冠婚葬祭が発生する月や、家電の買い替えなどが必要となる月もあるだろう。こういったことを考えると、年金額だけでは足りないということが見えてくるだろう
はたして老後にいくら必要か?
by frankieleon では、老後資金にはいくら必要なのだろうか? 筆者は、上記の観点から年金額+10万円を用意しておくことをお勧めしている。仮に90歳まで生きるとすると、65歳から25年間で10万円×12か月×25年⇒3000万円。
そして、介護費用や大病をした場合の緊急費用が+1000万円、合計4000万円を年金の他に最低限用意しておくとよいだろう。なお、住宅ローンは65歳までに完済していていることが前提だ。住宅のリフォームや車の買い替えなどは考慮していない。退職金で住宅ローンの完済を予定している人は、退職金とは別で上記のお金を準備する必要がある。
それでは、老後に向けてどのような対策を考えればいいのだろうか? 答えは少しでも早く、毎月一定額を老後向けに積立をしていくことだ。その上で、投資利回りは意識しておくべきだ。30歳から60歳まで、毎月1万円を30年間積立したとする。単純投資額は360万円になるが、銀行預金のような利息が期待できない商品で積立をした場合、投資額からほとんど増えることは期待できない。ところが、仮に3%で運用できれば、360万円は、約570万円となる。5%で運用できれば、360万円がなんと790万円を超える。
老後資金は長期間を費やして準備するので、元本保証ではなく投資型の商品を活用するといいだろう。勤務先に確定拠出年金がある場合は、そういった制度を積極的に活用するのもお勧めだ。確定拠出年金がない場合は、投資信託や変額保険といった商品を活用してみたらいかがだろうか。
執筆者:平原直樹
ブロードマインド株式会社のファイナンシャルプランナー。
第一種証券外務員を保有するお金のプロ! 難しいお金の話を分かりやすく解説します。
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