パソコンやスマートフォンで文章を書くことが殆どの現代社会。漢字を書く機会が減っていることから、「漢字離れ」も叫ばれている。「書けなくても、読めれば生活に支障をきたすことはない」という意見もあるが、読者のみなさんは漢字の読みにどれくらい自信があるだろうか?
ビジネスパーソンなら読めて当たり前! 漢字クイズ20問
今回は、U-NOTEが独自に選び、“読めそうで読めないけど、日本人なら読めて当たり前だと思いたい漢字”を20個用意した。クイズ方式で紹介していくので、ぜひ挑戦してみてほしい。読めなかった場合は、少し恥ずかしい……かもしれない。
まずは初級編
初級編は、普段の雑談やニュースでもよく目にする漢字を7つ用意した。全部読めれば『スタンダードなビジネスパーソン』!
ビジネスパーソンなら読めて当たり前!【初級編】
- 月極
- 出生率
- 相殺
- 福音
- 代替
- 早急
- 貼付
「この程度か」と拍子抜けした読者もいれば、「え……?」という読者もいるのではないだろうか。それでは答え合わせをしてみよう。
月極 [つきぎめ]
「月極駐車場」など、街中で見かける機会の多い漢字。読み方は「つきぎめ」で、一カ月単位で契約を決めるという意味だ。
出生率 [しゅっしょうりつ]
出生率は、一定期間の出生率の人口に対する割合という意味。人口1,000人あたりでの出生数を指す。「しゅっせいりつ」と読み間違える人も多いが、正しくは「しゅっしょうりつ」。
相殺 [そうさい]
貸し借り・損得などを互いに消し合ってゼロにする、という意味の相殺。実は「そうさつ」という読み方をすることもあるのだが、その場合は“互いに殺し合うこと”という意味になってしまう。ビジネスの場ではくれぐれも気をつけよう。
福音 [ふくいん]
世界史の授業で「福音主義」「福音協会」という単語を学んだ記憶がないだろうか。喜びを伝える知らせ、という意味の福音。「ふくおん」と読んでしまいがちだが、「ふくいん」と読む。
代替 [だいたい]
代替案、代替品、代替バス……など日常生活でもよく見かける「代替」。最近では「大体」と混同してしまうという意見もあり、「だいがえ」と読む人もいるが、正しくは「だいたい」である。読んで字のごとく、代わりに替える、という意味だ。
早急 [さっきゅう]
代替と同じく、間違えた読み方が浸透してしまった漢字の一つ、「早急」。マイナビニュースのアンケートでは、7割以上が「そうきゅう」と読んでいると回答している。しかし、元来の読み方は「さっきゅう」なので、目上の人と話す時や資料を読み上げるときには気をつけよう。
貼付 [ちょうふ]
ビジネスの場でも多く見かける「貼付」という漢字。「はりつけ」と読んで恥をかいた経験をしている読者もいるのではないだろうか。正しい読み方は「ちょうふ」。
次は中級編
ビジネスの場以外でも、見覚えのあるような漢字を7つ用意した。初級編・中級編の漢字を全部読むことができれば、『1歩先をいくビジネスパーソン』!
見覚えがあるけど……? 読めるようで読めない【中級編】
- 弁える
- 設える
- 祝詞
- 杜撰
- 塩梅
- 白湯
- 遊説
どこかで見たことがあるが、読めずにモヤモヤしている読者もいるだろう。それでは早速、答え合わせをしていこう。
弁える [わきま・える]
物事の違いを見分ける、区別するという意味。「辨」の漢字の代用として、「弁」が使われるようになった。「弁護士」の「弁」には、物事・善悪を区別するという意味が含まれているのだ。
設える [しつら・える]
「こしらえる」「あつらえる」などという読み間違いをされるが、正しくは「しつら・える」だ。備えつける、飾り付ける、という意味。
祝詞 [のりと]
祝いの言葉、という意味では「しゅくし」が正しい。しかし、神事の際に神前で読み上げられる文章のことを言うときは「のりと」という読みが正しい。有名な神社を訪れ、観光案内の説明文を読むときは「のりと」と読むようにしよう。
杜撰 [ずさん]
ニュースや会話ではよく使われるのに、文章に出てくると読めない漢字「杜撰」。杜撰の意味は、文章に根拠がないこと、いい加減で間違いが多いこと。「とせん」ではないことを覚えておこう。
塩梅 [あんばい]
塩梅は、料理・物事・身体・物事の具合や様子の意味。居酒屋チェーン店の名前にもなっている。「しおうめ」と読んでしまうのは恥ずかしいので、知らなかった読者はこれを機にしっかり覚えてほしい。
白湯 [さゆ]
白湯は、真水を沸かしただけの湯のこと。朝に飲むと胃腸の消化機能が活発になると言わており、健康に良いと近年では注目されている。「パイタン」と読むのは、ラーメン屋のみだ。
遊説 [ゆうぜい]
選挙活動が盛んに行われる時期に頻繁に見られる「遊説」。政治家が各地を演説して回る、という意味だ。「ゆうぜつ」と間違われがちだが、「ゆうぜい」と読むので、ニュースの話をする際には間違えないようにしよう。
最後は上級編
日常生活ではあまり使わないが、日本人として読めるようにしておきたい漢字を6つ用意した。ここまでの漢字を全て読むことができれば『漢字を使いこなす一流ビジネスパーソン』!
これが読めたら超一流ビジネスパーソン!?【上級編】
- 円やか
- 三行半
- 姦しい
- 散りばめる
- 灰汁
- 美人局
全問正解できそうな読者はいるだろうか? それでは、最後の答え合わせをしていきたい。
円やか [まろ・やか]
形がまるい、口当たりが柔らかい、味が穏やか、といった意味の漢字。居酒屋のメニュー表の「円やかなお酒」という説明書きを見たことがある読者もいるのではないだろうか。女性と食事をしに行った際に、間違った読み方をしないようにしよう。
三行半 [みくだりはん]
日本史の授業で一度は見たことがある「三行半」という漢字。現在は夫婦の縁を絶つ、という意味で使われている。
江戸時代、妻から離婚を申し出る場合には、縁切り寺(駆け込み寺)で夫に離縁状を出すように請求していた。その離縁状が、3行半で書かれることが多かったために“三行半”と呼ばれるようになったのだ。
日本の歴史と関係する漢字なので、「さんぎょうはん」と読み間違えるのは日本人としてかなり恥ずかしい。
姦しい [かしま・しい]
やかましい・騒がしいという意味。「かしまし」という言葉自体は、古語だ。日本のシンデレラストーリーとも呼ばれる落窪物語では、「あなかしまし。今は取り返すべき事にもあらず」という一文がある。
灰汁 [あく]
この「灰汁」は、鍋をするときに出てくる上澄みの汁のことである。「はいじる」「はいじゅう」「はいしる」とは読まない。
美人局 [つつもたせ]
テレビ番組で見かけるが、実は読めなかった……という読者がいるのではないだろうか。美人局とは、夫婦が共謀して行う恐喝・詐欺行為である。「びじんきょく」とは読まないので、気をつけよう。
☆散りばめる
「散りばめる」は読み問題ではなく、間違いかどうか気づくか?という問題だった。「散りばめる」の漢字に違和感を抱かなかった読者は、残念ながら不正解だ。
正しい漢字は「鏤める」。常用漢字ではないので、新聞などでは「ちりばめる」と平仮名で表記されている。今まで「散りばめる」と書いていた方は赤面必至だろう。
以上、読めそうで読めない漢字を20個紹介した。全問正解した読者には拍手をおくりたい。初級編から躓いてしまった読者は、もう一度問題を確認しよう。
Web化が進んでも、読む、書く、言う、など、「漢字」との縁を切ることはできない。わからない漢字があったら、恥を忍んで人にきいてみよう。相手も、もしかすると、あなたと同じ轍を踏むかもしれない。
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