勤め先が自分の代わりに納付手続きを行い給料から天引きされることも多い住民税。いつの間にか天引きされているため、払っている実感がわかないという人も多いだろう。
住民税は住む場所によって納税額が異なる。なぜ地域によって差が出るのか、住民税の仕組みと使い道について見てみよう。
住民税の仕組み
住民税とは市町村民税と都道府県民税の総称である。
所得金額が、各市区町村の定める金額以下の場合や生活保護など、定められた控除対象の条件に該当する人以外の成人が、自分の住んでいる地域に治める税金である。
また、前年の所得金額に応じて課税される“所得割”と所得金額に関わらず定額で課税される“均等割”の合計のことをさす。
住民税の仕組み①:市町村民税
市町村民税だけで見てみると、均等割額は約3,000円~約3,500円(平成26年度~平成35年度まで防災対策実施のため500円引き上げられている)。
所得割率は一部を除き6.0%(名古屋政令指定都市の一部は軽減税率を導入しているため5.7%)と決まっている。一部の地域では、これに超過税率を課している地域もある。
住民税の仕組み②:道府県民税(都民税)
そして、道府県民税(東京都は都民税)をみると、均等割額は約1,000円~約3,000円(平成26年度~平成35年度まで防災対策実施のため500円引き上げられている)と地域によって大きく差がある。
所得割率は神奈川県の4.025%を除き、全国で4.0%と一律になっている。
これらの市町村や都道府県が定めた納税の条件の差で、それぞれが納めるべき金額が大きく変わってくるのである。
住民税の使いみちと「超過課税」の関係
住民税は基本的に「年齢、収入問わず各地域が定めた条件の割合」を納めなければならないため、年代によっては納税金額が大きな負担に感じられる読者もいるだろう。
そんな中で、ある地域では特殊な住民税を課している市町村もある。
ここでは住民税の使いみちと超過課税の一部を紹介しよう。
【住民税の使いみちと超過課税①】神奈川県:横浜市
【住民税の使いみちと超過課税②】愛知県:名古屋市
名古屋市では均等割額と所得割額において名古屋市市民税減税を適用しているため、他の市町村に比べると割合が少なくなっている。
また、愛知県では平成30年度まで県民税2,000円のうち500円は、県内の森林、里山林、都市の緑を整備、保全するための「あいち森と緑づくり税」とされている。
【住民税の使いみちと超過課税③】北海道:夕張市
夕張市は均等割額が3,000円と設定されているが、さらに特例法によって500円が加算されている。
加算分は、地方公共団体が実施する防災のための費用に充てられるとのことだ。
【全国の市町村】高額な住民税ランキング
それぞれの市町村と都道府県に治める均等割額の合計と所得割率のパーセンテージから算出した、高額な住民税の市町村TOP3を見てみよう。
(平成30年度各自治体資料を参考に作成)
住民税高い地域ランキング
- 1位:神奈川県 横浜市(均等割額合計6,200円、市町村に治める所得割率8%、都道府県民税2.025%)
- 2位:兵庫県 豊岡市(均等割額合計5,500円、市町村に治める所得割率6.1%、道府県民税4%)
- 3位:北海道 夕張市(均等割額合計5,000円、市町村に治める所得割率6%、道府県民税4%)
超過課税の使い道については具体的にどのように使われているか公表されていることはあるが、その他の使い道については言及されていない場合が多い。
住民税はそれぞれの都道府県、市町村で任意に使い道が決められる。そのため具体的に公表されない場合があり、住民税の使い道の透明化を求める声も多くある。
住民税の高低だけでみると他の地より高い場所でも、その住民税を医療費の控除にあてていたり、生活環境の施設・設備が充実していたりと一概に安いから住みやすいというわけではなさそうだ。
私たちが生活する上で、住み心地の良い環境・街づくりをしてくれる地方自治体だが、住民によって納められた税金の使い道をより明確にし、住民の声もしっかりと反映されるような行政が理想的である。
自身が納めている住民税がどのように使われているか、また、その仕組みと住んでいる地域は住民のためにどのような活動に力を入れているかを意識することが納税者としての責任ともいえるだろう。
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