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会議で発言できないのは「言いにくい雰囲気」のせいではない? 考え方が180度変わるアドラー心理学

Mariko Idehara

2016/10/19(最終更新日:2016/10/19)


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 会社の上司や部下と上手く付き合えなかったり、仕事でミスをした時、自身の能力不足や不適合さを責めてしまうことはないだろうか。また、逆に思い通りにいかない時、他人や環境のせいにしてしまうこともある。

 周囲の環境に影響されるのは仕方ないが、どのようにすれば自分にとって有益な環境を作り出すことができるのだろうか。ここで、ある一人の心理学者を紹介したい。その名はアルフレッド・アドラー。彼の独自の視点で、現在注目を浴びている「目的論」というものをみていこう。

アドラー“目的論”:目的を考えると、解決が導かれる?

アドラー心理学の基礎概念“目的論”

 アドラー=心理学というイメージが世間に定着したのはここ数年である。アドラー独自の観点が世の中に広まり、多くの人が彼の考えに惹き付けられている。

 アドラー独自の観点とは、“目的論”だ。これは、物事の出来事を過去の「原因」からみるのではなく、未来の「目的」からみる考え方である。我々は仕事を行う上で、設定したゴールに届かなかった場合、その原因を追及しがちだ。しかしアドラーは、原因は結果の後付けにしかすぎないと主張する。この点が、今までになく新しい考え方である。

原因よりも目的を考える

 我々は、物事を因果関係で見ていくことが多い。しかしアドラーの目的論からすると、人はもともと目的があって、その目的に沿って行為を自己選択しているとみるのだ。いくつか例を挙げる。

#ケース①:上司に怒られると、すぐに指示に従ってしまう
 仕事のミスをして上司に責められた時、自分の非を探していないだろうか。

 これをアドラーの目的論にあてはめると、「上司に従うのは、従わずにまた怒られるのが怖いからだ」とする。無意識のうちに、“従わないと怒られる上司像”を自分で作ってしまっているのだ。アドラーは、その指示が正しくないものであれば、従わなくてよいと言っている。
#ケース②:会議で自分の意見を言えない
 会議で自分の意見を主張できないとき、多くの場合は「言いにくい雰囲気だった」と反省する。

 これをアドラーの目的論にあてはめると、「批判されたり、自分の意見を評価されるのが怖いから、自己防衛をするため意見を言わない」のだと捉える。現状の自分があるのは、そもそも自分がそのように望んだ結果だからなのだ。

アドラーに習う5つの“ビジネステクニック”

 自分を取り巻く理不尽な出来事や上司に対して、自分が全うな意見を言ったところで、簡単にまかり通るものではない。しかし、自分の考え方や見方は、自分次第で変えることができる。そこで今回は、アドラーの考え方をもとに、仕事を円滑に進めるための5つのポイントを紹介する。

①「今、何ができるか」を考える

 同僚と何か取り組むとき、自分を相手の理想像にはめ込んで無理をすることがあるだろう。しかしその枠は、今までの自分の仕事を考慮して作られる。そして自分の想定内を超えないようにする自己防衛が生まれる。そうではなく、今、自分には何ができるかを考えることで新たな施策が生み出されるのだ。

②臨機応変に「ものの見方」を考える

 仕事を終えて帰ろうとした時に、上司から面倒くさい仕事を頼まれた。つい「あの人のせいでやらなくてはいけない」と思ってしまうだろう。そうではなく、「明日の自分が困らないようにするために行っておこう」と目的を自分の方に向けると、「させられている」という感覚がなくなり、ストレスを減らせる。

③他者に「承認」を求めない 

 相手の承認を得ようとしすぎると、相手の機嫌を伺ってばかりになってしまい、思うような行動ができない。そんな時は、自分が期待するような反応を必ず相手がしてくれると思わないことが重要である。自分の最善のために常に行動していれば、相手の反応は二の次になるはずだ。

④「他者の課題」に踏み込まない

 対人関係の悪化原因は、他者の課題に踏み込むことである。関係ない外の者が色々口を挟むことは、当人にとってストレスであろう。お互いの仕事を円滑にまわし、自分の力量を発揮するためには、他人の課題に踏み込まず、一歩ひいて見守ることが大切だ。

⑤対等な立場でしっかり主張する

 人は支配関係の中にいると、優越感や劣等感を感じる。その感情が時には妨げとなり、自分の主張・行動の可能性を閉ざす。立場関係なく主張することは、過去情報がないまっさらな状態で議論を始めることができるため、仕事効率化を目指すことができる。


 ビジネスシーンで役立つアドラー心理学の5つのポイントを紹介した。すべてを完璧に行うことは難しいかもしれないが、まずは自分が取り組みやすいところから意識することが大切だ。だんだんと仕事を円滑に行えるようになるだろう。現状や未来に目を向け、達成すべき目的に向かうことで、経験したことがない場面でも対応できるビジネスパーソンを目指そう。

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