事業を始めるに当たり、必要な資金を調達するには、借入を行うのか、それとも資本金を集めるのか、主に2つの方法がある。
こういった投資の判断をする際に必要なのが、ファイナンスの考え方である。将来のキャッシュフローの予測を立てるだけでなく、貨幣の時間的価値を意識することで、自社にとってベストな判断ができるようにしておこう。
キャッシュを常にプラスにしておくことを目指す
Q:ファイナンスというと難しい印象だが、どういった場面で考えるものなのだろうか?
A:ファイナンスでは「投資の意思決定」と「投資に向けた資金調達」、そして「得たリターンの配分」の3つの場面をイメージしてほしい。
企業にとってファイナンスは様々な場面で考える必要がある。意識すべき重要なポイントとしては、以下の3つが挙げられる。
ここで特に大事なのはキャッシュと時間軸として将来を意識しているという点である。会社にとってキャッシュは、人でいえば血液だ。キャッシュが尽きてしまえば、会社は倒産してしまう。そのためファイナンスではキャッシュを強く意識をして、企業価値の最大化を考えていく。
そして、企業にとってファイナンスを考える場面として、①投資判断、②投資に向けた資金調達、③投資の成果の配分となる。
資金調達における借入と資本金は、どちらもコストになる
Q:ファイナンスの方法として、借入れによる調達と株式の発行による調達ではどのような違いがあるのか?
A:経営者は事業を始めるにあたり、「その事業は儲かるのか」、「その事業に必要な資金をどう調達するか」を考える必要がある。
儲かるか否かという点では、将来のキャッシュフローを見積もることが大事なのだ。
そして、資金調達においては、資本金として調達をした方が良いのか、借入で調達した方が良いのか、それぞれのコストを検討することが必要である。
借入であればコスト=金利というイメージが湧くと思うが、資本金も株主からの期待値がコストであると考える。株主は企業に将来的なリターンを期待するからこそ出資するのであり、その期待はコストとして意識しなければならない。
このように、将来どれくらいのキャッシュを当該事業が生むのか、またその事業を開始するに当たってどのような資金調達が必要なのかを、将来を見据えて考えるのがファイナンスである。そしてファイナンスでは将来を考えることから将来のリスクを非常に重視する。
さらに将来を重視することから貨幣の時間的価値も重視する。ファイナンスの世界では「今日の100円と明日の100円の価値は異なる」ということを意識して、キャッシュフローを考えるのである。これは未来におけるリターンを考える上では、お金の未来価値を意識する必要があるからだ。
今日の100円と明日の100円の価値は異なる? 将来価値とは
Q:現在と未来でお金の価値が異なるとは、どのような意味なのか。
A:例えば、金利が1%であれば今の100円が一年後は101円となる。
これを逆からみてみよう。
1年後に100円となるためには100円÷1.01=99円となる。この結果、ファイナンスの世界では金利が1%であると1年後の100円と今の99円が等価値と考え、今の99円は1年後の100円と等価値と考える。
そして、この金利については、リスク=不確実性が関係する。例えば、今100円もらえる権利と1年後に100円もらえる権利があったら、どちらを選ぶだろうか? 当然「今」の100円を選ぶだろう。
次に今100円もらえる権利と1年後に130円もらえる権利があるする。この場合はどちらを選ぶだろうか?
ファイナンスでは1年後に130円もらえる権利について、利率を30%と考える。金利が30%というと、不確実性が高い=リスクが高い、とファイナンスでは考えるのだ。
将来のキャッシュフローを予測する際には、このような金利やリスクを考えて、それを現時点での価値から割り引いて考えることが必要である。
ぜひ皆さんも投資判断の際に、キャッシュの流れや時間の価値を意識してみてほしい。
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