ビジネスにおいて重要なコミュニケーションツールのひとつである“メール”。ビジネスメールにおいて、友人や家族とのやりとりにはないような形式やマナーが存在することは、ビジネスマンにとっては常識だろう。そのうえグローバル化が進んだ今日、英語でビジネスメールをやりとりする機会も増えている。英語のビジネスメールにおいては日本語の際とは違った形式やマナーがあり、その相違に戸惑うビジネスマンも少なくないのではないだろうか。
本記事では、ビジネスメールにおける形式・マナーの基本を日本語と英語のそれぞれについて説明しながら、文面に“まごころ”を込めることによって相手の心を掴む術についても紹介する。
ビジネスメールにおける基本的な形式とマナー
日本語編
日本語のビジネスメールは、基本的には以下のような形式で書かれる。
日本語のビジネスメールの基本的な形式
- ① 件名
- ② 宛名
- ③ 挨拶
- ④ 要旨
- ⑤ 詳細
- ⑥ 結びの挨拶
- ⑦ 署名
この形式に則ったうえで、丁寧で適切な敬語を使い、わかりやすく簡潔な文章で用件を書くのが日本語のビジネスメールにおけるマナーである。
とりわけ件名については、そのメールが何についてのメールであるかを読み手が一目で見て分かるように、簡潔かつ率直に書かなければならない。
また、宛名や署名については、会社名・所属部署・役職を正確に記入することを忘れてはならない。
英語編
英語でのビジネスメールの基本的な形式は以下のようなものだ。
英語のビジネスメールの基本的な形式
- ① 件名
- ② 宛名
- ③ 用件
- ④ 結びの挨拶
- ⑤ 署名
日本語の場合との形式の違いは、冒頭に挨拶が不要なことである。英語でのビジネスメールにおいては、最初の段階からいきなり用件に入るほうが好ましいのだ。
宛名に関しても、会社名・部署名・役職などを書き込むことは不要で、“to/dear ○○(相手の名前)”程度で問題ないようだ。だが署名については日本語の場合と同じく、上記三つとともに自分の連絡先を記入する必要がある。
文章そのものに関しては、簡潔にわかりやすくという点では共通するものの、英語には敬語がないという点で大きな違いがある。しかし、英語においても単語や言い回しの違いによって丁寧さに差が生じるので、その点に関しては注意しながら書くべきである。
ビジネスメールに込める“まごころ”
出典:aecnews.net ビジネスメールにおける基本的な形式・マナーを紹介したところで、「ビジネスメールの中に“まごころ”を込める」ということに関しても言及しよう。
相手への誠実さや思いやり、謙遜心など、自らの“まごころ”を知ってもらうことでビジネス相手との信頼関係を構築することは、ビジネスマンとしての重要なスキルのひとつである。
この“まごころ”をメールの中にも込めることができれば、ビジネスメールは連絡手段としてだけでなく、相手との信頼関係を構築するためのツールとしても非常に有効なものとなるだろう。
以下ではそのような“ビジネスメールにまごころを込める術”にも着目しながら、場面ごとに分けて、ビジネスメールの書き方を紹介する。
場面別 “まごころ”を込めたビジネスメールの書く際のポイント
お礼の場面
日本語
- ○○の件、非常に真摯な対応をしていただき、まことににありがとうございました。
- 本日はご多忙の中、遠方からご足労くださり、まことにありがとうございました。
日本語でお礼のメールを書く際のまごころポイントは、相手にしていただいたことを具体的に記すことである。「○○の件、ありがとうございました」や「本日はありがとうございました」と簡単に書くよりも、相手のどのような行動に対して感謝しているのかを具体的に示したほうが、感謝の意がより強く伝わるだろう。
英語
-
I really appreciate your contribution.
(ご貢献いただき、非常に感謝しています。)
英語で書く際のまごころポイントは、“thank you”よりも“appreciate”という表現を使うことである。英語で感謝の念を伝える際には、“appreciate”を使用した方が、へりくだった丁寧な表現として伝わるのだ。
お詫びの場面
日本語
-
○○について、当方に発注数の確認のミスがありました。
お詫びの言葉もございません。 - 今後二度とこのようなことがないよう、システムの改善に早急に取りかからせていただきます。
まごころポイントは、こちら側の不手際を具体的に記すこと。問題点を正確に把握していることを示せば、より丁寧な謝罪となる。また、今後の改善策についても言及することで、失敗に対して真摯に対応していることを伝えるのも重要だ。
英語
-
I apologize for my mistake.
(私の間違いについて謝罪いたします。)
“I'm sorry”では表現としてはフランク過ぎる。“apologize”というかしこまった表現を使うことで、よりまごころポイントが高くなるのだ。
依頼の場面
日本語
- お忙しいところ大変恐縮ですが、○○の資料をお送りいただけますでしょうか。
- ○○していただくことは可能でしょうか?
“お忙しいところ大変恐縮ですが”などと、相手方を気遣う表現を加えることで、こちら側の謙虚な姿勢を伝えることができる。また、“していただくことは可能でしょうか?”という伺いを立てるような表現を使えば、こちら側の一方的な都合による依頼をする際にもまごころポイント溢れる物腰柔らかな印象を与えることができる。
英語
-
Would/Could you please send it ?
(それを送っていただけますか?) -
I wonder if I could ask you to check it by Friday.
(金曜日までにチェックをしていただけないでしょうか?)
単純な命令文で依頼を書いてしまうことは、威圧的で礼儀を欠いているといえるだろう。さらに、“Please”という言葉を文頭に置くだけではまだフランク過ぎる。まごころポイントは、上記のように疑問形で書いたりと、相手に“No”と言わせる余地を少しだけ残すことだ。すると、相手に敬意を払った依頼のメールになる。
ビジネスメールの基本的な形式・ルールと、まごころの込もった書き方を場面別に、日本語と英語にわけて紹介した。本記事が、ビジネスマンがメールという連絡手段を通じて、より良いビジネス関係を構築することの助けとなれば幸いである。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう