風を切るように、より速くより遠くへと走る人気のスポーツ自転車、ロードバイク。マウンテンバイクのフレームとコンポーネントをベースに、街中走行に適した進化をとげてきたクロスバイクとの大きな違いは、なんだろうか? その人気の秘密に迫りたい。
人気メーカーのロードバイクの特徴
出典:kanebikes.com 競技用としてのロードバイクの原型が各メーカーで完成したのは、1900年代頃と言われている。実際に街で見かけるロードバイクのユーザーは、まるでレースをするかのような装備で乗っている人が多く、気軽に始めるにはいささか敷居が高い気がする。では、具体的にロードバイクとはどんな自転車を指すのだろうか?
ロードバイクの具体的特徴:ハンドル
ドロップハンドルと呼ばれる下向きに大きく湾曲したハンドル形状で、走るシチュエーションやスピード域に合わせて握る場所を変え、走りやすい姿勢へと導く。
ロードバイクの具体的特徴:フレーム
アルミフレームなど各種軽量フレームが採用されていおり、低価格帯のメーカーモデルでも重量は10kg台前半と軽量。
ダイヤモンドフレームと呼ばれる2つの三角形を一辺で接合し、あるいは中央の頂点を一本の線でつないで分割した平行四辺形のシンプルなフレームで、前側を前三角、後ろ側を後ろ三角などと言う。
ロードバイクの具体的特徴:タイヤホイール
路面から受ける抵抗のより少ない細めのタイヤホイールが採用されている。タイヤの側面に記される「700×23C」の23はタイヤの太さ(mm)を示し、主に23C・25C・28Cなどがある。細いほど高速走行に優れ、太いほど快適性重視といった傾向。700は一般的なロードバイク用タイヤ外径の呼称。
ロードバイクの具体的特徴:変速レバー
一般的にはデュアルコントロールレバーと呼ばれる。ブレーキレバーと変速レバーが一体化したレバーを使うメーカーが多く、手を離さずにロードバイクの変速・ブレーキなどの操作が可能。
ただしメーカーによって操作方法が異なるため、事前に確認が必要。例えば、クラシックタイプのロードバイクは、変速レバーがフレームに装備されていることもある。
ロードバイクの具体的特徴:ギア
ロードバイクはシティ自転車と比べ変速段数が多く、登り坂では軽いギア(軽い力でラクに登れるが遅い)、加速したいときは重いギア(少ないペダル回転数でスピードが出るが重い)を使用する。
ロードバイクの場合、メーカーのスタンダードなモデルは前側のギア板が2枚歯、後ろ側のギア板が7枚歯以上という組み合わせモデルが一般的で、メーカー上級人気モデルでは、後ろ側が11段というロードバイクもある。
以上がロードバイクの特徴をまとめたものだが、人気メーカーごとの特徴はどうだろうか。
人気ロードバイクメーカーの特徴
ロードバイクの人気メーカー#1:TREK(トレック)
出典:www.leisurelakesbikes.com TREKは、アメリカ北東部に位置するウィスコンシン州に居を構える、世界シェアナンバーワンの人気自転車メーカー。オイルショック真っ只中の1976年から30年以上の時を経て、広大な敷地に本社工場を構え、日々トップエンジニア達がその技術を進化させている。
世界一厳しいとも言われるTREK独自の安全基準により、ロードバイクはもちろん、クロスバイク、MTBすべてに生涯保証を付帯している。
ロードバイク・ハイクラスモデルのmadoneを始めとする、各種自転車の上位モデルには、独自開発のOCLVカーボン(炭素繊維強化プラスチック)を使用しており、プロ選手からも人気があり高く評価されている。
個人カスタムのフレームカラーやアウターケーブル、コンポネート、ヘッド、シート、ステム、ハンドル、タイヤ、ホイールなどを選べる「Project One」というシステムを持っている。
ロードバイクの人気メーカー#2:Cannondale(キャノンデール)
出典:www.bikerumor.com 1971年に創業されたアメリカの自転車メーカーで、高品質で高性能のアルミ自転車を開発・製造するメーカーとして有名。
他にも各種自転車部品、サイクルウェアなどの自転車関連商品も製造販売しており、新たな製品カテゴリーを切り開いてきたメーカー。
ロードバイクのデザインでもユニークさと独自性で人気があり、Cannondale独自の技術を活かし製造する高性能アルミフレームの「CAAD」や、片持ち一本サスペンションの「LEFTY」などを展開する。世界60カ国以上の国で販売されている人気メーカーだ。
ロードバイクの人気メーカー#3:SPECIALIZED(スペシャライズド)
出典:www.rutlandcycling.com “革新を、さもなくば死を”を社是におくSPECIALIZEDは、アメリカのカリフォルニア州に本社を置く総合サイクリングメーカー。「世界でベストサイクリングブランドになる」というビジョンを掲げ、日々研究を重ねながら最先端の技術に取り組んでいる世界的人気メーカー。
ツール・ド・フランスで、何度も優勝を手にしたロードバイクメーカーで、その高い技術力が伺える。
ロードバイクの人気メーカー#4:Bianchi(ビアンキ)
出典:www.cycleurope.co.jp 現存する中では世界最古の自転車メーカーのBianchiは、自転車(セーフティ型)が発明された1885年に創業した、イタリアの老舗自転車メーカー。
デザインはアメリカで、生産は台湾で行われる。日本ではアメリカモデル・ジャパンモデル・レパルトコルセモデル・OEMモデルが販売されている。
また、ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスといった大きなレースで輝かしい成績を残しているロードバイクメーカーである。
現在も続く、大口径パイプを用いたアルミフレームの基本デザインを確立したメーカーで、他にもナノカーボンに代表される最先端のフレーム作りなどの技術を誇る人気メーカー。
ロードバイクの人気メーカー#5:GIANT(ジャイアント)
出典:www.giant.co.jp 1972年、台湾中部に位置する台中で設立された自転車メーカーGIANTは、年間生産台数650万台以上を誇る世界最大の自転車メーカーである。
Tig溶接(電気を用いた溶接方法の一種)のアルミフレームや、カーボンフレームの製造など、世界に誇る技術力を持ちながら、低コストなロードバイクを製造する人気メーカー。
高い技術力を活かし、ロードレースにも積極的に進出しており、スペインのプロ自転車チーム「オンセ (Once)」 、ドイツのチーム「T-モバイル」にフレームを供給。現在は、ドイツのプロ自転車チーム・「ジャイアント=アルペシン」にフレームを供給している。
ロードバイクの人気メーカー#6:MERIDA(メリダ)
出典:www.merida.jp 1972年に創業されたGIANTに次ぐ歴史を持つ台湾の自転車メーカー、MERIDA 。アメリカの自転車メーカーのOEM生産を手がけながら、自社ブランドの開発に取り組むメーカー。
世界でも稀なマグネシウムフレームの製造経験を持ち、カーボンやアルミニウム加工にも優れた技術で世界をリードしている。
1992年に日本にも拠点をおき、1993年ブリヂストンサイクルと提携して2009年まで販売を行っていた。2010年モデルからはミヤタサイクルがハイエンドモデルの販売を開始。
ツール・ド・フランスを完走した日本人選手の一人、新城幸也氏が2016年から所属するチーム「ランプレ・メリダ」としても有名。
ロードバイクの人気メーカー#7:PINARELLO(ピナレロ)
出典:www.pinarello.com イタリアの名門ロードバイクメーカーであるPINARELLOは、1953年に創立され、コルナゴ・ビアンキ・デローザなどと並ぶ、イタリアンバイクの代表格。
ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなど、数々の有名レースで勝利を納め、日本でもその存在を知られている人気メーカー。
インテグラルヘッドやカーボンバック開発でも知られており、独特の形状をしたフォークを開発したり、デザイン性においても注目されている。また、ホリゾンタルフレームを採用している数少ないメーカーのひとつ。
ロードバイクの人気メーカー#8:FELT(フェルト)
出典:www.riteway-jp.com ドイツおよびアメリカ・カリフォルニア州に拠点をおく自転車メーカーFELT。創業者は、ヤマハ、カワサキ、スズキ、ホンダなどでメカニックとしてモーターレースのオートバイフレームを製作していた「ジム・フェルト」。彼の手により2001年に立ち上げられた比較的若歴史の浅いメーカー。
27か国に140モデルを供給する中堅メーカーだが、2008年にはジロ・デ・イタリアで優勝し、2009年のブエルタ・ア・エスパーニャでは3つのステージ優勝。ツール・ド・フランスでも勝利を挙げ、近年認知度を高めている。
“FAST, LIGHT, SMOOTH(速く、軽く、心地よく)”をブランドコンセプトに掲げ、幅広いラインナップを展開しており、コストパフォーマンスも魅力の人気メーカー。
ロードバイクの人気メーカー#9:KUOTA(クオータ)
出典:www.chari-u.com 老舗自転車ブランドが多いイタリアにおいて、KUOTAは2001年に発表された新しいメーカー。優れた技術力とデザイン、トップレーシングバイクとしての開発を進めたことにより、現在は世界的にも人気のトップメーカー。
カーボン素材の特性を活かしデザインされる、流麗なシルエットを得意とし、2015年には、ロードバイクチーム「アンドローニ」や「アスタナウィメンズ」にバイクを供給。
ロードバイクの人気メーカー#10:SCOTT(スコット)
出典:www.scott-japan.com 1958年 スキー用ストックメーカーとして創業されたスイスのメーカーSCOTT。“軽量・空力・快適性”を追求しており、カーボン技術も高い。
走ることにストイックな印象を受ける実力派のメーカー。
世界的にも人気なロードバイクだが、各メーカーごとに得意とする分野や技術を垣間見ることができる。イメージだけに捕らわれず、性能、コスト、自分らしさを考えたお気に入りのロードバイクと、信頼のメーカーを見つけるのに、役立ててほしい。
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