「仕事のスピードが遅い人」が「仕事ができない人と同じ括りにされたくない」と不満を言うならば、ゼロから仕事への姿勢を見直すべきである。仕事には、必ず締切期限という時間制限が存在する。つまり、仕事一つの最終的な成果だけではなく、その成果を出すのにどれだけのスピードで終わらせたかということも重要なのだ。
すさまじいスピードで、定時までに必ず成果を出す優秀な社員が揃う米マイクロソフト社で、Windows95の開発に携わった中島聡をご存じだろうか。「ドラッグ&ドロップ」「右クリック」「ダブルクリック」、いずれも中島聡がビル・ゲイツにプレゼンし、実現した機能である。世界の当たり前を作った中島聡は、どれくらいのスピードで仕事の成果を生み出してきたのだろうか。
そこで今回は、中島聡氏の『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』から、世界最速の仕事術「ロケットスタート時間術」と習得後どのように活きるのかご紹介しよう。
スピード仕事人・中島聡の米マイクロソフト社時代
出典:www.linkedin.com 中島聡は、高校時代からアスキーでソフトウェアの開発に携わり、大学時代には日本のCADソフト「CANDY」を開発した。大学在学中でありながら、中島聡はCANDYをヒットさせて3億円も稼いだ超エリート大学生であった。1985年に早稲田大学を卒業すると、NTTに入社し、32bit CPUの設計などに関わっていた。
中島聡はNTTからマイクロソフト社へ転職した時、実際に働く社員を見てこのように感じた。大学時代まであれだけの成果を出していた中島聡が、不安を口にするほどマイクロソフト社はスピード感ある社員で溢れていたのだ。そこで、中島聡が最初に鍛えたのはスピードである。つまり、仕事の時間をどう使うか徹底的に突き詰めたのだ。
結果、入社3年後の32歳の時には、ビル・ゲイツの前でプレゼンし、提出したWindows95の案が認められて世界に発信することができたのだ。英語も話せず、埋もれることを不安に感じていた時から、たった3年というスピードで自分の仕事が認められるまでに至った中島聡は、正真正銘の超エリートと言えるだろう。
“世界を制するスピード仕事術” ロケットスタート時間術
出典:www.wired.com 中島聡が優秀な社員揃いの米マイクロソフト社で埋もれることなく、活躍することができた秘訣は、「ロケットスタート時間術」である。簡単に言えば、締切に間に合わせるスピードよりもかなりのスピードで仕事を進めるということである。しかし、「締切より仕事を早く終わらせてはならない」と中島聡は語っている。一体、どういうことなのだろうか。
中島聡がロケットスタート時間術というスピード仕事術を実践する理由は、仕事を早く終わらせるためではなく、物理的な自分の時間を確保するためなのだ。例えば、10日間で終わらせるべき仕事を任されたとしよう。ロケットスタート時間術によると、最初の2日間で仕事の8割を終わらせるスピードで仕事をするべきだというのだ。残りの8日間で仕事の2割をゆったりしたスピードで進め、自分の時間を確保する。
自分の時間を確保することによって、精神的余裕を持って自分のキャリアアップに必要な事をすることができる。この自分の時間の使い方が、仕事のスピードを加速させるガソリンとなるのだ。「人は強烈な動機があって、必要があれば何でもできる」という考えで、中島聡は3年で世界最速のスピードを手にして、Windows95を開発した。中島聡が実践している、スピードを上げるための3つの習慣をご紹介しよう。
中島聡が教える、スピードを上げる3つの習慣
- 明日やるべきことを全てリスト化する
- タスク1つの所要時間を15分と設定する
- 好きな事を探す
ロケットスタート時間術のその先にあるモノとは
出典:www.returnofkings.com 「人生において一番大切なのは、自分の好きなことをやり続けることである」と中島聡は考えている。ロケットスタート時間術は、好きなことに時間をかけるために使うスピード仕事術なのだ。「嫌なこと(仕事)から逃れて、好きなこと(趣味など)に打ち込みたい」という思いが強ければ強いほど、スピードは速くなっていく。
人間がスピードを上げる原理は2つある。1つは、好きなことに打ち込むことである。好きなことに打ち込む時、私たちは大概、時間を忘れるほど夢中になっている。そこで発揮する集中力は、爆発的なスピードを生むのだ。もう1つは、ロケットスタート時間術の理論と同じであるが、嫌なことから好きなことへ逃れる時だ。
つまり、仕事のスピードを上げることに特にテクニックは必要ないのだ。必要なのは、「好きなことに打ち込みたい」「幸せな人生を歩みたい」という思いの強さだ。こうした思いが、目の前の仕事をハイスピードでこなしていくガソリンとなる。中島聡の場合、米マイクロソフト社での仕事が好きな事であったため、常にスピード感を持って仕事できたのだった。
私たちは一流のビジネスマンとして活躍するため、すぐに様々なテクニックを身につけて、スピードを早くしようと考えてしまいがちだ。しかし、何よりも重要なことは「テクニックを身につける」と決意する動機だ。人間は決意したことの動機の程度で、スピード感が全く違う。仕事を早く終わらせたい人は、「なぜ仕事を早く終わらせるのか」「仕事を終わらせて何をするのか」などを綿密に考えた上で、ロケットスタート時間術を実践するといいだろう。そうすれば、世界最速のビジネスマンになることも夢ではない。
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