2016年6月18日(土)第8回AKB選抜総選挙の結果が発表された。第1位に輝いた指原莉乃が獲得した24万3,011票を逆から読むと「1位をさっしーに」となることで話題を呼んでいる。しかし、もう一つ注目すべき点があった。横山由依の2代目総監督として初の選抜総選挙だったということである。
選抜総選挙の途中経過速報では、横山由依は26位という成績であったため暗雲が立ち込めていた。しかし、最終結果は11位。昨年より1つ順位を落としたものの、横山由依は総監督の役割を果たしつつ、人気を大きく落とすことはなかった。横山由依自身、今回の総選挙を迎えるまで総監督というプレッシャーに押しつぶされそうになったという。
今回は、6月26日(日)23時から放送予定のTBS『情熱大陸』に合わせて、AKB48の2代目総監督・横山由依のプレッシャーと苦悩に焦点を当てていく。そして、横山由依が総監督に就任するまでの軌跡を見ていくとしよう。
高橋みなみから横山由依へ、総監督というバトンの重み
初代総監督・高橋みなみがAKB48卒業を発表すると同時に、次期総監督に横山由依を指名した時に語った一言だ。この時、高橋みなみは総監督という役職そのものをなくそうとも考えていたと語っている。しかし、AKB48ほどの大規模なアイドルグループを成り立たせるのに、総監督という役職は必要不可欠だった。
当初、高橋みなみは、横山由依に総監督を任せることはできないと考えていた。総監督といえば「怖い・厳しい」というイメージが強く、アイドル的にはマイナスに働きやすい役職であると高橋みなみは考えていたからだ。実際、横山由依に何度か総監督の打診をしたが、その都度、断られたという。
しかし、AKB48のプロデューサーである秋元康は「横山由依だな」と次期総監督候補を即答した。高橋みなみ自身、「横山由依はまだ第一線でファン獲得に専念してほしい」という思いがあったが、「総監督という役職をチャンスに変えてほしい」という期待を込めて横山由依に総監督のバトンを託したのだ。
劣等生から総監督へ! 横山由依の歩んできた軌跡とは
2009年9月、AKB48第6回研究生としてグループ入りし、翌年には9期生初のチームKへの昇格を果たした横山由依。さらに2011年には、大島優子・北原里英・指原莉乃と共に、4人組アイドルユニット「Not Yet」を結成し、本格的にメディアへの露出量が増加していった。
総選挙の順位も2011年に19位にランクインした後、順調に順位を伸ばし、2015年には10位にランクインしている。そして、高橋みなみの卒業とともに、2代目総監督としてAKB48全体のリーダーを務めることとなった。一見、エリートの道を歩んでいるように思えるが、実は劣等生だったとメンバーは語る。
総選挙の順位も2011年に19位にランクインした後、順調に順位を伸ばし、2015年には10位にランクインしている。そして、高橋みなみの卒業とともに、2代目総監督としてAKB48全体のリーダーを務めることとなった。一見、エリートの道を歩んでいるように思えるが、実は劣等生だったとメンバーは語る。
同期の中でも「落ちこぼれ」だった横山由依の研究生時代
横山由依がAKB48の研究生としてグループに入った際、「ダンスも下手でとりわけ印象に残るメンバーではなかった」と高橋みなみは語る。また、「同じ9期生17名の中で舞台に上がることができなかった3名の中に横山由依も入っていた」と、横山由依と同期の永尾まりやも語っていた。これらの話から、横山由依が研究生時代は同期の中でも埋もれてしまう落ちこぼれだったことが分かるだろう。
横山由依に転機が訪れたのは、篠田麻里子の代役に抜擢された時のことだった。篠田麻里子がスケジュールの都合で、AKB48劇場での公演に合わせることができなかったため、横山由依に代役を務めさせたのだ。メンバーの知る篠田麻里子は、プロ意識がとても高いメンバーであったため、その代役は相当ハードルの高いものだった。横山由依が落ちこぼれであったが故に、研究生の誰にとってもプレッシャーのかかるような大役に抜擢されてしまったのだ。
メンバーの誰もが不安視する大役抜擢に対して、横山由依は日々夜遅くまで同期と共に苦手なダンスを練習した。当時、寝言でリズムをとったこともあるほど努力していたという。その努力の成果は実り、横山由依のダンスは篠田麻里子をも唸らせた。篠田麻里子が後輩を褒めることは非常に珍しく、メンバーの横山由依を見る目が変わった瞬間だった。
正式メンバー昇格時に発生した「横山由依争奪戦」
2010年に正式メンバー昇格を果たした横山由依の舞台裏には、「横山由依争奪戦」があったという。篠田麻里子の代役を務めて以来、AKB48の各チームのメンバーが横山由依を自分のチームに入れたいと意思表明していたのだ。
本来、新メンバーの加入は、ダンスのケアなどをしなければならず、チームとしての完成度を損なってしまうものであるため不安視されがちだ。そのため、新メンバーの争奪戦が起きるなど異例のことだったのだ。その後も横山由依は、徐々に存在感を発揮していき、総選挙での順位も着実に伸ばしていった。
そして、2015年に総監督としてグループ全体を引っ張っていく存在にまで登り詰めたのだ。横山由依は高橋みなみのような総監督ではなく、今まで努力で登り詰めた姿を見てきたメンバーが支えたくなる総監督と言われている。年々、人気の陰りについて噂されるAKBにとって、新生AKB48の新たな飛躍を期待したくなる、そんなリーダーである。
総監督として初の総選挙へ臨む、横山由依へのプレッシャー
新聞の一面を飾ることがもはや不思議ではないAKB48の総選挙は、国民的イベントといっても過言ではない話題性を持っている。政治家の総選挙と同様に、選挙ポスターを作成し、次のシングル曲を歌うことができるメンバーを選抜する。自分が推すメンバーの順位が上昇するために、複数の票を投票するファンも珍しくない。
総選挙のスピーチの場で不安を口にした横山由依の姿を見て、涙を流しながらうなずく高橋みなみは印象的だった。総監督を味わった者にしか分からない総選挙に対する不安とプレッシャーがあるのだ。しかし、不安を口にしながらも総監督として相応しい気遣いもスピーチで見せている。
これは、過去の総選挙で高橋みなみがスピーチで語ったAKB48メンバーの裏側の話である。数字で評価されてしまうシビアなアイドル界の中にも、結果の出せないメンバーはどうしてもいるが、そのメンバーの努力も認めて欲しいという総監督なりの思いだった。このようなスピーチをすることができる点を横山由依は高橋みなみの持つカリスマ性と呼んでいるのだろう。
確かに横山由依には、高橋みなみほどのカリスマ性はないかもしれない。しかし、このスピーチの一言から、横山由依のブレない強さを感じ取った人もいるだろう。2代目総監督・横山由依率いる、新生AKB48の今後の活躍から目が離せない。
日本のアイドル文化は、今や世界に誇れるほどの大衆文化にまでなっている。そのトップをひた走ってきたAKB48の総監督の重圧は、常人の想像を遥かに超えるものだろう。私たち一般人は、ステージ上でパフォーマンスをするAKB48を応援するだけではなく、ステージに立つ努力をするAKB48を見守るべきなのだ。
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