海外出張の際に宿泊費や交通費とは別に社員の負担を補填する意味合いで支給されることがある日当であるが、その額やそもそも支給されるか否かはその企業によって異なる。このことからも誰もが気になる海外出張の日当について、相場や適正な額についてこの記事でまとめる。
海外出張の日当を設定する際に考慮していることは?
海外出張の日当を設定する際に考慮することは主に2つある。1つに職業の階級による区分の有無である。平成23年度の財務省の調査によると階級によって区分を設けている企業は20.2%、それ以外の企業は少なくて2区分、多くて5区分以上に階級が分けられている。近年は以前より区分を設けない企業の割合が増えており、社員を平等に扱おうという企業の目的が見て取れる。
2つめに地域によって区分を設けるか否かである。同じ調査において、区分を設けていない企業は52.4%と調査対象の企業の半分以上が設けていないとした。残りは2区分もしくは3区分に設ける企業が多く、出張先の距離に応じて負担を鑑みる形を取っている。
海外出張の日当の相場や適正額は?
2015年度の産労総合研究所の調べでは海外出張の日当の平均値を出張地域別にみると、北米で部長クラス5,827円、一般社員4,988円、中国で部長クラス5,277円、一般社員4,514円、東南アジアでは部長クラス5,326円、一般社員4,567円などである。どの地域に出張するにあったっても一般社員より部長クラスの方が10%程度多く日当を割り当てられている計算になる。
海外出張の日当を定める際に一律に適正な額というものは定めることはできないが、企業規則によって定められた日当額にどれほどの妥当性があるか、についてはある程度考慮する必要がある。
まず1点に近い業種の企業や経営規模が同程度の企業と比較した場合に金額に差異がないかということである。業務形態や経営の規模が異なる企業で海外出張の日当を同等に支給するというのは現実的にはあまり考えられないが、それらが似通った企業同士ではお互いの日当金額を定める上である程度の目安になりうる。また金額に納得がいかない場合に比較する材料としても有効であると言える。
次に職業の階級によって明らかな差異が存在しないかという点である。先ほども述べた通り、半数以上の企業はすべての社員に一律の日当を支給しているものの、階級によって日当の区分を分けている企業も多くあることは事実であり、この区分が適正であると認められる以上はなんら問題ないであろう。しかし社長のみが日当が著しく多いといったような不平等が存在する場合を多いに不当な配分という余地があるのは確かだ。
海外出張の日当が適正額でない場合どうすればいいの?
以上の項目にも述べてきた通り、海外出張の日当の支払いは企業によって異なるのが事実であり、また支払いに対する法的な根拠も存在しない。その上で先ほど述べたような他の企業との比較や配分の適正さについて勘案した上で、適正額でないと判断された場合は自分の企業と額の交渉をすることを勧める。
日本の税法において日当は旅費交通費などの経費の扱いとなるため非課税であり、うまく利用すれば節税対策になりうる。こういった事実を考えた上で交渉すれば、会社も待遇を改めてくれるかもしれない。
ここまで日当の相場や適正額について書いてきたが、現状で経費削減の名目で日当を完全撤廃する企業も少なからず存在することは知っておかなくてはならない。今現在日当が支給されている企業についても、社会通念上適正と思われる額の範囲内で、日当の制度を利用していくべきだ。
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