「Harry Winston(ハリー・ウィンストン)」、「Tiffany(ティファニー)」、「Cartier(カルティエ)」。これらは、言わずと知れた高級ジュエリーブランドである。世界中で愛され、これらのブランドのアイテムを所持していることがステータスと捉えられることも多い。
しかし、日本を訪れる外国人の多くは、これらの高級ブランドには目もくれず、上野や御徒町といった下町の宝石店を目当てにしているという。
なぜ外国人観光客は、上野や御徒町で宝石を買い求めるのか? そして、そもそもなぜ上野や御徒町に宝石店が多いのか? 前回に引き続き、ブランド品オークション「スマオク」の顧問鑑定士を務める本島大介氏に伺った。
戦後の混乱から日本一の“宝石の街”へ
by t-miki―――なぜ上野や御徒町に宝石店が多いんでしょうか?
本島 第2次世界大戦の終戦後まもなく、上野や御徒町にはいわゆる「闇市」が多く開かれ、日本中からあらゆる物資が集まりました。
当時の上野・御徒町には、闇市が乱立した影響で金貸しや質屋が多く存在し、それらの業種のもとには業務の特性上、宝石や高級品が多く集まりました。
次第にそれらの物品を抱えきれなくなった金貸しや質屋が、闇市で売り出したのが始まりと言われています。
―――上野や御徒町で売られている宝石の品質は?
本島 品質は非常にいいです。少なくとも偽物などはかなり少ないですね。もし、偽物や質の低いものを販売していたら、評判はすぐに広まり、廃業に追い込まれてしまいます。
品質は、高級ブランドで売られているものとほとんど変わらないんですよ。高級ブランドで売られている指輪やその他アクセサリーには、「デザイン料」なるものが含まれていて、それが高値の原因になっています。
例えば、1カラットのダイヤモンドの指輪を銀座の高級ブランド店で買おうと思うと、100万円はくだりません。しかし、上野・御徒町では、約1/3の値段で購入することができるんです。
―――外国の方は、それを分かって上野や御徒町を訪ねているんですか?
本島 いわゆる、「本物」を知っている資産家の方は分かってますね。彼らは、高級ブランドを持つことによるステータスなんて気にしませんから。
これは日本でも同様ですね。資産家や宝石業界の人ほど、上野や御徒町に行くことが多いです。日本では、ブランドの価値というものが非常に重要に捉えられていているんですよ。正直、損をしている人も多いと思いますよ。海外の資産家の方は、ブランドよりも宝石自体の価値を重視する傾向が強いですね。
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戦後の混乱期から今に至るまで、日本の宝石市場の中心を担ってきた上野・御徒町。日本のみならず、海外の観光客にも注目されるワケは、歴史に裏打ちされた品質の高さと圧倒的な低価格にあった。上野動物園やアメ横だけでなく、昔ながらの宝石店が上野・御徒町の新たな観光スポットになりそうだ。
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