ホリエモンこと堀江貴文が、自身のメルマガに寄せられた質問に答えるYouTube番組「ホリエモンチャンネル」。『堀江貴文のQ&A「進化し続けろ!?」〜vol.632 〜』では、ホリエモンがメーカー業を成功させるための意外な条件を紹介した。
今回取り上げた質問は、「製造業界向けに、バリ取り・研磨ツールを開発・製造・販売しています。扱っている商品は一つで、ニッチな市場で業績を伸ばしています。現在、GEなどの製造業大手はインダストリー4.0のようにソフトウェアを用いたサービスを始めようとしており、加工業界に置き換えるとGEがいて工作機器メーカがいて、我々工具メーカーがいる関係になります。工作機器の稼働状況や故障などのデータ分析から始まり、工具の最適化まで及んだ場合、従来通り消耗品ビジネスに徹底するか、ツールにセンサーをつけ、データが取得できるように開発するか。
ただ、IoT関連が自社のビジネスとして、成り立つのか疑問です(GEのように元締めにならないと意味がないように思います)。自社の製品の特許が切れ、競合や中国に真似され始めた場合、自社ツールを使用してもらえるようになる可能性はあるかもれませんが。今後の開発の方向性について、ご意見頂ければ幸いです」という質問。
ガラケーからスマホの移行で崩壊しかけた業界!?
ホリエモンは、「うーん、商品一つは怖すぎるので、その改良に力を入れるよりは他に事業の柱をいくつか作るべきでは? IoTとか言っている場合じゃない気がするけどな……」と回答。
IoTなど高度化していくモノづくりの世界において、バリ取りツールの専門会社がこれからも通用するかを懸念する今回の質問者だが、ホリエモンはそもそも一つの商品に傾注すること自体がかなり危険だとアドバイス。日本には、他には真似できないような技術を使って一種類の部品を作っているメーカーがたくさんあるが、これは見方によっては大変危険なビジネスだ。
今回のゲストで、家電ベンチャー企業としてスマホで使える自撮り棒(カメラスタビライザー)などを手がける株式会社UPQの代表取締役 中澤優子氏が、ガラケー作りに関わっていた頃のエピソードを披露。
過去、ガラケー時代には繁盛していたヒンジ(ガラケーの折り畳み部分に使われている金属部品)が、スマホに移行した途端に一気になくなってしまったということがあった。ガラケーのために会社を興した人までいたほどなのに、業界内ではどうしようもない外部的な要因によって業界全体が騒然としたという。
ホリエモンはこの話に大感動。「IoTがどうのこうのとか言ってる場合じゃないよ!」というように、ヒンジメーカーと同じ状態になる可能性は十分にある。一つの部品だけを作ることで、クオリティを高め、安価で製造することはできるかもしれないが、その部品を使う製品がなくなれば為す術もなくなってしまうのだ。
ホリエモン「イケてる会社は、新しいところで技術を使えるようにしている!」
ヒンジの話から分かるのは、どんなに盛況な部品業界でも、製造プロセスやプロダクトそのものがイノベーションによって変わってしまえば、一瞬で業界全体がダメになる恐れがあるということ。この危険を回避するには、常に武器を複数持っておくしかない。
ガラケーからスマホへの急速な移行は、ヒンジに限らず、ガラケーのみを製造していた多くのメーカーに大打撃を与えたはず。ここから中澤氏は、「『次の一手』というほどの大きな意味ではなくても、どんな立場でも常に新しいもの・ことを考えていなければならない」と指摘。ガラケーという大きな市場でも一気に変化したくらいなのだから、どの業界にだって同様の変化は常に起こりうる。
ホリエモンもこの意見に賛同。「イケてる会社って、いま持っている技術を新しいところで使えないかどうかを考えているよね」というように、必ずしも新しい技術を生み出さなければならないわけではない。手持ちの武器を色んな場所で使えるようにすれば、一気にお役御免になるということにはならないだろう。
質問者のような、言ってしまえば大手にぶら下がった状態のメーカーでもこうした工夫はできるはず。中澤氏も「どんなレイヤーの会社でも、きっとやれることはある」と励ましの言葉をおくる。
どんなに優れた会社でも、一カ所に留まっていれば一気に地位を失う可能性はある。小さなことであっても、常に進化して変わり続けていくことが、そうした危険をなくための一番の手段のはずだ。進化論で有名なダーウィンも言った。「最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である」と。
ホリエモンがメーカー業の在り方について語った『堀江貴文のQ&A「進化し続けろ!?」〜vol.632 〜』。動画が見たい方はこちらからどうぞ!
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