健康な日々を過ごせるように運動も意識的にしている人ならば、きっと聞いたことがある「ピラティス」や「ヨガ」という言葉。しかし、ピラティスやヨガが実際にどういうもので、ピラティスとヨガの違いはなんなのかをちゃんと知っている人は、意外と少ないだろう。
知名度的に、ヨガなら聞いたことがあり、もしかしたらやったこともあるという人はいるかもしれない。しかし、ピラティスとなると、その数は一気に減るのではないか。そこで今回は、このピラティスやヨガについて理解が深まるよう、そしてみなさんの健康的な日々の運動に繋がるよう、ピラティスとヨガの違いをお教えしよう。
簡単解説:ヨガってそもそもなんなの?
by Matt Madd ヨガの起源は、4千年から5千年前のインド・インダス文明まで遡る。そもそも「ヨガ」という言葉自体は、サンスクリット語の「つなぐ」という意味を持つ「ユジュ」を語源とした言葉であり、「心・体・魂を一つにつなげる訓練」のために生まれたものである。ちなみに、ヨガをヨーガと呼ぶ場合もあるが、これはどちらでも問題ない。
ただ、あえて区別をするならば、ヨガは現代においてよく行われているエクササイズ要素の強いもので、ヨーガは瞑想を中心に行われるものとして呼び方が変わることが多いようである。
そして、現在私たちが主に接しているのは、体の調整のために行う「ハタヨガ」と呼ばれるヨガである。ヨガには、このような体を動かすこと以外に、瞑想や心理のコントロールを目的とする「ラジャヨガ」、そして奉仕の精神を養う倫理的な「カルマヨガ」などの種類が多数存在し、私たちが接している「ハタヨガ」は、そうした多くのヨガ哲学のうちの一つなのである。
この現在主流となっている「ハタヨガ」は、ハは太陽を、タは月を意味し、陰陽を表している。そして、これらを一つに融合させていくというのがヨガの目的とされているのだ。
太陽と月以外にも、心と体、空と大地、男と女というような対立の関係性があるものが、互いの違いを認め合い、調和・融合をしていくことがヨガの真意だ。自然の摂理に逆らわずに、対立の関係性を体の内外でバランスをとりながら感じていくヨガの奥深さは、多くの人の心をとらえ、愛されているのだ。
3行でわかる「ヨガ」
- ヨガは、4千年以上前にインドで生まれた「心・体・魂」をつなげる訓練
- 一般的なカラダの調整のヨガの他にも、ココロのコントロールを目的としたヨガなどもある
- 陰と陽、男と女など、さまざまな対立の関係を調和していくことが真意
簡単解説:ピラティスってそもそもなんなの?
by Robert Bejil Productions 続いて、ピラティスについてご説明しよう。ピラティスとは、ダイエットや運動のために生まれたものではなく、実はリハビリのために開発されたリハビリ運動なのである。戦争で負傷してしまった兵士らのリハビリ目的で考案されたエクササイズが、ピラティスなのだ。
もともと、怪我をしている人のために作られたエクササイズのため、どんな人にも効果が表れるというのが特徴である。実際には、身体の内側にある「コア」と呼ばれる筋肉を鍛えるのが目的であり、体幹を中心とした身体の軸がしっかりすることによって、身体全体のバランスが整えられる。
一般的な筋肉トレーニングなどでは、なかなかこの「コア」を鍛えることが難しいため、そんな時にはピラティスが有効なのである。そんなピラティスの動作には、身体の歪みを治していき、骨を助ける筋肉を鍛える動作も多い。そのおかげで、骨盤の歪みや姿勢の悪さなどが改善されるのである。
さらに、骨の周辺の筋肉を鍛えることによって、常に骨が正しいところに位置するようなるので、のちのち歪みにくくもなるというわけだ。
3行でわかる「ピラティス」
- ピラティスは、リハビリ運動として始まったもの
- コアと呼ばれる身体の軸を鍛えるのが目的
- ピラティスには、身体の歪みや姿勢を矯正する働きがある
違いはココ。ヨガとピラティスを徹底比較!
ヨガとピラティスの両者は、そもそも持って生まれた本質自体が違うことがわかるだろう。ヨガは、身体と精神を調和・融合し、安定した状態へ結びつけることを目的として生まれた……いわば修行法であるのに対し、ピラティスはリハビリの為に開発されたリハビリ運動であり、自分の身体を己で認識し、中心から鍛えては正しい身体でいられるようにすることを目的としている。精神的なリラックスをするのに重点が置かれているヨガに対し、体幹を鍛えることに重点が置かれているのがピラティスだとも言うことができるだろう。
ヨガとピラティスの違いをまとめると……
- ヨガは、心と体の調和を目指す、修行法
- ピラティスは、リハビリのための運動
- 精神ならヨガ、身体ならピラティスと覚えよう!
ピラティスとヨガの両者に詳しくない人からすると、一見なにやら同じようなものに感じてしまうかもしれないが、実はこんなにも違うものであったことがおわかりいただけただろうか。両者の違いや目的を比較してみて、実は自分に必要なのはこっちだ、と検討する手伝いになれば幸いである。
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