2015年に引き続き、アメリカの経済誌「フォーブス」から世界長者番付の2016年版が発表された。この長者番付は「ビリオネア」と呼ばれる10億ドル（約1140億円）以上の資産を持つ資産家が対象で、毎年フォーブスが発表している。昨年は1826人のビリオネアが発表されたが、2016年は1810人に減り、全体の資産総額も昨年の7兆500億ドル（約797兆円）から、2016年は6兆4800億ドル（約723兆円）に減少している。
それでは以下に世界長者番付2016年版をランキング形式で発表していく。なお今回の記事はフォーブスのThe World's Billionairesを基にしている。（記事内のドル/円換算は2016/3/7現在 1$＝114円のもの）
2016年 世界長者番付 TOP10リスト
2016世界長者番付1位 ビル・ゲイツ（60・マイクロソフト）8兆5680億円
2015年に引き続き、2016年も世界一の資産家はこの人。言わずと知れたマイクロソフトの創業者でお金持ちの代名詞のような人物。1995年から2007年まで13年連続で1位だったこともある長者番付の常連で、2008年以降は1位の座を明け渡すこともあったが、近年は再び1位が定位置になっており、2016年もその座を守った。
昨年に比べ資産額は多少減少してはいるが、それでも2位以下に9000億円近くもの大差をつけており、彼のすごさを物語っている。
2016世界長者番付2位 アマンシオ・オルテガ（79・インディテックス）7兆6541億円
2015年の4位から一気に2つ順位を上げ、2016年の長者番付において2位にランクインしたのが、スペインのアパレルブランド「ZARA」の創業者アマンシオ・オルテガ氏。2015年の10月には一時的とはいえ、1位のビル・ゲイツ氏を抜き世界一の資産家になったこともあるオルテガ氏。
近年の躍進が目立ち、約8兆円の資産を持ちながらも、普段は机に黙々と向かいデザインを考え、食事は一般の社員と社員食堂で取るという謙虚な姿勢の持ち主。巨万の富を築いた今でも、その根底にあるのは、あくまで一人の職人という気持ちのようだ。
2016世界長者番付3位 ウォーレン・バフェット（85・バークシャー・ハサウェイ）6兆9458億円
2015年から順位を1つ下げ、2016年の長者番付3位にランクインしたのは、世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務めるウォーレン・バフェット氏。85歳と高齢ながら、現在も現役で活躍するアメリカの投資王だ。
莫大な資産を保有する一方、寄付に積極的な人物として知られ、これまでも総資産の37％にあたる、約2兆6000億円を寄付しており、アメリカで「最も寄付金額が多い」人物に選ばれたこともある。
2016世界長者番付4位 カルロス・スリム・ヘル（76・アメリカ・モービル）5兆7120億円
2015年は世界長者番付2位にランクインしたものの、2016年は2つ順位を下げて長者番付4位に入ったのは、メキシコの資産家カルロス・スリム氏。アメリカ・モービルなどの通信会社を多数所有し、ラテンアメリカの通信産業に非常に強い影響力を持つといわれている。
長者番付4位にランクインし、約6兆円の資産を持つ彼だが、非常に謙虚な人物として知られ、現在も簡素なオフィスを使い、月給は約200万円に固定している。世界長者番付4位の彼は、生活も質素と言われており、かつて「自分は実直な人間だし、子どもたちもそうだ。贅沢な趣味もないし、何につけ控えるようにしている」と語っている。
2016世界長者番付5位 ジェフ・ベゾス（52・アマゾン）5兆1636億円
2016年の世界長者番付5位にランクインしたのは、ECサイトの雄・アマゾン（Amazon）の創業者にして同社のCEOを務めるジョフ・ベゾス氏。アマゾンの成長とともに資産を増やしてきた同氏だが、2015年末にフォーブスが発表した「最も資産を増やしたビリオネア」では見事1位に輝いており、彼とアマゾンの勢いを象徴している。
その資産の増加額は、2015年だけで総資産の半分を占めるほど。2016年も変わらぬ勢いを見せる彼だが、来年の長者番付ではどこまで順位を伸ばせるだろうか。
2016世界長者番付6位 マーク・ザッカーバーグ（31・フェイスブック）5兆951億円
10人のビリオネアの中で最も若くして長者番付に名を連ねたのは、世界最大のソーシャルネットワークを運営するフェイスブック（Facebook）の創業者にして、現CEOのマーク・ザッカーバーグ氏。2015年に約4兆円で世界長者番付16位だったザッカーバーグ氏は、一年で1兆円近くも資産を増やし、2016年の世界長者番付では約5兆円で6位に躍進。
ハーバード大学在学中に会社を立ち上げた彼は、当初の勢いをそのままに現在の地位を築き上げた。長者番付5位のベゾス氏と共に、テクノロジー業界の勢いを象徴する同氏。彼も、2016年以降の長者番付の順位変動が気になるところだ。
2016世界長者番付7位 ラリー・エリソン（71・オラクル）4兆9808億円
2016年の長者番付で7位にランクインしたのは、データベースソフトをはじめとする大手ビジネスソフトウェア企業オラクル・コーポレーションの共同設立者で、現CTOのラリー・エリソン氏。日本ではあまりなじみのない同氏だが、オラクルの成長を支えてきた切れ者として知られる。
現在でこそ莫大な資産を保有する彼だが、現在に至るまでには幾多の辛い経験を乗り越えてきた過去がある。生後9か月で養子に出された彼は、12歳まで養子ということを知らずに過ごす。その後、養父の経営する会社が倒産するなどの様々な危機を乗り越え、当時の同僚と共にオラクルを起業、世界的な大企業に成長させた。
2016世界長者番付8位 マイケル・ブルームバーグ（74・ブルームバーグ）4兆5696億円
2016年世界で8番目の資産家に選ばれたのは、アメリカの大手通信会社ブルームバーグの創業者で現CEOのマイケル・ブルームバーグ氏。会社設立後、ウォール街の企業へ金融情報端末を販売して巨万の富を築き上げた。
2016年現在は、同社のCEOとして辣腕を振るう彼だが、政治家としての側面も持っており、一度CEOを辞任した後に、本社のあるニューヨーク市の市長を務めたこともある経歴の持ち主である。
2016世界長者番付9位 チャールズ・コーク（80・コーク・インダストリーズ）4兆5239億円
日本ではあまりなじみのない人物が2016年の世界長者番付で第9位にランクインした。ランクインしたのは、アメリカカンザス州に本社を置くコーク・インダストリーズ社CEOのチャールズ・コーク氏。
経営する会社と共に、日本での知名度は決して高くはないコーク氏だが、コーク・インダストリーズは毎年2000億円近くを稼ぎ出す、非上場企業としては世界最大級の会社だ。科学にも精通しており、経営に科学を取り入れた経営方法は、各方面から絶賛されている。
2016世界長者番付10位 デイビット・コーク（75・コーク・インダストリーズ）4兆5239億円
2015年世界長者番付に引き続き、兄と共に9位に入ったのは、コーク・インダストリーズ社で副社長を務めるデイビッド・コーク氏。兄のチャールズ氏と共に同社の経営をしている彼だが、兄を彼が支えていたからこそ、ここまで大きな会社に成長したという声もある。
2016 世界長者番付 日本人堂々の1位は2015年に続きあの人
2016世界長者番付57位（日本人1位） 柳井正（67・ファーストリテイリング）1兆6600億円
2015年に引き続き、世界長者番付の日本人トップに立ったのは、ユニクロなどのファストファッションブランドを展開するファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏。
順位こそ守ったものの、昨年資産額2兆3000億円で41位だった柳井正は、2016年は1兆6600億円で57位に。
柳井氏以外の日本人に目を向けても、2016年世界長者番付では順位を下げる傾向が目立つ。孫正義（58・ソフトバンク）は2015年の1兆6000億円での75位から、今年は1兆3300億ドルで82位に、三木谷浩史（51・楽天）も、2015年は9900億円だった資産が6400億円に減少し、順位は151位から228位に急落した。
以上、2016年の世界長者番付トップ10の人物と3人の日本人資産家を紹介してきた。順位の変動こそあったものの、トップ10に名前を連ねる人物にそこまで大きな変化はなかった。しかし今回の長者番付では、アマゾン・フェイスブック両社の経営者の資産額の大きな増加に驚かされた。ともに近年世界の注目を浴びる企業で、その勢いがそのま長者番付に反映された形だ。次回の長者番付では、両者が何位にランクインされるのか、実に楽しみである。
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