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小さな販売店に知って欲しい7つの販売のコツ:名物書店員が語る、EC時代の販売店『まちの本屋』

Erika Muranaka

2016/02/29(最終更新日:2016/02/29)


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小さな販売店に知って欲しい7つの販売のコツ:名物書店員が語る、EC時代の販売店『まちの本屋』 1番目の画像
出典:www.flickr.com
 まちの本屋がどんどん消えていっている。君はこの事実に気づいているだろうか。『まちの本屋』の著者は、書店業界ではその名を知らぬ者はいないほどの名物書店員、さわや書店フェザン店の店長・田口幹人氏である。彼が仕掛人となってベストセラーとなった本も少なくない。

 『まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す』では、田口幹人氏が本にかける思いと、販売にどのような工夫をしているかが惜しみなく描かれている。昨今消えていっているのはまちの本屋だけではない。大型販売店の台頭で、多くの小さな販売店が苦境に立たされている現実がある。

 『まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す』から、田口氏が実際に販売において工夫している点をいくつか紹介しよう。それが小さな販売店の販売のコツとならないかも合わせて考えてみたい。

『まちの本屋』に学ぶ、小さな販売店が意識すべき7つの「販売のコツ」

販売のコツ #1:売りたいという意識

 田口氏は、売れる本ばかりを仕入れるのではなく、売れる本を書店員が作り出さなければならないと考えている。他の販売店で結果が出たパネルをそのまま使ってもだめで、自分たちの販売店を耕す意識で、自分たちが売りたいという意識をもって販売に工夫をすることがコツなのだという。

 販売店であれば売れてるものを仕入れてしまうのは当然だ。販売店は販売することが仕事だからだ。しかしそこで発想を変えることが販売のコツとなってくる。自分たちが売りたいものを販売しようとするその意識がまず必要なのだ。そこから多くの販売のコツが生まれるのである。

販売のコツ #2:出会いを演出する

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 販売のコツとして、お客様と本の出会いを演出することが重要だと田口氏は考えている。パネルや本の解説を自分たちでつけ、お客様が最大限に商品の魅力を感じられるようにするのが販売のコツとなる。

 このような販売のコツを実践している販売店は少ない。ほとんどの販売店は売れるかどうかを、その商品の力に任せている。販売店が商品に手を加えることはできない。販売店が工夫できるのは、販売の場、お客様と商品の出会いの場なのだ。

販売のコツ #3:売れていない商品に意味を

 田口氏は売れていないけれど、その本が隣にあることで横に並ぶ本の意味が変わるという一冊を在庫に入れるという。売れている商品ばかりを置くのがよいとは限らない。売れていない商品にどのような意味をもたせるか工夫をするのが販売のコツなのだ。

 売れる商品ばかりを揃えようとする販売店は少なくない。売れていない商品に意味をもたせるという発想を取り入れることで、様々な新しい販売のコツが生まれるかもしれない。

販売のコツ #4:販売店の個性を出す

 売れなくても、ここだけは大事にしようという売り場を持つことも販売店が生き残るためのコツとなる。田口氏は震災関連の本を含め、郷土書の売り場を書店の個性にしている。

 販売店に個性があるということは、そこでなくてはいけない理由ができるということだ。大型販売店は利便性には優れるが、とかく画一的で没個性になりがちである。小さな販売店が生き残っていくためには、個性をもつことが大事なコツとなるのだ。

販売のコツ #5:お客様との信頼関係

 お客様とのちょっとした会話から関係を深めていくと、どんな本がおすすめかを尋ねられるようになることもある。コミュニケーションを深めて、信頼される書店になることが重要だと田口氏は考える。

 お客様と信頼関係を築くことは、販売のコツとしても重要なことだろう。何を買うかは重要であるが、誰から買うかを選ぶお客様もいる。お客様との信頼を築くという販売におけるコツは、販売店が疎かにしてはならないものの一つといえる。 

販売のコツ #6:地域とのつながり

 地方の小さな書店では、店頭だけの売上だけで経営を維持することが難しい状況にある。事業所や官公庁、図書館などに本を配達する外商が重要だと田口氏は言う。これは地方の小さな販売店のほとんどに当てはまることだ。

 小さな販売店は地域とのつながりを大切にし、地域づくりに参画していくことが、販売を支えるコツとなるだろう。

販売のコツ #7:ネットマーケットとの関係

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 Amazonをはじめとしたネット書店の勢いが強くなってくる中で、リアルな書店はどうなるか。田口氏は「リアルな書店でしかできない役割を果たせば大丈夫だ」と考えている。昨今は、あらゆるものがネットで買える状況にある。多くの販売店は、その年々大きくなるその影響を恐れているだろう。

 しかし、恐れるのではなく、リアルな販売店である自分たちにしかできない役割を果たせばいいのだ。それが販売のコツだ。リアルな販売店にしかできないこと、それは上述した7つの販売のコツにもつながるものである。それぞれの販売のコツを押さえながら工夫をしていけばいいのだ。


 以上『まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す』から田口氏が実際に販売において工夫している点を紹介しながら、小さな販売店での販売のコツとして考えてみた。どのコツも言われてみれば当たり前のことのように感じられるかもしれない。しかし、実際に販売店を見てみれば、これらの販売のコツが実践されている店の方が少ないのが現状である。

 言われてみれば当たり前のコツであれば、少し意識をすれば実践するのに難しくないはずである。販売のコツとして紹介したが、ビジネスにおける心得にもなる。ぜひ多くのビジネスパーソンに実践してほしい。

 『まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す』を読めば、より具体的に書店員としての田口氏の思いや考え、何を実践してきたかが分かってくる。一人のビジネスマンの熱い実践の記録としてぜひ読んでもらいたい。

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