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『ワーク・ルールズ!』から学ぶ「9割のことがそれでうまくいく、3つのキーワード」とは

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2017/08/09(最終更新日:2017/08/09)


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by julochka
2015年に話題となった、グーグルで人事担当責任者を務めるラズロ・ボック氏が書いた「WORK RULES!(ワーク・ルールズ)」。世界で最も働きがいのある会社といわれるグーグルの人事や、文化についての考え方がわかりやすく記載されている。本書を読んで、「未来の働き方」について考察する機会になった方も多いのではないだろうか?

筆者は、グーグルの人事制度やその膨大な事例を掲載した「WORK RULES!」を読んでいた時、数カ月前の途上国旅行の経験をふと思い出した。そこから見えてきた本書のテーマにも通じる「大切なもの」とは一体なんだったのだろう?

警戒と交渉。海外旅行の疲れ

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by Kerri Lee Smith
途上国を旅行した経験者は、次のようなことを感じたことがあるかもしれない。

途上国では、「誰も信頼するな」と誰もが言うような所がある。そこでは、とにかく注意をしていないと、自分が損をする。タクシーに乗るにも交渉をして適正な価格にしなくてはならないし、何かを買うとき商人が言っていることが本当かどうかを見極めなくてはいけない。ある意味、途上国旅行の醍醐味でもあるが、そこには常に一定の緊張感と警戒が存在する。

交渉を有利にするために、あえて非友好的な態度と友好的な態度を入れ替えてみたりするのは、楽しく刺激的かもしれないが、気付けば旅行の多くの時間がそのようなことを考えるのに使われていることもある。「今度またあの人がふっかけてきたら、返り討ちにしてやろう」こんなことを思うようになり、いつしか誰も信頼することがなくなっている。そのように、「交渉」や「政治活動」は、自分の思考を奪い、いつしか「疲れ」が出てくる。

いかに「政治活動」を排除するか。信頼のある環境とは

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by FredericRivollier
グーグルは、「政治活動」を排除し、「信頼」しあえる環境をつくりあげようとしていると著者は言う。著者は、「政治活動」は社内で権力闘争することに注力してしまい、重要な業務に支障をきたすから悪であると述べている。私は、それに加えて、そのよう な行為は「幸福」を減らすと上記の旅行から感じた。旅行の目的はたくさんあったのに、いつしか狭隘な目的に自分の時間と体力を使ってしまっていた。

では、グーグルはどのようにして「政治活動」がなく、自由でフラットな環境を作っているか。もちろん、これらの制度は真摯な検証と評価を経て制度化されている。キーワードは、「公正」「透明性」「権力委譲」である。

キーワードは「公正」、「透明性」、「権力譲渡」

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by expansion1234
「公正」、「透明性」、「権力委譲」、と叫ぶだけでは当然組織は変わらない。これらの目的を達成するための手段があるはずだ。グーグルはどのような手段を講じたのか。

「公正」に関して、これは社員の評価や調査方法だけでなく些細(と思われるよう)な物事に対しても徹底されているのだ。次のエピソードが筆者は面白いと感じた。

ある日、無料のカフェテリアに「フリー・チベット・ゴジチョコレート・クリームパイのチョコレート・マカダミア・ココナッツ・デーツ・クラスト添え」といったメニューが登場。これ(「フリー・チベット」という記載)に対して、賛同的な意見があるなか、いくつかのグ ループは「ある価値観に加担するのは公正なのか」と問題を提起したそうだ。たかがデザートのメニューだが、公正こだわるグーグルでは数百通のスレッドによる議論に発展した。激しい議論は、残念ながら結論に達することはなかったようだが、グーグルの文化を表すひとつのエピソードだと思う。

「透明性」に関して、グーグルは社員に多くの情報を公開している。例えば、新人エンジニアでさえも、自分が担当している製品だけでなく、ほぼ全ての製品、新規事業などのコードベースにアクセスすることができる。また、誰かに関する悪意のあるメー ルを送信した際、その当人がスレッドに加えられる。そうすることで、「政治活動」や「裏切り」を排除し、「言った覚えはない」や「そのような意味で言ったわけではない」といった言い訳が通用しないようにしているのだ。

「権力委譲」は権力を持っている側からすれば不満の出る作業だと思う。グーグルでは、役員に特別な福利厚生を用意せず、マネージャーは独断では社員の採用や昇給・昇進をできない仕組みがある。またグーグルでは肩書を自分で選べるようになっており、必ずしも肩書とリーダーシップは一致しない。そして、このような制度を作ってきたのは、「マネージャーの鶴の一声」ではなく、公正な検証とそれに基づいたデータなのである。グーグルの基本方針は「政治活動をするな。データを使え」だそうだ。このような仕組みなしでは、マネージャーは当然権力を持ち続け、「フラットな環境を作ろう」と言っても、実現するはずがない。


「公正」、「透明性」、権力譲渡の代償

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by jdlasica
「公正」、「透明性」、「権力委譲」。とても響きがいい言葉ではあるが、リスク無しに語ることはできないのも事実である。

グーグルで、ある仕様書が社外に漏洩することがあったそうだ。漏洩した者は特定され、漏洩が偶然であっても必ず解雇される。しかし、当時のエリック・シュミットCEOは、この仕様書が世間に知られる前に、社員全員に公開した。漏洩があっても、社員を信じ続けたのだ。「私達全員が機密情報を守ると信じています」、彼は高らかに宣言した。

人を信じることが前提で、9割はうまくいく

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by brionv
まず、信頼を基礎にできあがった組織や職場環境は、そのメンバーの幸福に影響があるだけでなく、「重要なこと」にエネルギーを注ぐことができるようになる意味で、有益である。

元ゴールドマン・サックス副社長のキャリー・ローレノは次のように述べた。「グーグルに来てから、まず人を信じることが前提になりました。9割のことはそれでうまくいきます。」このような環境を作るには、「公正」、「透明性」、「権力委譲」という要素が必要だ。これらの要素を達成するために、あらゆる実験を行い、それぞれの組織に適応する施策や制度を設計していかなければならない。また、できあがった制度も、常に再評価され、改善を加えられていく必要があるだろう。

「当たり前」のことだが、どれだけの精度、正確性でやるかがカギなのではないでだろうか。

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