稼ぐ人と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべるだろうか。商品を大量に売ることができる人、お金を安定的に生むビジネスモデルを作りあげた人、多くの人をイベントに集客できる人など、稼ぐといっても様々だ。
その中でも多くのビジネスマンが最初に経験するのが、商品を顧客に売る営業だ。営業とは、あらゆるビジネスの本質であり、営業を成功させることができなければ、商品を売り、お金を得るということはできない。
どんなに優秀なスキルを持っていたとしても、そのスキルの価値を相手に伝える能力が無いと、それを価値に変えることはできない。ゆえに、その価値を相手に正しく伝えることができる能力、営業はビジネスにおいて必要不可欠である。
『稼ぐ言葉の法則』ハイライト
本書『稼ぐ言葉の法則』は、経営コンサルタントとして2万人もの起業家・経営者を輩出し、『GQ JAPAN』(2007年11月号)では、“日本のトップマーケター”に選出された神田昌典氏が「売れない」「稼げない」と思っている人に向けて書いた本だ。
あなたが、商品を売ることができない、お金を稼ぐことができないと弱気になっているのであれば、あなたが仕事で抱える悩みや課題を解決するのに本書は役に立つであろう。
あなたは一個のりんごから、どれだけ価値を引き出せるのか。
出典:www.ieat.com.hk 営業を成功させるために、考えるべきことはその商品からどれだけ価値を引き出せるかだ。りんごを例に挙げると、あなたの周りに初対面の人が100人がいるとする。その人たちに、りんごを買ってもらうにはどうすればいいのか。ただ、「りんごいりませんか?」と聞いても買ってくれる人はいないだろう。それはなぜか――。どんなりんごか分からないから、欲しいかどうかも判断できないからだ。
そこで、多くの人は営業を成功させるために、説明を工夫して売ってみようと考える。「長野産」、「糖度13%」など商品情報を増やす。そうすることで、商品の価値はどんどん上がっていく。つまり、商品の価値とは、その商品に関する情報をどう引き出し、どう配列するかによって決まるのだ。
しかし、重要なことは説明を尽くしたりんごが売れないということだ。理由は、直感的に分かりづらいからである。神田昌典氏の経験上、商品の売上が上がらない原因の8割が商品説明が分かりづらいということだった。そこで、クライアントの事業を売れるようにするために神田昌典氏が編み出した5つの質問を成功法則としてまとめてみた。
“商品を売る力”を身につけるための営業の成功法則
営業の成功法則①:商品は2つの特徴で売れ!
出典:ja.wikipedia.org 分かりやすい商品説明をし、営業で売上を上げるために最初に考えるべき問いは、次の2つだ。
「あなたの商品はどんな商品か」
「その特徴2つを20秒以内に直感的に説明するとしたら、どう説明するのか」
特徴を1つではなく、2つ挙げる理由は、2つの方がより明確にイメージできるからだ。りんごを例にとると、長野県・佐久高原産だけではあまりイメージできない。しかし、メダカが泳ぐ川という特徴を加えると「長野県・佐久高原、メダカが泳ぐ川近くの農園で育てられました」となり、イメージがしやすい。
このように、2つの特徴であなたの商品を説明することで、イメージの湧きやすい、分かりやすい商品説明が可能となるのだ。しかし、商品を分かりやすく表現するだけでは、興味を持ってもらえるかもしれないが、お金を出してくれることは無い。
営業の成功法則②:商品を渇望する顧客は誰か?
次に考えるべきなのは、顧客だ。ここで考えるべき問いは「この商品を20秒以内で説明しただけで、『なんとか売ってくれ』と頭を下げて、嘆願してくるお客はどのような客か?」である。
そもそも人が行動する原理は、苦痛を避けるため、快楽を得るための2つである。営業を成功させ、売上を上げるためには、苦痛を避けるためのほうが圧倒的に成果はでやすい。なぜなら、苦痛をそのままにすることは人間にとって耐え難いことだからだ。顧客の苦痛を理解するには、顧客の痛みを自分の痛みとして感じられる感性を養うことが重要である。これこそが商品を売る上で非常に重要な資質となる。
つまり、欲求にフォーカスするのではなく、「顧客は何に困っているのだろうか」と相手の痛みに想いを馳せ、彼らの言葉にできない痛みを感じ取ることで、顧客が受け取る価値も引き上げることができる。
営業の成功法則③:自社の価値を言葉で表現せよ
商品を知ることで「提供する価値」を引き上げ、顧客を知ることで「受け取る価値」を引き上げた。しかし、まだ顧客はお金を出してくれない。その理由は2つある。価格が分からない、売り手が誰か分からない。つまり、信頼性が欠如しているのだ。
よって、営業を成功させるために次に考えるべきことは、自社の価値である。ここでは次の問いを考える。
「いろいろ似たような会社がある中で、既存客は、なぜ自分の会社を選んだのか? 同じような商品を買えるような会社がいろいろある中で、なぜ既存客は、自分の会社から、この商品を買うことにしたのか?」
ここで考えるべきことは、「既存客がなぜ自社を選んだのか?」ということである。顧客は、最も信頼できるとこから商品を買う。そこで、重要なのが、「あなたの会社の何が評価されているのか?」ということである。つまり、自社の信頼性はどのような言葉で表現できるのかを考えるのが営業を成功させる上で重要だ。
営業の成功法則④:共感を生み出せ
ここまでくれば買ってもらうことはできるが、より商品の価値を高めたい。そこで、営業を成功させるために次の問いを考える。
「いったい、お客は、どんな場面で、怒鳴りたくなるほどの怒りを感じているのか?」
「どんなことに、夜も眠れないほどの悩み・不安を感じているか?」
「どんなことに、自分を抑えきれないほどの欲求を持つか?」
「その『怒り・悩み・不安・悲しみ』をお客が感じる場面を、五感を使って描写すると?」
りんごを例にとると、お子さんの健康を気遣うお母さんが顧客の場合、「愛にあふれる家族に、真の安心と健康を届けるリンゴづくりが私のライスワークです」と心から表明するだけで、どれほどの人がこのりんごを食べたいと考えるだろうか。
このように、顧客の内面を深く想像することで、「この会社はどうして私をここまで分かってくれるのだろうか」と顧客を感動させることができる。そうすることで、商品だけを販売し、ビジネスとしてのみの関わりを持つ会社と大きな差別化が図れるはずだ。
営業の成功法則⑤:圧倒的な証拠
商品・サービスの購入というのは、顧客にとって「今の自分から、新しい自分に変化する」ということである。顧客はその解決策(商品・サービス)が正しいかを感情で判断し、次にその解決策の判断が本当に正しいかを理性で判断する。
そこで、営業を成功させるためには、購買情報に役立つ情報を提供する必要がある。そのために必要なのが次の問いだ。
「なぜこの商品は、その悩みを簡単に、短時間で解決できるのか?」
「それを聞いた途端、お客はどんな疑いを持つか?」
「その猜疑心を吹っ飛ばす“具体的・圧倒的”な証拠は?」
りんごで例えると、糖度○%などではなく、愛に溢れる家族の記憶というトータルな価値を提供しているという事実が必要ということだ。その時に、圧倒的に有効なのは、お客様の声、写真なのである。その疑いようの無い、圧倒的な証拠が営業を成功させるのに必要となるのだ。
“商品を売る力”を身につけるための営業の成功法則5つ
- 商品は2つの特徴で紹介せよ
- 商品を渇望する顧客は誰か?を考えよ
- 自社の価値を言葉で表現せよ
- 共感を生み出せ
- 圧倒的な証拠を見せつけろ
商品を売る力を身につけるための様々なエッセンスが凝縮された本書『稼ぐ言葉の法則』から、営業の成功法則を抜粋した。
今までは、個人が生きていく上では会社に頼るしかなかった。しかし、これから会社が成長し続けるためには、会社にしがみつく個人ではなく、稼ぐ力を持つ、自立した個人が必要不可欠となる。
「売れない」「稼げない」という悩みを持つ人はもちろん、営業で成果を出したい、個人のスキルを底上げしたいという人も是非、一度読んでみることをお勧めする。
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