投資銀行とは企業を顧客として、有価証券の売買・M&Aの仲介によって利益を得ることを主な業務とする銀行のことである。私たちが普段使っている、個人・法人から資金を預かり、企業に融資を行なうことで利益を得ることが主な業務の商用銀行とは対照的な存在だ。
外資系企業の進出で、最近どんどん存在感を増している。今回は投資銀行の業務やそこで働くために必要なものについて紹介する。
投資銀行の業務ってどんなものがあるの?
投資銀行の業務にはフロントオフィスとバックオフィスがある。投資銀行のフロントオフィスは、企業間の合併吸収であるM&Aの企画立案・交渉や、投資銀行としてお金を集めるといった多額の資金を動かす仕事である。高給だが非常に激務である。
一方で投資銀行でのバックオフィスとは、経理や人事、税務処理やコンプライアンスなどの法遵守の管理、セキュリティー管理など主にマネジメントの仕事を行う。他にも口座の開設や維持管理、データ管理、定期報告や書類作成といった業務もある。事務的な作業で会社を支えている。
詳しい業務は以下の八つだ。
・ファイナンシャル・アドバイザリー業務
・資金調達
・IPO支援業務、引受業務
・買収・合併などの仲介業務
・不動産投資および不動産証券化
・証券化ビジネス業務
・事業再生業務
・ディーリング&トレーディング
投資銀行には学部や専攻の差はあるの?
これにはYESともNOとも答えられる。投資銀行は国内外の法人と契約や交渉を行うため、ハイレベルの専門知識と語学力が求められる。しかし、これらのスキルは大学の学部レベルを超えているために、「経済学部で学んだから」という理由では差がつかない。投資銀行の採用側は、難しい専門知識を吸収し、語学力を発揮できる人材を希望している。そのため、学部や専攻は無関係である。
しかしながら、一方で新卒にかかるコストを削減するために、学歴フィルターはかけているようで、難関校出身者が有利なようである。そうでない場合は、海外のMBAトップスクールを卒業していると有利である。
また、学歴が有利になるのは新卒のときだけで、中途採用のときは経歴が重視される。
投資銀行にはどのような素質が必要?
ハイレベルの専門知識と語学力ももちろん重要だが、投資銀行は巨額の資金を扱うため大変責任が伴う仕事である。また、一般的な銀行は資金を保有するだけで利益をあげることがでるが、投資銀行は手数料で成り立っている。そのため利益をあげるには新たな顧客の確保が不可欠で、投資銀行は非常に激務である。そのような現場で求められる素質が以下の5つである。
1.論理的思考力があること
常に新しい課題が目の前にあり、それらを高速で処理し、クライアントの期待に応えるには、論理的な思考力が必須である。問題や課題の分析、ソリューションの分析・考察、クライアントへの説明など、全ての業務において高い論理性が求められる。
2.数字に強いこと
投資銀行では多くの数字を扱い、数字で物事を語るため、数字に対する正確性へのこだわりや、数字的に判断するセンスは必須である。
3.精神的なタフさがあること
投資銀行入社後は、高いプレッシャーを受けながら働くことになる。時間的なプレッシャー・品質へのプレッシャー・正確性のプレッシャーといった緊張感の中、膨大な仕事を淡々とこなしていくためには相当精神的にタフである必要がある。
4.高いコミュニケーション能力があること
仕事で言うコミュニケーション能力とは、相手の言っている事を正しく理解した上で、相手の求めるものをきちんと提供する力のことである。相手のもつニーズ、不満などを吸い上げるためには、相手の立場に立って考えることや、多様な価値観を理解することが必要であり、相手が喜ぶようにサービスを提供するには、内容のほか、伝達方法、タイミングなどを的確に判断して、出していくことが必要である。
5.精神的に成熟しており、アグレッシブかつ謙虚であること
投資銀行のクライアントは大企業の経営中枢にいる方が多く、若いうちから、年上のクライアントに接していくことになる。そのため、社会人として、大人として、きちんとした礼儀をもって、コミュニケーションをとることが重要だ。また、ハイプレッシャー下で自分を律する精神的な成熟や、常に挑戦していくアグレッシブさ、周囲から常に学んでいく謙虚さも求められる。
投資銀行は個人を対象に業務を行わないため、なかなか馴染み深くはないが、これからビジネスシーンでの重要度は一層増していくだろう。銀行の仕組みについて理解することは、お金の流れや経済について理解することに繋がる。外資系で勤めるかどうかは関係なく、銀行の業務を理解しておくことは大切だ。
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