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デザイン思考とは“カオス”を楽しむ思考法である:『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』

Erika Muranaka

2016/04/03(最終更新日:2016/04/03)


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デザイン思考とは“カオス”を楽しむ思考法である:『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 1番目の画像
出典:www.aaicd.co
 最近、デザイン思考というワードを耳にすることが増えてきた。デザイン思考とはデザイナーがゼロからイチを生み出すための思考法である。しかし、ビジネスシーンにおいてイノベーションが声高に求められるようになり、創造的思考法がビジネスシーンでも必要とされるようになってきた。

 デザイン思考とはその創造的思考法の1つとして、昨今注目される思考法なのである。デザイン思考とは左脳と右脳を活用したハイブリッドな思考法で、知的生産性を上げることができる思考法である。

 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』では、ビジネスにおけるデザイン思考の必要性と、デザイン思考とはどのような思考法なのか、その具体的な思考法のあり方が説明されている。デザイン思考とはどのようなものか、本書からいくつかのポイントを紹介しよう。

デザイン思考とはどのような思考法か:3つの要素

 デザイン思考とはどのような思考法か、まずデザイン思考を構成する3つの要素を紹介する。

デザイン思考の3つの要素

  • インプットの質
  • 発想のジャンプ
  • アウトプットの質

デザイン思考とは:インプットの質

 デザイナーがアイデアを練るためのインプットをする際には、ビジュアルデータを大量に集めるという。デザイン思考とは、具体的なイメージに触れることを大事にする思考法なのである。重要なのは、普段自分が接している世界とは全く違う世界に触れることだ。

 さらに、大量の情報を上手に消化するためにビジュアルを使って情報をノートにまとめるのが有効である。ビジュアルで考え、ビジュアルで理解するビジュアルシンキングがおすすめだ。デザイン思考とは、右脳と左脳の使い分けができるようになる思考法なのである。

デザイン思考とは:発想のジャンプ

 デザイナーは、様々なアイデアからユニークな切り口を生み出すために、強制的にさまざまな組み合わせを使って発想する、新結合といった発想ツールやアナロジー思考を使う。デザイン思考とは、発想を飛躍させる段階をもつ思考法なのである。特にアナロジーは役立つことが多く、この思考を鍛えるためには、普段から比喩を考えることが有効だ。

デザイン思考とは:アウトプットの質

 デザイナーはアウトプットの段階で伝えたい要素をシンプルにし、受け手に合った合ったドラマ性のある体験を表現することで、受け手の感情を揺り動かす。デザイン思考とは凝縮フォーマット、ストーリーテリング、体験デザインを大事にする思考法なのだ。

デザイン思考とはどのような思考法か:4つのプロセス

デザイン思考の4つのプロセス

  • リサーチ
  • 分析
  • 統合
  • プロトタイピング
 デザイン思考とは、リサーチ、分析、統合、プロトタイピングという4つのプロセスを短期間で何度も行き来する思考法である。決まったステップを踏んでいくというよりは、各プロセスを行き来しながら、解決策の質を上げる。デザイン思考とは具体化と抽象化、ユーザーの現実と自分たちが作りたい未来を行ったり来たりする思考法なのである。

 デザイン思考とはどのような思考法か、4つのプロセスについてそれぞれ紹介する。

デザイン思考とは:リサーチ

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by sanoopuio
 デザイン思考とは旅人のようだといわれる。それはリサーチにおいて、旅人のように非日常の場を訪れ、自分の知らない世界に浸り、現地で感じた興奮を残すためにメモを取り、写真におさめるという過程があるからだ。

デザイン思考とは:分析

 デザイン思考とはジャーナリストのようだとも例えられる。旅の内容を振り返り、自分なりの解釈と分析をしていくからである。

デザイン思考とは:統合

 さらに次の段階でデザイン思考とは編集者のようだといわれる。分析する中で得たことをもとに、ユーザーの課題や価値観を、切れ味の鋭いキャッチコピーや印象的な写真などで表現するからだ。

デザイン思考とは:プロトタイピング

 デザイン思考とはクラフトマンのようだともいわれる。イメージした世界観の中で実在させたい商品やサービスを手を動かして形にするからである。

デザイン思考とはどのような思考法か:2つのコツ

デザイン思考の2つのコツ

  • 手を動かす
  • カオスを楽しむ
 デザイン思考とはどのような思考法か、その要素とプロセスについて紹介したが、さらにデザイン思考とはどのような思考法の理解を深めるため、本書から、デザイン思考におけるコツを2つ紹介する。

デザイン思考とは:手を動かす

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by pedrosimoes7
 デザイン思考とはまず手を動かすことが有効な思考法である。自らの手で形にしたものを人に見せれば、自分一人では気付けない改善点を見つけることができる。デザイン思考とはアイデアを形に変え、仲間とブレーンストーミングすることで右脳を刺激する思考法なのだ。

デザイン思考とは:カオスを楽しむ

 デザイン思考とは不完全でカオス(混沌)な状態を楽しむ思考法である。仕事の全体像をしっかりと把握しながら進めていくことに慣れているビジネスパーソンには不安に感じるかもしれないが、このカオスこそが新しいアイデアが生まれやすい状態なのである。

 デザイン思考とは発想のためであれば、企画段階では価値判断を行わず、意図的にカオスを作り出し、それを楽しむような思考法なのだ。
 

 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』からデザイン思考とはどのような思考法なのかを紹介した。デザイン思考とは、通常のビジネスモードとは少し違った思考法である。デザイン思考とはデザイナーがカオスの中でも手を動かし、様々なプロセスを行き来するような、活発な思考法なのである。

 デザイン思考とは、デザイナーが創造の場で行う思考であり、デザイナーならではのビジュアルの利用などの特徴をもつ。しかし、それは右脳と左脳を活用した知的生産に有効な思考法となっている。デザイン思考とは、イノベーションの求められるビジネスシーンでも役立つ思考法なのである。

 本書を読めば、デザイン思考とはどのような思考法かということがより詳しく分かり、昨今のビジネスシーンにおいてその思考法がいかに役立つかの理解も深まるだろう。

 デザイン思考とはどのような思考法か気になっている人はもちろん、ビジネスにおいて有効な思考法を探している人は、ぜひ一読してもらいたい。デザイン思考がどのようなものかが分かるだけでも、知的生産性を上げるのにも役立つことと思う。

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