普段医療機関にかかったときや身分証明としても使用する保険証。失効する場合もあるというのをご存知だろうか? 知らずに使っていたら大変なことになるかも……? 今回は保険証が失効した場合に必要なことなど、勉強していこう。
保険証が失効になるときってどんな場合?
会社を退職したり、社会人になって扶養から外れたりすると、保険の資格がなくなる、つまり保険証を失効してしまうことになる。具体的に言うと、例えば会社を退職したとき。
このときは任意継続資格を失うことになり、使用していた健康保険の資格を喪失し保険証を失効してしまう。この場合、失効日は退職日の翌日となるため、退職した翌日からそれまでの保険証は使用できなくなってしまう。
月の終わりに退職するケースが多いが、仮に月の途中で退職する場合でも退職の翌日で失効ということには変わらないため、注意が必要だ。その他にも社会人になって扶養から外れた場合、加入者が後期高齢者医療制度の被保険者の資格を取得した場合などにも保険証は失効になる。
保険証が失効になったときに取るべき行動は?
失効した保険証はその後使用できなくなり、返却が必要になる。ではその返却とはどのようにすればよいのだろうか? まずどこに返却すればよいのかというと、国民健康保険の場合は役所へ、社会保険の場合は勤めていた会社に返却する必要がある。
会社に勤めていた人の場合を例にとって見ていこう。基本的には会社の事業主が手続きをするが、本人が退職してから5日以内に、「資格喪失届」に健康保険証を添付して日本年金機構に提出することになっている。
したがって、退職した際には扶養家族の分もまとめて事業主に返還する必要がある。返却は郵送でも可能になっている。ただ、失効したとはいえ健康保険証には個人情報も記載されているため、極力書留などで送るようにするなど注意が必要だ。
また、退職後に新しく保険証を得るためには健康保険加入の手続きをする必要がある。加入の方法としては、直近まで在籍していた会社の健康保険と同様の保険給付を受けることができる「健康保険任意継続」、被扶養者として加入する「家族の健康保険」、「市区町村の国民健康保険」の三つがある。
他のいずれの健康保険制度にも加入しない場合は自動的に国民健康保険に加入することになる。どの場合でも手続きが必要になるため、速やかに手続き出来るようあらかじめ必要書類等を調べておくのがよいだろう。
保険証が失効になっても使ってしまうとどんなトラブルになる?
もし失効した保険証をそのまま使ってしまった場合、どのようなことになるのだろうか? 失効した保険証を使用した場合、協会けんぽで負担した分の医療費は返還しなければならない。
この返還には手続きが必要で、「脱退した健康保険から世帯主に医療費の返還請求」「世帯主から健康保険への返還請求分支払い」「世帯主が受診分の診療報酬明細書受け取り」「世帯主から新たに加入した健康保険への医療費請求」「新たに加入した健康保険からの医療費返還」というとても複雑なものとなっている。
資格失効後の保険証の使用は国の医療費増加の原因となることから、健康保険料率にも大きな影響を与えることにもなり、また、繰り返し使用した場合には詐欺罪にあたることもあるため、絶対に使うことのないようにしたい。
「退職した月の月末まで使用できると思っていた」「保険証が使用できなくなることを扶養家族に伝えていなかった」などの理由で誤って使用してしまうケースも少なくないため、注意が必要だ。
いかがだっただろうか。普通にしていれば心配することはないが万が一のときのために覚えておいて損はないだろう。少し自慢げに人に話してみるのもいいかもしれない。
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