「保険」には、様々な種類がある。今回みていく保険料率とは、社会保険料率のことである。社会保険とは、会社に入社したとき加入する労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険、また自営業者や職に就いていない人が加入する国民健康保険の総称である。つまり、国や地方公共団体など公の機関が管理と運営をしている保険といえる。
これに対して民間企業が運営する保険は「個人保険」と呼ばれる。生命保険や火災保険などがこの個人保険と呼ばれるものだ。保険について見たところで、「保険料率」というものについて考えていく。
保険料率とは?
まず、社会保険についての保険料率についてだ。会社に勤めている人は、本人と会社で社会保険料の額を負担している。この負担の比率を計算するとき使われるのが「社会保険料率」というものなのだ。会保険料=毎月の給与額×社会保険料率という計算式である。先述の通り社会保険は公の機関によって管理されているものであり、この機関は都道府県ごとに支部を設けている。
支部ごとに独立して運営しているため、都道府県によって最低賃金が異なるように、社会保険にも各都道府県によって差がある。次に個人保険についての保険料率についてだ。ここでいう保険料率とは、保険金額に対して保険料がどのくらいの割合を占めるか、ということだ。
更新型の保険の場合、更新時の年齢や保険料率を用いて再計算されるため、一般的には更新前よりも保険料が高くなる傾向がある。つまり途中で高くなる分、最初の保険料は安価に設定されているというシステムとなっている。
保険料率を抑えるために気を付けるべきこととは?
社会保険のシステムとして、月の給与を決めるベースとなるのは4~6月の平均給与である。これは、毎月もらう給与、つまり基本給・家族手当・通勤手当だけでなく、月によって変化する給与、つまり残業手当なども含め算出されるものだ。つまり、4~6月に多く残業すると、それが社会保険に反映され保険料も高くなるといえる。4~6月は残業を控え、7月以降に多く残業する方が得をするということなのだ。
中小企業や大企業によって保険料率はどう変わるの?
中小企業の従業員が加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率について具体的内容を見てみよう。全国健康保険協会では、2008年まで保険料率を全国一律にしていた。しかし2009年からは都道府県ごとに違った保険料率を定めるようになった。
この差は地域ごとの医療費がどのようい・どれくらい使われているかを調査することにより決まったものである。保険料率の全国平均が9.5%となっていた2011年度で考えると、全国健康保険協会は企業と個人それぞれ5割ずつ保険料を負担することとなっているので、従業員が負担する額の平均は4.75%となる。
このように、会社員の健康保険料は、給与やボーナスに与えられた保険料率をかけたものを、会社と従業員が原則的に折半で負担する。保険料率は加入する健康保険によって大きく異なるため、中小企業と大企業では支払う保険料に差が生じる。近頃、大企業の従業員が加入する健康保険において、高齢者医療への支援金を支払うために、その資金として従業員が払う健康保険料を値上げする組合が増えているという傾向がある。企業の規模と保険料率に完全な相関関係があるとは言い難いものの、企業の方針によっては大きな差が生じているといえるだろう。
いつも当たり前のように給与から天引きされている社会保険料であるが、少し関心を持ってみることで思わぬ発見があるかもしれない。ただ言われた通り、決まった通りに納税するだけではなく、その内容について知識を深めることは非常に有益であるだろう。
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