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相続税対策に「生命保険加入」が有効ってホント? 「相続」が「争続」にならないためのマネー講座

粕谷満子

2016/02/02(最終更新日:2016/02/02)


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相続税対策に「生命保険加入」が有効ってホント? 「相続」が「争続」にならないためのマネー講座 1番目の画像
出典:visualhunt.com
 税制改正において、相続税については基礎控除の引き下げ、税率構造の見直し、といったことが行われた。また贈与税においては、最高税率自体が引き上げられるなど、これまでと比べてよりいっそう負担が増加した印象が見受けられる。そのため、この改正は多くの人へ影響を与えるのではないかと予想される。
 
 そんな中、相続税を少なくしたいがどうしたら良いのかと悩む人も多いのではないか。さらには、ひと口に相続税対策といっても、色んなことが考えられる対策の中で、いったい自分にはどの対策法が適しているのかがわからない、という人もまた少なくはないであろう。

 そんなわけで今回は、そんな相続税対策の1つでもある、相続税と保険の関係について詳しくみていくことにしようと思う。

相続税対策ってなんで必要なの?

 そもそも、なぜ相続税に対して対策という大げさな言葉を使っているのであろうか。
それもそのはず、相続における悩みのひとつとしては、納税資金をどうやって準備をするかというレベルの問題があり得るからである。バブルの頃から比べてみると、土地の価格も近年は落ち着いてきていて、相続税の納税金額自体は少なくなりつつある傾向にあるのに、相続における納税資金の準備がこれまでより大変になって、対策まで必要になっているのはいったいなぜなのであろう。

 それは、土地が値上がりし続けている時には、支払う相続税の金額も大きくはなるものの、社会的に値上がりしている時期であれば、その分不動産の購入をする人も沢山いるため、すぐ売却できてその売却金をすぐ納税資金へと回すことができていた。

 しかし、それでも不動産が多い場合や、金融資産とは異なり不動産は名義変更が必要であるため、すぐに換金できないという状態になると、遺産の分割や相続税の納税資金に回す資金を捻出することができず、結果的には納税資金の準備で困る……。こういうことこそが、近年多い相続の悩みのひとつとしてあるからなのである。

 もちろん、相続税の納税準備のひとつとしては、長い期間をかけて、きちんとこつこつ貯金を貯めておくという方法もあるにはある。とはいえ、正直なところ納税金額が大きくなればなるほど、なかなかその金額まで貯めておくことは難しいのが現状だろう。

どのような相続税対策があるの?

 次に、基本的な相続税対策は、いったいどんな対策があるのかみてみよう。一般的には、不動産を購入する・生前贈与をする・生命保険に加入する・養子縁組で相続人を増やす、といった大きくはこれら四つの対策が考えられるはずである。養子縁組で相続人を増やすというのは、多少イレギュラーかもしれないが、それ以外はバランス良く行っておくことによって、相続にかかる税金を多方面から安くしていくのである。

 相続税を安くできれば、それはひいては相続する人たちの間で争いも起こりにくくなっていくことになり、相続トラブルの対策にもなると言えるであろう。

実際、生命保険加入が相続税対策に有効ってホント? その効果は?

 前述のように相続したほとんどの財産が不動産であった場合、相続人はすぐに換金できない不動産が資産として手元に残る一方で、結局のところ納税資金は別に用意しなくてはならない。

 ところが、故人Aが自身を被保険者に、相続人を受取人とする生命保険に加入していれば、相続が起こった場合でも、それを納税金に回すことができるため、有効なのである。

 ただし、納税資金対策として、被保険者が契約者(保険料負担者)となっていた生命保険金は一定限度額までは非課税となるため大きなメリットがあるが、それを超過した部分は相続財産として相続税の課税対象になる。また、遺産が高額であり適用される相続税率も相当程度高くなる、という場合には……長男を契約者(保険料負担者)と受取人にしておき、被相続人を被保険者にしておくと、万が一の場合に長男に支払われる死亡保険金は一時所得となり、相続税の対象とならない。

 ちなみにこの対策をする際に、その保険料を長男が負担することが難しいという場合には、被相続人がそれすらも贈与することができ、これを保険料贈与と呼び、例えば毎年120万円ずつ贈与したとしても贈与税額は1万円で済むため、たいへん効率が良い。


  「相続」が「争続」にならないようにも、こうした工夫を事前にこらしていると、万が一何かがあった時にも最後まで安心していられるはずである。

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