消費税が改正されてから5%から8%に引き上げられてもうしばらくたち、今後さらに10%に引き上げられることになる。消費税は身近な税金であるので、このことを知らない人はほとんどいないのではないだろうか。
しかし、2015年から相続税も改正されていることをご存知の人はそれほど多くないのではないだろうか。相続税のようにあまりなじみのない税金に関しては、それほど世の中でも取り上げられないので、知らなくても当然であろう。今回はこの相続税改正に関して述べていこうと思う。
相続税改正による主な変更点は?
相続税改正の主な変更点について述べていこう。まず、基礎控除が改正され、基礎控除額が従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」に改定された。相続税には実は遺産額によっては免除される場合があり、その一定の遺産額を基礎控除額といい、上記の方法で算定している。今回の改定では上記の計算方法からわかるように、基礎控除額が減額されている。
つまり、相続税を支払わなければならない人間が増えるということである。次に税率も改正されている。この改定では取得金額が1億円以上の各区分において2段階だった区分が4段階になり、一部で税率が引き上げられている。細かい税率については国税庁のwebページを参照していただきたい。これらの他にも税額控除の改正や小規模宅地の特例の改正が行われた。
基礎控除額の変更とその背景とは
さて、相続税改正の主な変更点に関しては、理解していただけただろう。ここからは相続税の基礎控除額の変更の背景について説明していこうと思う。先ほども説明した通り、相続税の控除額は従来の計算方法から改正され、計算式からわかるように減額されている。つまりより多くの人が相続税を納めることになるということである。この基礎控除額の改正の背景にはまず、従来の基礎控除額が時代にそぐわなくなったということが指摘されている。従来の基礎控除額は1994年に決定されたもので、すでに20年以上も経過しているのである。この金額はバブル時代の地価の高騰を受けて決定された金額であるので、現代に適していないのである。こういって背景から基礎控除額はより現代の経済状態にあったものに変更されたのである。
あなたは大丈夫? 基礎控除額の引き下げによる対象者割合について
相続税の基礎控除額の改定の背景は理解していただけただろう。ここからは基礎控除額の改定による影響について説明していこうと思う。まず、先ほども述べたように、基礎控除額が下がったことにより、相続税を納めなければならない割合が増加した。例えば旧税制であれば遺産増額が4,500万円の場合、法定相続人が1人でも相続税の課税対象にはならなかった。
しかし、新税制ではこの場合法定相続人が3人以上いなければ相続税が発生することになってしまう。このように相続税の課税対象が拡大されたのである。この拡大を実際に数値で考えると改正前から数%は上昇すると考えられている。しかし、以前から課税対象は5%程度であったので、基礎控除額の改正後も実際に課税の対象となるのは10%未満である。このように実際に課税される可能性はそこまで高くなく、資産家などでなければそれほど気にする必要はないといえるだろう。しかし、一度自分の資産が実際にどれくらいあるのかは確認しておいた方がいいかもしれない。
以上、相続税の改正内容と改正による影響に関して説明してきたが、いかがだっただろうか。このように相続税の課税対象が拡大され、また税率も一部引き上げられていることから、相続税による税負担が大きくなったといえるだろう。しかし、それでも相続税に引っかかるのは資産家などの富裕層が大半であるので、基本的にはそれほど心配いらないだろう。
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