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「爆買い」の次はコレが来る! リクルートが予測する美容業界の新トレンド「美ンバウンド」とは?

U-NOTE編集部

2016/01/29(最終更新日:2016/01/29)

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 2015年に日本を訪れた外国人旅行客は、1900万人を超え、過去最大だった2014年度の1341万人を大幅に上回り過去最高を記録している。

 中でも飛躍的に伸びたのがアジアからの旅行客で、中国からは前年のなんと約2倍にあたる499万人、韓国からは前年比45%増の約400万人、台湾からは30%増の約367万人が日本を訪れたと日本政府観光局(JNTO)は発表している。

 彼らの特徴はとにかく消費意欲が旺盛なこと。家電量販店やデパートの化粧品売り場、薬局等で彼らの「爆買い」現場を目撃した人も多いだろう。

“モノ消費”から“コト消費”へ「日本の美容サービスを受けたいアジア女子」が急増中

 ところが、ここにきて訪日外国人旅行客のスタイルや消費動向に変化の兆しが見られるようになっている。具体的には、団体旅行客ではなく個人旅行やリピート旅行客が増えていること、そしてモノを買う「モノ消費」から日本ならではの習慣や文化を体験をする「コト消費」に関心をもつ旅行客が増えていることだ。

 そしてこの傾向が特に顕著なのが、美容業界だという。美容室・エステサロン等の経営支援、美容業界に関する調査・研究を行っているリクルートライフスタイルホットペッパービューティーアカデミーの主席研究員の齋藤陽子氏によると「アジアの女性にとって、日本は韓国やフランスを抑えて“美容で憧れる国”第1位。日本の化粧品を買うだけでなく、美容室やエステサロンで日本ならではの美容サービスを楽しみたいというアジア女性が増えており、すでに一部では外国人向けプロモーションに力を入れる美容室やサロンも出てきています。今後はネイルサロンやエステサロン等でも同様の動きが大きくなると見込んでいます」とのこと。 

 同アカデミーでは、この動きを2016年のトレンドキーワード「美ンバウンド」と名付け、積極的に情報発信を行っている。 

日本の「おもてなし」に感動する外国人旅行客 

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日本の美容室を体験する外国人旅行客
 齋藤氏らが「美ンバウンド」の可能性に注目し始めたのは、3年ほど前。きっかけはあるアジアの国から日本の美容業界の視察に来た美容師たちが、美容室でサービスを受け、感激している姿を目の当たりにしたことだという。

「カットやパーマの技術の高さだけでなく、“ひざまずいて話を聞いてくれる”、“なりたいイメージを熱心に聞いてくれる”、“ホットタオルを首に当ててくれる”、“店内が清潔で椅子の座り心地も良い”といった、私たち日本人にとってはごく当たり前のおもてなしに海外の方が感激していらっしゃるのを見て、日本の美容サービスの可能性を確信しました」(齋藤氏)  

 そして今、齋藤氏らの予測通り、日本で美容サービスを受ける外国人旅行客は増え続けている。

求められるのは「外国人向けサービス」ではない

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「日本の美容サービスに興味を持っているのは、主に中国や台湾からの若い女性旅行客です。彼女たちは幼いころから日本のアニメや漫画を見て育ち、日本のファッション雑誌もよく読んでいて、日本の事情にも通じています。中には“女優の〇〇さんみたいな髪型にしてほしい”と具体的な希望を述べる方もいらっしゃいます」(齋藤氏)

 美容室で彼女たちに人気が高いメニューは、カット。特にレイヤーカットが人気で「日本人みたいなカワイイ髪型にできるのが嬉しい」という声が多く聞かれるのだとか。実はこの「日本人みたいに可愛くなりたい」という願いに応えることこそが、「美ンバウンド」成功のキモだと齋藤氏は指摘する。

「例えば中国人旅行客が増えたからと言って中国で流行っている髪型や施術を勉強したり、サービスを中国流にカスタマイズしたりすることが、必ずしも求められるわけではありません。なぜなら彼女たちが受けたいのは日本で普通に行われている施術やサービスだという場合が多いからです」

むしろ力を入れるべきは集客の部分かもしれません。いかに多くの外国人旅行客に自店の存在を知ってもらい、店に足を運んでくれるかが、“美ンバウンド”での成功を収める上で非常に重要になってくると考えています」(齋藤氏) 

お金をかけなくてもできる外国人旅行客集客術とは?

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外国語対応した店内POP
 確かに「美ンバウンド」は魅力的だが、「新たに外国語が堪能なスタッフを雇ったり、SNSに英文で投稿したり、メニューやチラシを英文で作成したりする余裕はない」と悩むサロンオーナーも多いのではないだろうか。

 齋藤氏はこの点について「アイディア次第であまりお金をかけなくてもできる集客方法はたくさんある」と指摘する。

「例えば、外国人旅行客の接客にネイティブ並みの英会話力があるスタッフを雇う必要があるとは限りません。基本的な挨拶や単語を覚えておけば、あとはイラストや写真等の指さし、ボディランゲージ等で意外となんとかなることも多いでしょう。SNSの投稿も簡単な単語と写真でも実施可能です。英文のメニューやチラシも英語の得意な知人などに頼めば、低予算で作れる場合がありますよね」(齋藤氏) 

 他にもチラシを近隣のホテルに置かせてもらったり、店舗の入り口に「外国人歓迎」のステッカーを貼ったり、低予算でできることは意外とたくさんありそうだ。

「ホットペッパービューティアカデミーでは、Webサイトやセミナー等を通じて、最新の“美ンバウンド”事情を発信しています。サロンオーナー様に必要な情報やノウハウを提供していくことで、“美ンバウンド”を盛り上げていきたいと考えています」(齋藤氏) 

「美ンバウンド」に学べ! 他業種に広がる“コト消費”の可能性

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 このほか、サロン側が懸念する点としては、日本人客との兼ね合いが挙げられる。外国人旅行客が増えることで店のイメージが損なわれ、日本人客に敬遠されてしまうのではないかという懸念だ。

 事実、これまでも観光地や宿泊・温泉施設等で外国人旅行客の声の大きさや、マナーの悪さが問題となった例は存在する。この点について齋藤氏は次のように分析する。 

「数年前に比べて、アジアからの旅行者の方々のマナーはかなり改善されています。今後、さらにアジアの方々が旅行者として日本に慣れ親しんでくだされば、懸念されているような事態は少なくなるのではないでしょうか。今現在ですら、“美ンバウンド”目的で来日する層は、旅行慣れした個人旅行客が多く、旅行者として成熟されているケースがほとんどです」(齋藤氏)

 むしろ私たち日本人側のほうが、「外国人旅行客」に対する認識を変える方が必要
なのかもしれない。「“美ンバウンド”が今後市場として大きく育つかどうかは、まさに私たち日本人次第。外国人旅行客への認識を新たにし、彼らのニーズに的確に応えるための試みを、試行錯誤しながら積み重ねていかねばなりません」(齋藤氏)

 さらに齋藤氏は「美ンバウンド」の成功が他業界に及ぼす影響も大きいと指摘する。

「外国人旅行客の“コト消費”の可能性は、医療など、美容業界以外にも広がっています。“美ンバウンド”市場で今まさに培われつつある知識やノウハウは、今後の他業界におけるインバウンド対応にも応用ができるはず。ぜひ他業界の方々も、“美ンバウンド”のこれからに注目していただきたいと思います」(齋藤氏)

 2016年はいわば「美ンバウンド元年」。ますます勢いを増す「美ンバウンド」消費の動向から目が離せそうにない。

2016年のトレンド予測 美容領域 「美ンバウンド」発表資料


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