何かとニュースに取り沙汰される年金受給額。実際にいくら自分に受給される可能性があるのか、実はわかりにくい点が多い。また、その年金受給額が今後どのように変わっていく可能性があるのか、平均年金受給額の推移を見ながら、要点をまとめて紐解いていこうと想う。
これまでの平均年金受給額の推移は?
出典:visualhunt.com まずは、年金についておさらいをしておきたい。一般的な国民年金は、加入期間によって受給額が変動をする。満額となるには40年間納付した場合に限るわけだが、納付期間によって変動をすると考えておけばよい。厚生年金の場合は、納付該当期間の給与額によって変動をするため、給与が高い人ほど納付金額が高く、かわりに年金受給額も高くなるというシステムになっている。
このような年金の基礎を踏まえ、実際の統計平均を見てみたい。平成23年から平成25年の統計を出すと、国民年金のみの受給金額は、平成23年は54,682円、平成24年は54,856円、平成25年は54,622円と推移をしており、厚生年金を含めた受給金額は、平成23年は152,396円、平成24年は151,374円、平成25年は148,409円と推移をしている。
データを見てみると厚生年金の金額が徐々に落ちていることを把握できるが、あくまでもこれは平均値であるため、実際の受給額とは違うことを理解しておきたい。自分に受給される正確な数値を知りたい場合は、年に一回、自分の誕生日月に贈られてくる「ねんきん定期便」を確認すればおおよその数値を知ることが出来る。
年金受給額のこれから
出典:visualhunt.com 2015年版高齢社会白書によると、年金制度が出来た1961年は老人1人に対し、若者は平均して11.2人、2010年では平均して2.8人と推移している。超高齢化社会を目前にして、老人を支える現役世代の減少と年々負担が重くなっていくことを考慮していくと、実際の年金受給額はどんどん減額となっていく可能性がとても高いと考えられるだろう。
また、2013年度から2015年度にかけて解消をされた「特例水準」は、年金を2.5%引き下げる結果につながり、追い打ちを掛けるように年金受給額に少子高齢化の影響を加味し、物価が上がっても年金を抑える仕組みであるマクロ経済スライドが始動する。今まで、国内で導入はされていたものの運用を凍結されていたため、始まれば一気に年金受給額が下がることも想定されるだろう。
年金受給額から考える老後の資金計画
出典:visualhunt.com これからどんどん下がっていくだろう年金受給額のことを考慮すると、いかに老後の資金を貯めていけるかが重要になってくるだろう。
一般的にサラリーマンの退職金が2,000万円程度と言われ、老後に掛かるお金はざっくりと計算すると3,000万円程度と考えられてきた。昨今では、長寿であることやデフレ経済の煽りを受け、有識者の唱える老後必要資金額は5,000万円から8,000万円程度と上昇傾向にある。しかしながら企業の退職金そのものの支給額も下がり、一方でライフスタイルの変化から、年齢を重ねてもお金が必要なケースが増えてきたことは否めない。これからは、確実に生涯現役でいるということも重要な要素であることは確実であるだろう。
特に、60歳定年の会社や早期退職を促す会社に呼応し辞めた人などは、更に年金受給までの空白期間が生まれることから、しっかりと生活設計をしておかなければすぐに破綻をしてしまう可能性がある。そのためには、個人年金保険や貯蓄術などを駆使し、老後の生活設計をしっかりと組み立てていくことが重要だと言える。
年金受給額の平均など、以上のことを踏まえると、かつて世の中で言われていた「年金暮らし」という概念は既に消え去っていることがわかっていただけたのではないかと思う。人口推移は簡単に変わるものではないだけに、周りに流されずしっかりと自分の老後のための準備をすべきであると言えるだろう。
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