近年、医療技術の進歩により治療が難しい病気も完治する可能性が高くなっている。医療技術の進歩の根底にあるのは、科学者達の絶えぬ研究の成果であることをご存じだろうか。彼らは人間の体内にある細胞や微生物など肉眼で見ることが難しいほど小さなものを研究対象とし、今日も人間のより良い未来を創造すべく努力している。
農学博士・福田真嗣も未来の人々の健康を守る社会を作るべく研究している科学者の一人だ。福田真嗣の研究対象は腸内細菌という体内微生物だ。福田真嗣は多くの人や動物から便を採取し、腸内細菌を詳しく研究した。腸内細菌は美肌・ダイエットの他、大腸がん・自閉症・認知症へ影響を持つ体内微生物だ。福田真嗣の腸内細菌の研究は、新治療・新薬の開発を目指す世界中の医療関係者・科学者から注目を浴びている。
今回は、1月31日(日)放送予定の『情熱大陸』に合わせて、“茶色の錬金術師”こと福田真嗣と、福田真嗣が目指す腸内細菌が作り出す健康社会に迫っていこう。
科学の権威『Nature』が認めた、腸内細菌研究者・福田真嗣とは
出典:metagen.co.jp福田真嗣の経歴
1977年:茨城県で生まれる
2006年:明治大学大学院農学研究科卒業
2006年:独立行政法人理化学研究所で基礎科学特別研究員として勤務
2012年:慶應義塾大学先端生命科学研究所に特任准教授として赴任
2015年:株式会社MetaGen設立
福田真嗣と腸内細菌の出会い
今や世界中から注目されるまでになった福田真嗣の腸内細菌の研究だが、福田真嗣が腸内細菌を研究することとなったきっかけは偶然であった。明治大学大学院に在学中、福田真嗣に声をかけた教授が腸内細菌を研究していたからというシンプルな理由である。腸内細菌の研究をしていくうちに、腸内細菌への興味が徐々に強くなっていき、理化学研究所で粘膜免疫を研究している大野博司に弟子入りするまでに至った。
福田真嗣が腸内細菌の研究を始めたきっかけは偶然であったが、福田真嗣の考えが腸内細菌というテーマを福田真嗣に引き寄せたのだ。福田真嗣の考えとは、「人間なんていくらでも自分を変えられる」という考えだ。一見、関係がないように思えるが、常に自分が可変であり続けることで、出会ったものを「面白いモノ」へと変えている。福田の考え方が腸内細菌というテーマを面白く感じさせ、腸内細菌を研究対象にしたのだ。
福田真嗣が腸内細菌研究の先に見る健康社会とは
福田真嗣の腸内細菌の研究の根底にあるのは、腸内細菌のバランスが人間の健康や病気に大きく関わっているという事実だ。つまり、腸内細菌のバランスさえ整えることができれば、人間の健康を維持し続けることができるのだ。福田真嗣の腸内細菌研究に合わせて、新治療法の発見や新薬の開発を目指す医療関係者・科学者が多く存在することから、腸内細菌が人間の健康において重要な役割を果たしていることが分かる。
福田真嗣は腸内細菌を研究する際に、人や動物の便が持つ情報の重要性を認識している。なぜなら、研究する便が多ければ多いほど情報が増えて、より正確なデータを得ることができるからだ。学生時代、福田真嗣はペットの腸内細菌の研究をするため、散歩している人に「便をください」と声をかけるほど、熱心に便を集めた。私達が普段トイレに流してしまう便も、「茶色い宝石」と呼ぶほど福田真嗣にとっては腸内細菌の研究を進めるのに貴重な個人情報なのだ。
福田真嗣が社長を務める株式会社MetaGenとは
出典:techplanter.com 学生時代から便を集めてきた福田真嗣が抱える腸内細菌のデータは1万人の便のサンプルから成り立っている。腸内細菌のデータを用いて、福田真嗣は大学の研究室でMetaGenのビジネスモデルを思いついた。「病気ゼロの社会構築」を目指したビジネスモデルは人々の便を健康情報へと変換して社会へフィードバックするサービスだ。
福田真嗣が思いついたビジネスプラン「MetaGen(メタジェン)」はバイオサイエンスグランプリで最優秀賞を受賞した。その後、株式会社MetaGenを設立し、高い解析技術を駆使して、今も便から腸内細菌を採取し、データを蓄積している。
福田真嗣が考える科学者の使命とは、「人類に選択肢を与えること」だ。福田真嗣は腸内細菌を徹底的に調べてデータを蓄積することで、人々の腸内環境を評価し、健康状態についてあらゆる情報をフィードバックしてもらう「選択肢」を提案している。福田真嗣のように科学者が使命を果たしていくことで、私達がより人生を豊かにできる可能性が高くなっていくのだ。
私達は変容していく社会を感じてはいるものの、なぜ変容していくのか本質を理解することができているのだろうか。社会変容をもたらす一つの要因は、私達の人生をより豊かにする選択肢を提案する科学者の存在だ。科学者の絶えぬ努力が私達の人生を豊かにしてくれる。しかし、私達は彼ら科学者の提案を待つだけではなく、自ら人生を豊かにする姿勢を持つことを忘れてはならない。
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