国民年金・厚生年金・公務員の共済年金など、公的年金制度の加入者に支給される「年金手帳」。各種年金に関する情報が記載された重要なものです。
実は、年金手帳は加入状況によって手帳の色が異なります。本記事では、年金手帳のカラーの意味を徹底解説。年金手帳の色が異なる理由から基礎年金番号の意味まで、幅広くご紹介します。
- 年金手帳の概要と基礎年金番号の役割
- 年金手帳の色が複数ある理由
- オレンジ色の年金手帳を使っている人が確認すべき「基礎年金番号通知書」
そもそも年金手帳とは?
転職時や転居時など、さまざまな場面で「確認や処理のために、ご自身の年金手帳を持ってきてください」と言われた経験がある方も多いはずです。
そもそも、年金手帳とはどのような役割を持つものなのでしょうか。まずは、年金手帳の概要や手帳内に記載されてる内容について解説します。
年金手帳とは「基礎年金番号が記載された手帳」
年金手帳は個人の「基礎年金番号」が記載された手帳で、国民年金・厚生年金・船員保険などの公的年金制度の被保険者であることを証明するものです。交付は日本年金機構によって行われ、日本に住む20歳以上の男女が対象となっています。
なお、日本では20歳を過ぎると国民年金に加入する決まりになっているため、成人した日本人は原則年金手帳を持っています。
年金手帳は免許証や保険証のように常に携帯が必要なものではありません。ただし、企業に就職する際には交付された年金手帳を提出する必要があるため、使っていないときも大切に保管しておきましょう。
【国民年金と厚生年金の支払い時期の違い】
高校卒業後に18歳で働き始めた人は、厚生年金を支払う必要があります。厚生年金加入時に基礎年金番号が発行されるため、20歳を待たずして年金手帳が送られてくるのです。ただし、国民年金の支払いは20歳と規定されています。
年金手帳に記された「基礎年金番号」とは?
前述したように、年金手帳には個人の「基礎年金番号」が記載されています。基礎年金番号は、国民年金・厚生年金・共済組合をはじめとする公的年金制度で使用される10桁の数字で、一人ひとり異なる番号が割り当てられています。
基礎年金番号は、公的年金保険料の支払い時や受け取り時にも必要な重要な番号です。個人を特定、証明できる番号が記載されているものだからこそ、年金手帳には免許証やパスポートと同様の本人確認の証明書としての効果があるのです。
- 年金手帳は20歳以上の日本国民に交付されるもので、公的年金制度の被保険者の証明ともなる
- 年金手帳には公的年金制度で使用される「基礎年金番号」が記載されている
- 基礎年金番号は一人ひとり異なる10桁の数字が割り当てられている
年金手帳の発行方法は?持っていない場合いつもらえるの?
「年金手帳」は、20歳を迎えておおむね2週間以内に「国民年金加入のお知らせ」「国民年金保険料納付書」「国民年金の加入と保険料のご案内」「保険料の納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書」「返信用封筒」など一式が送付されます。ただし、年金手帳は別のタイミングで送られてきます。
仮に、20歳になって約2週間経過したあとも上記の書類が届かない場合は国民年金の加入手続きを行いましょう。手続きは、住民票のある市役所・区役所・町村役場もしくは年金事務所で行えます。
<国民年金加入のお知らせがこないケース>
- 厚生年金保険の被保険者であった
- 共済組合に加入していた
- 障害、遺族年金を受給している方、していた方
<国民年金第1号被保険者に加入する必要がないケース>
なお、誤って年金手帳を紛失してしまった場合には再発行の手続きが必要です。ねんきんダイヤルまたは年金事務所に問い合わせてみましょう。
年金手帳の色が異なる原因は「支給された年代」
「年金手帳=ブルー」のイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、年金手帳にはブルーのほかにカーキ色やオレンジ色のものがあります。
年金手帳のカラーが異なる理由は、支給された年代の違いからです。では、それぞれの年金手帳にはどのような意味や役割があるのでしょうか。
次は、年金手帳のカラーが異なる理由や色別の違いを解説します。
現在の年金手帳が作られる前は、年金制度ごとに手帳が交付されていた
現在の年金手帳が一般化する前は、「国民年金手帳」「厚生年金保険被保険者証」「船員保険年金番号証」など、年金制度ごとに固有の年金番号が存在していました。当然、別の年金保険制度の切り替える場合には新しい年金番号が発行されるため、別の年金手帳を再交付してもらわなければなりません。
つまり、年金手帳のカラーに違いが生じた理由は、加入していた年金制度や支給された年代によるものなのです。
カーキ色の表紙の年金手帳とは?
カーキ色の年金手帳は「国民年金手帳」と呼ばれるもの。国内で国民年金制度が導入された1961年から、国民年金手帳と厚生年金手帳がが統一される1974年11月まで支給されていました。
年金手帳の支給時期を考えると、現在カーキ色の年金手帳がを所有している方は1940~50年代生まれだと推測できます。
若いビジネスパーソンには馴染みのない年金手帳かもしれませんが、80歳以上の年配の方はカーキ色の年金手帳を使用していることが多いのです。
- カーキ色の年金手帳は「国民年金手帳」
- 1961年~1974年まで支給されていた年金手帳
オレンジ色の表紙の年金手帳とは?
オレンジ色の表紙の年金手帳は、カーキ色の年金手帳から移行した1974年11月から1997年1月まで発行されていた年金手帳です。1997年から現在の基礎年金番号制度が導入されたため、オレンジ色の年金手帳は発行を終了しました。
オレンジの年金手帳の特徴は、国民年金・厚生年金記号・番号記入欄が手帳のなかにまとめられています。1冊で複数の情報を管理できるので、年金制度を変更する場合でも新たに手帳を発行する必要がなくなりました。
- カーキ色の年金手帳から1974年に移行され、1997年まで発行された
- 複数の年金被保険者情報を1冊で管理できる
ブルーの表紙の年金手帳とは?
20代~40代前半を中心に所有しているブルーの年金手帳は、1997年1月以降に発行されているもの。オレンジ色の年金手帳の記入事項に基礎年金番号が加わり、すべての公的年金に対応できるようになりました。
「カーキ色→オレンジ色→ブルー」と、年金手帳のカラーが変化するにつれて手帳の機能性は高まり、制度自体は明瞭化していると分かりますよね。
- 1997年から現在まで発行されている
- 複数の年金被保険者情報に加えて、公的年金にも対応
年金手帳は複数持てた? 基礎年金番号の導入の背景
年金手帳は、支給された年代や制度の更新によって変革を続けてきました。
現在の年金制度が導入される前には、年金手帳を複数所有しているケースもあったのです。次は、基礎年金番号導入までの経緯や背景をご紹介します。
年金制度の改定によって、一冊の年金手帳で管理可能に!
変革を続けてきた年金手帳が、もっとも大きく変化したのは1974年の改定です。1961年の年金制度開始以降は加入している年金制度ごとに別々の手帳が必要でしたが、1974年の改定によって国民年金・厚生年金の手帳が統一されました。年金制度の切り替えを行った場合でも、手帳を再発行する必要がなくなったのです。
加えて、ブルーの年金手帳発行時には基礎年金番号が導入されました。すべての年金制度を一冊の手帳で管理することが可能になり、利便性も機能性も高まったのです。
年金制度が変わる以前は「年金番号」が複数あった
前述したように、以前の年金制度では国民年金の年金手帳記号番号・厚生年金の年金手帳記号番号・共済年金の年金番号が別々に存在していました。
「厚生年金を積み立てている場合に、国民年金は厚生年金の番号で管理する」といったように、やや複雑で使い勝手の悪い年金管理方法が採用されていたのです。制度の特性上、2冊以上の年金手帳を所有している人もちらほら……。
しかし、現制度の基礎年金番号の導入によって、国民年金はすべて同じ番号で管理されるようになりました。
機能性も高まり、年金制度変更時に起こりやすい届け出忘れや国民年金の未払いの防止効果もあります。
オレンジの年金手帳保有者は基礎年金番号通知書の保管はできているか要チェック
ご紹介したように、年金手帳は支給された時期によってカーキ・オレンジ・ブルーの3色があります。基礎年金番号が導入される前に発行されていたオレンジの年金手帳を保有している方は、「基礎年金番号通知書」の保管を確認してみましょう。
基礎年金番号通知書は、1997年に発行された基礎年金番号が記された通知書のこと。記載されている基礎年金番号は年金の受け取り時に必要となるので、紛失している場合や受け取っていない場合には年金事務所に問い合わせましょう。
1997年1月以降に国民年金・厚生年金・船員保険・共済組合に加入したことがない場合には、基礎年金番号を持っていない可能性があります。基礎年金番号の切り替え手続きが必要となるので、紛失時と同様に年金事務所に問い合わせましょう。
- オレンジ色の年金手帳を使っている人は、「基礎年金番号通知書」の保管をチェック
- 基礎年金番号通知書は、基礎年金番号が記載された用紙
- 紛失時や持っていない場合には、年金事務所に問い合わせよう
年金手帳の色によって違いはないが、オレンジの場合は要注意
- 年金手帳には3つのカラーがある
- 基礎年金番号は、一人ひとりに発行される被保険者番号のこと
- 年金手帳は1961年以来、2度の変革が行われた
- オレンジ色の年金手帳を使っている人は「基礎年金番号通知書」の保管状況を確認しよう
「年金手帳」は、年金制度の保険料支払いや受け取り時にも必要なもの。毎日使うものではありませんが、必ず必要なものなので無くさないように大切に保管しておきましょう。
本記事でご紹介したように、年金手帳にはブルー・オレンジ・カーキの3つのカラーがあります。オレンジ色の年金手帳を使用されている方は、別途送付された「基礎年金番号通知書」の保管状況を確認しましょう。
仮に、年金手帳や基礎年金番号通知書が手元にない場合には再発行手続きが可能です。年金事務所やねんきんダイヤルに問い合わせて、再発行手続きを行いましょう。
【関連記事】
【引っ越し】年金手帳の住所変更の届け出が必要なケース・変更方法
引っ越しをして住所が変わった場合、「年金手帳も住所変更の手続きが必要なの?」と疑問の方もいらっしゃるでしょう。 実は、引っ越しにて住所が変更した場合、基本的には年金手帳の住所変更が必要です...
年金手帳を紛失した……!即日再発行できる?方法と必要な物・料金
普段なかなか使うことのない年金手帳。自分の年金手帳がどこに保管されているか把握していない方も多いでしょう。 日常生活で必要な場面は、そう多くありませんが、必要になった場合に見つからないと焦...
保険証の種類一覧|見分け方と書類への書き方、種類別の特徴を解説
健康保険への加入を証明する「保険証」。保険証を持っていても、自分の保険証の種類を知らない方や、他の人と色が違っていて驚いた方もいらっしゃるかもしれません。 本記事では、「社会保険」と「国民...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう