イノベーションが求められる昨今のビジネスにおいて、発想力が必要な場面が増えてきている。多くのビジネスパーソンが発想力を鍛えることを求められているだろう。発想力はひらめきといったイメージも強く、発想力を鍛えるというと難しいことに感じてしまう人も多いだろう。
『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』の著者は、物理学を学びデザイナーになったという異色の経歴をもつ。多くの企業で商品開発のメソッドとしての「行為のデザイン」を指導してきた著者は、デザインというスキルはイノベーションを起こすツールなのだという。つまり発想力の源になると考えているのだ。
著者の考えをもとにすれば、デザインというスキルを鍛えることで発想力を鍛えることができる。本書から発想力を鍛えることにつながる「行為のデザイン」の特徴を紹介する。君が発想力を鍛えるための参考になればと思う。
『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』ハイライト
「行為のデザイン」が発想力を鍛える理由
「行為のデザイン」とはユーザーの行動や心理に着目し、環境を視野に入れて、ユーザーがより滑らかに目的の行為を進められるプロダクトやサービスのデザインを考えることである。
「行為のデザイン」において、ユーザーの視点に立つことが発想力を鍛えることにつながる。そして、ユーザーの視点からプロダクトやサービスをデザインすることは、発想力を鍛えることそのものなのだ。
発想力を鍛える「行為のデザイン」の思考プロセス
それでは「行為のデザイン」とは、具体的にどのように思考していくことなのかを紹介しよう。その思考法は、同時に発想力を鍛えるためのヒントにもなっている。
発想力を鍛えるヒント:時間軸
「行為のデザイン」においては、ユーザーの時間軸を考えることが不可欠である。ユーザーが目的を達成するための行為の流れを考え、プロダクトの形状を連想していく。「行為のデザイン」を習得することで、プロダクトと人と環境のインタラクションを俯瞰できるようになる。時間軸を基本としたデザイン力を鍛えることは、発想力を鍛えることにつながっていくだろう。
発想力を鍛えるヒント:想像体験
「行為のデザイン」でユーザーの時間軸を考えるうえで、人、目的、時間、空間という条件を様々に変えていく。ユーザーに起こりうる状況や行動を思い描くことを想像体験という。
想像体験を積んでいくと、どんな人からも良いと評価される核が抽出される。これを形状やコンセプトに組み込むことで、プロダクトの完成度が高くなる。豊かな想像体験を積んでいくことで発想力を鍛えることができる。想像体験そのものが発想力を鍛えることにつながっているからだ。
発想力を鍛えるヒント:バグ
出典:www.flickr.com 想像体験において、ユーザーが使いにくい、分かりにくいと感じる存在、バグが見つかるようになる。このバグについての理解を深めておくことも発想力を鍛えることになるだろう。
バグはパターン化することができる。混乱のバグ、矛盾のバグ、精神的圧迫のバグなどがある。ここでは混乱のバグを紹介しよう。典型例はエレベーターの開閉ボタンだ。開閉が読み取れず、逆のボタンを押してしまう。このバグが混乱のバグである。
それぞれのバグの性質の理解が深まれば、より応用性の高い解決方法をデザインすることができる。バグの性質を理解することは発想力を鍛えることにつながる。
『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』から「行為のデザイン」の特徴をいくつか紹介した。「行為のデザイン」の思考プロセスをだどることで発想力を鍛えることができるということが分かってもらえたと思う。
イノベーションが求められる昨今であるが、イノベーションのためには発想力が不可欠である。発想力を求められながらも、どうやって発想力を鍛えていいか分からず悩んでいるビジネスパーソンは少なくないはずだ。発想力を鍛えるというと、発想力という言葉でぼやっとしてしまうが、デザインというスキルを鍛えると考えれば具体性が高まる。
本書では「行為のデザイン」が具体的に解説されている。デザイナー以外の立場の人でもデザイン思考をいかしたマネジメントができるようにというのが本書の願いなのである。発想力の欠如に悩む君に、発想力を鍛える一歩として本書の「行為のデザイン」を習得することをおすすめする。
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