「銀行の融資担当者」「給与・福利厚生担当者」「金融機関のクレジットアナリスト」……
実はこれらは全て、2014年にオックスフォード大学の研究者らが発表した「10年後になくなる仕事」に挙げられているものだ。しかもこれらはほんの一例で、この先10年〜20年の間に現在のアメリカ人が就いている仕事のうち約47%が、機械やAI(人工知能)にとって代わられるといわれている。
このことについては、かのビル・ゲイツも「創造性を必要としない仕事、たいしたスキルを必要としない仕事は全てコンピュータに代行される。でも誰もまだ心の準備ができていないようだ」と警鐘を鳴らしている。
私たちから仕事を奪うのは、テクノロジーだけではない。規制緩和やグローバリゼーションの波の中で、以前では考えられないことが次々と起き、大企業の破たんやリストラのニュースにすら、もはや誰も驚かなくなってきている。
では、U-NOTE読者諸氏の場合はどうだろう? 「10年後も大丈夫」と言い切れる仕事に就いている人はいったいどれだけいるのだろうか?
一昔前なら20代~30代の若手ビジネスマンは「10年後、20年後のキャリアの目標を明確にし、目標に向かって一歩一歩キャリアアップを図ろう。必要なスキルや資格を取得しよう」と自身のキャリアを「デザイン」することを勧められたものだ。
しかし、10年後、いや5年後の状況すら見当もつかなくなっている今、キャリアを自力でデザインして実現するのは、不可能に近い。では、ビル・ゲイツが指摘する、我々に必要な「心の準備」とはどのようなものなのだろうか。
スキルは「蓄積」ではなく、「更新」せよ!
by F H Mira まずはアメリカの例を見てみよう。
常に時代の最先端をいくシリコンバレーのIT企業では「同じ仕事は2年以上続けるな」という方針を取る企業が多い。
日本的な発想だと「それではスキルが蓄積できないのではないか」と反論したいところだが、彼ら曰く「この変化の速い時代、蓄積されるころには、そのスキルは陳腐化してしまっている。スキルは蓄積するのではなく、更新すべき」なのだ。
例えば転職を考えているのなら「今持っているスキルや資格をどう仕事に活かすか」という発想ではなく、「希望の仕事を手に入れるために、自分に足りないスキルをいかにして短期間に身に付けるのか」という発想で、スキルの更新に取り組むべき。
スキルや資格の価値はすぐに変化してしまうので、特定のスキルにこだわるのでなく、様々なスキルを身に付けてビジネスを取り巻くめまぐるしい変化に対応できる力を磨いた方がよい。
Planned Happenstance(計画された偶然)としての転職を
by flazingo_photos では、先の見えない今の時代、どうやってキャリアをつくっていけばいいのだろうか。ヒントになるのはスタンフォード大のクランボルツが提唱したPlanned Happenstance理論(計画された偶然理論)だ。クランボルツは「キャリアの8割は、予想できない偶然の出来事の積み重ねによって形成される」とし、その偶然を計画的に起こすことによって、自分の望むキャリアをつくっていこうと提唱しする。
そして、自分に良い結果をもたらす可能性の高い偶然を起こすために必要な行動・思考パターンとして、次の5つを挙げている。
1.好奇心
自分の仕事に直接関係がなくても多種多様な事柄に興味を持つ
2.こだわり
いろいろなことに挑戦しつつも、根柢の部分では自分の考えや価値観に
こだわりを持ち続ける
3.柔軟性
どんな変化にも柔軟に対応することで予想外のチャンスをものにできる
4.楽観性
どんな結果であれ、何かしら得るものがあったとポジティブに考えることができる
5.リスクをとる
何もしなくてもリスクが向こうからやってくる時代。自らリスクをとらなければリターンも得られない
もしも今、あなたが自分の将来に漠然とした不安を抱いていたり、今の生活に満足していないのなら、Planned Happenstanceを起こしてみる価値は大いにありそうだ。転職を考えているのなら、転職そのものをPlanned Happenstanceにしてしまってはどうだろうか。
転職をゴールと考えず、転職によってどんな偶然が自分にもたらされるのかを考えてみよう。そんな風に発想を変えるだけで、転職先の幅がずいぶんと広くなるはずだ。
自分の「動機」を知れば、収入は増える!
by Alex E. Proimos もう1つ、キャリアを形成する上で心に留めておきたいのは、自分の「値段」にとらわれすぎないこと。特に転職の時には、「自分の値段=年収」が気になるものだが、それは他者が自分に与える評価の軸にすぎない。他者が自分をどう評価するのかではなく、自分がどう働きたいのかという「自分自身の軸=動機」をもっていないと、たとえ希望通りの年収が手に入るポジションを得たとしても、一時的な「成功」しか手に入れられないだろう。
アメリカのジャーナリスト、スカリー・プロトニックの調査によると、ビジネススクールの卒業生1500人のうち、卒業後「まずは収入第一の仕事に就いて経済的な安定を得てから、好きなことをする」と答えたのは、1245人。一方、「すぐに好きな仕事をする。お金のことは後で考える」と答えたのは、255人に過ぎなかった。
しかし、20年後、収入第一で仕事を選んだ1245人のうち、億万長者になっていたのは、わずか1人。好きなことを仕事にした255人からは100人もの億万長者が生まれていた。億万長者になれるかどうかは別として、目先の収入よりも自分の好きな働き方を優先させた人の方が、結果的に高収入を得る傾向にあることは確かなようだ。目先の年収に惑わされず、自分の動機に忠実にキャリアを進めていけば、おのずから年収も増えてくるということだろう。
「自分の動機がわからない」という人もいるかもしれないが、動機を見つけるのは、実はそう難しくはない。転職支援会社等が提供しているパーソナリティテストを受けてもいいし、転職コンサルタントに会って話を聞いてもらうのもいい。他者に客観的に自分をみてもらうことによって、自分では気づかない動機や適性が見えてくるのだ。10年後の自分をデザインすることは難しいけれど、今の自分を変えることはできる。
まずは、「動機」を見つける一歩を踏み出してみてはどうだろうか。
一歩目には、転職決定数No.1のリクナビNEXTをオススメする。
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