経営者には経営者にふさわしい資質がある。『経営者の心得』の著者は自身が様々な企業の経営者を経験することで、勝ち残る企業に共通する経営者の特徴があることに気付いた。
『経営者の心得』は経営者としてビジネスの最前線で活躍する著者による、経営者のための指南書である。著者は、シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・ エンド・ジョンソン、フィリップなど、グローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。「伝説の外資トップ」という異名をもつ「新将命」氏である。本書では、経営者がもっておくべき資質が提唱されている。現在経営者となっている人だけでなく、経営者を目指す人におすすめの本だ。
そして『経営者の心得』が提唱する経営者の資質は、経営者として成功するためだけに必要な資質とはいえない。経営者の資質とは、場をマネージメントする資質であり、周囲を動かしながら物事を達成させる資質でもある。
志の高いビジネスパーソンであれば、『経営者の心得』で提唱された経営者の資質を学んで、自分のビジネスに活かすことができるはずだ。その経営者の資質とはどういったものなのか、いくつかを紹介しよう。
経営者の性質としての資質
まず経営者の性質としてもっておくべき資質を4つ紹介しよう。
経営者の性質としての資質
- 運・縁・健康
- グローバリストであれ
- 偉大な伝達者
- 失敗から学ぶチャレンジ精神
経営者の性質としての資質① 運・縁・健康
まず経営者にふさわしい者として運・縁・健康の3つに恵まれるという資質が必要だ。運は自らの意思で高めるのは難しいと思うかもしれないが、自分に暗示をかけたり、運のいい人と付き合ったりすることで、高めることができる。
経営者としてふさわしい資質を手にするためには、運・縁・健康を自らマネジメントできるようにしなければならない。
経営者の性質としての資質② グローバリストであれ
現代社会の経営者に必要な資質として、グローバリストであることが挙げられる。外国人を活かす資質をもたなければ、経営者として成功することはできないのだ。
経営者の性質としての資質③ 偉大な伝達者
経営者は社員に対してはもちろん、顧客や取引先などに対し、コミュニケーションの手腕を発揮しなければならない。経営者の資質として偉大な伝達者であることが求められるのだ。社会に対して広く自社の存在意義を伝える活動もコミュニケーションに含まれる。
経営者の性質としての資質④ 失敗から学ぶチャレンジ精神
日本の経営者は改革が苦手だ。過去の成功が将来の成功を妨げていることが多々ある。これからの経営者に必要な資質は、失敗したとしてもそれを学びにするくらいの気概をもってチャレンジする精神である。前向きにひたすら努力を続ければ必ず前より高い水準に成長できるものだ。
経営者の行動としての資質
経営者には着手すべき4つの行動がある。経営者の行動として求められる資質を4つ紹介しよう。
経営者の行動としての資質
- 企業理念の作成
- 目標の設定
- 戦略の立案
- 後継者の育成
経営者の行動としての資質① 企業理念の作成
経営者は企業理念を作成することが求められる。企業理念を作ることで多様な社員の心を1つにし、利害関係者の信頼を得ることにもつながる。優れた企業が掲げる理念には、社会のために実現すべき使命、目指す将来像、社内で意見が割れたときに立ち戻るべき価値観の3つが盛り込まれている。
経営者の行動としての資質② 目標の設定
優れた経営者は背伸びした目標を設定する。社員が当事者意識をもって取り組めるように、目標の設定段階から社員を参加させる工夫も必要である。
経営者の行動としての資質③ 戦略の立案
戦略は全社的な方向性を示すもので、理念と目標に従って経営者が定めることが求められる。正しい戦略を立てるためには、他社が持っていない強みを発揮する差別化や、常に新しいことに挑戦するという視点などが重要となってくる。
経営者の行動としての資質④ 後継者の育成
著者は6年で経営者の座を後継者に譲ることをすすめている。経営者としての旬が過ぎるとアイデアが枯渇し、会社への貢献が減ってしまうからだ。そのため、経営者となった瞬間から後継者の育成をスタートさせなければいけない。
『経営者の心得』から経営者にふさわしい資質をいくつか紹介した。資質とは、本来生まれもった性質という意味であるが、著者は日頃の振る舞いや考え方を変えていくことで資質は身につけられるものだと考えている。
経営者という立場にはならないにしても、高い志をもってビジネスの最前線で活躍しようという野心をもったビジネスパーソンであれば、ぜひ本書を読んでほしい。
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