就職活動において、たとえどんなに就職したい企業が一つあったとしても、他の企業に全くエントリーしないという人はほぼいないだろう。しかし複数の企業の内定を受理することはできない。つまり、少なからず内定辞退をしなければならない場面はあるということだ。書類や面接では「第一志望です」と言った企業に対して内定辞退の連絡を入れるのはなかなか気が引けるもの。また、不誠実な態度がトラブルの原因となる可能性もある……。
今回は、内定辞退の連絡にはどのような方法があるのか、また書面で送付する、すなわち内定辞退届けを提出する場合はどのようなことに気を付ければよいのかについて見ていく。
内定辞退は迅速に
まず、同時にエントリーしていた他の企業からも内定をもらった場合は、どの企業に就職するか当然決めなくてはならない。これから長い間お世話になる場を選ぶのは決して容易なことではないが、あまりゆっくり考えていられるものでもない。内定辞退の連絡はできるだけ迅速に行う必要があるのだ。
採用を決めるまでの過程は就活生にとっても企業側にとっても長いものである。企業説明会から書類選考、面接試験まで様々な手順があり、もちろんコストもかかる。そして採用を決めたあとも、その新入社員に対してまたコストがかかる。
内定を辞退する場合は早く伝えなければ、採用するまでのコストに加えて新たな社員としての対応を無駄にしてしまうのだ。コスト面だけでなく、大量の新入社員に対応しなくてはならない採用担当者にも手間をかけてしまうこととなる。
内定辞退届の提出を求められたら?
内定を辞退する場合は、直接企業に出向くか、電話かメール、手紙といった方法で連絡する。それぞれについて見ていくと、まず直接伝える場合は採用担当者の時間を割いてしまう。電話は、顔は見えないものの声で辞退の旨を直接伝えられるうえに手軽である。メールは電話よりも手軽であるが、その手軽さゆえに丁寧さに欠けるという印象を与えてしまうかもしれない。手紙は、手書きであれば非常に丁寧な方法であるがすぐ届けることができないため急ぎの連絡にはあまり適していないと言える。
以上のことから、内定辞退を伝えるにはまず電話を用いることが望ましいと言える。しかし、企業によっては、取り急ぎとして電話連絡を受け付けても、書面での送付も要求する場合がある。これを内定辞退届と呼ぶが、では実際にどのような書き方で内定辞退届を作成すればよいのだろうか。
正しい内定辞退届の書き方、例
内定辞退届に盛り込むべき内容は以下の五つだ。
①送付する日付、宛て名
②挨拶
③内定をもらったことに対するお礼
④内定を辞退する旨
⑤挨拶
内定辞退届の文章は、感謝と謝罪の意を簡潔に伝えるものにすることが望ましい。また、できればワード文書を印刷し送付するのではなく、丁寧な手書きの文書を送るとより印象がよい。
これらを踏まえた内定辞退届の見本文は、下記である。
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平成○○年〇月○日
株式会社△△△△
人事部 ○○様
拝啓
ますますご清祥のことと、お慶び申し上げます。
△△大学○◯学部△△学科○○ ○○と申します。
先日は、内定のご通知をいただきまして、誠にありがとうございました。
せっかくいただいた内定ではございますが、やりたい方向と適性を何度も考えた結果、 別の企業にお世話になることを決意いたしました。
誠に勝手ではございますが、今回いただきました内定を辞退させていただきたいと思います。
○○様はじめ、御社の採用ご担当の方々に大変お世話になっておきながら、 このようなご返事で本当に申し訳ございません。
今後、貴社が益々発展されることを、心より祈願いたします。ありがとうございました。
敬具
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また、内定辞退届をいれる封筒についても注意が必要だ。
・部署宛であれば、宛て名の末には「御中」と付ける
・必ず赤字で「内定辞退届在中」と書く
・裏面に、自分の住所と氏名を書く
いくつか気を付けるべき点はあるが、電話なり、内定辞退届なりで、きちんと誠意をもって内定辞退の旨を伝えれば、トラブルになることは少ない。就職する・しないに関わらず、企業に対しては常に礼儀正しい対応を心がけるべきだ。
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