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“人事は喫煙室で決まる?” 「タバコ×休憩=タバコミュニケーション」を巡る仕事場での賛否の声

樋口純平

2016/01/08(最終更新日:2016/01/08)


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出典:www.gd-xixi.com
 仕事の合間の休憩に、タバコを吸いに行くビジネスマンをよく見かける。タバコを吸っている人ほど、仕事における貴重な情報を持っていることが多い。例えば、「自分が別の部署に異動するかもしれない」といった人事の情報や、「自分の取引先の企業との取引を円滑に進める方法」といった取引の情報などが喫煙室で情報交換されているのだ。

 他にも、人間関係が広がって良好になったり、簡単な打ち合わせをタバコを吸いながら済ませることができるといった効果がある。タバコを吸うこと自体が、仕事における一つのスキルと言ってもおかしくないのだ。実際に、仕事が有利になる情報を得るために、タバコを吸い始める人も少なくないのだ。こうしたタバコ休憩から生まれる情報交換などを総称して、タバコミュニケーションと呼ばれる

 しかし、タバコミュニケーションを良く思わない人達もいる。それは、非喫煙者である。タバコは健康上有害とされており、健康維持のためにタバコを吸わないことを選択する人が多数を占める。そんな非喫煙者の立場からすれば、喫煙者はタバコを理由に、休憩をとりすぎではないだろうかと不満が出るのは当然だ

そこで今回は、タバコが仕事に与える影響を、タバコ休憩を事例に考えていこう。

タバコ×休憩=タバコミュニケーションの効果

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出典:cityroom.blogs.nytimes.com

タバコミュニケーションの効果①新しく構築される人間関係、深まる信頼関係

 タバコ休憩をするために、多くの喫煙者が喫煙室を訪れるが、その中には他部署の人もいる。他部署の人と何気なく話す機会が生まれ、今後の仕事を一緒にしていく際にも緊張することはなくなるだろう。また、同部署の人でも、タバコ休憩時には、仕事と無関係なプライベートの話で盛り上がったりして、仲良くなることがあるのだ。

タバコミュニケーションの効果②喫煙室は情報交換の場

 他部署の人と人間関係を構築していく過程で、他部署の情報を得ることができる。他部署がどんな仕事をしていて、今どんな状況なのか知ることで、今後の自分について参考になることがあるかもしれない。また、タバコ休憩では、上司と話す機会も多くあり、自分の仕事に役立つ情報を得られることがある。タバコ休憩の会話や情報交換が仕事の効率化に、大きく繋がっているというケースも珍しくないのだ。

タバコミュニケーションの効果③社内人事は喫煙室で決められる

 会社員なら誰もが気になる人事については、喫煙室ではよく話題になる。多くの社員のいるオフィスの場では、口に出しにくい人事の情報も、密室空間である喫煙室であれば、言いやすくなるのだ。タバコ休憩を通して、人事の情報を得ることができるのだ。さらに、タバコ休憩での会話が、人事の動向に影響することもあるのだ。つまり、自分の希望が人事異動の結果に反映される可能性も高くなるのだ。

非喫煙者のタバコ休憩に募る不満

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出典:www.cutsforcancerguelph.ca
 喫煙者が何度かタバコ休憩をとるために、デスクを離れることは暗黙の了解として、お咎めなしとなることが多い。それに対し、非喫煙者が休憩のために、何度かコーヒーを飲みに行ったりすることを批判的な目で見る上司や同僚は多くいる。休憩時間の長さ自体はあまり変わらないのに、非喫煙者の休憩に対する目は厳しいのが現状だ。

 実際、喫煙者のタバコ休憩が1~2時間に1回のペースでとられているのに対して、非喫煙者はお昼ご飯時か3時間~4時間に1回のコーヒー休憩くらいしかとっていない。しかし、労働時間は喫煙者も非喫煙者も同じ時間とされる

 タバコ休憩に対する不満は、時間の問題だけではない。仕事において役立つ情報であったり、自分の今後を左右するような情報もタバコ休憩の場でしか得られないということに対しては、不公平だと感じられずにはいられないだろう。タバコ休憩をとっている人達だけに有益な情報を与えられるのは、その間にも真面目に労働している非喫煙者からすれば、差別と捉えられてもおかしくないほどに、タバコ休憩への不満は広がっているのだ。

今後のタバコミュニケーションの存亡は…?

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出典:en.mercopress.com
 非喫煙者によるタバコ休憩の不満が拡大する一方で、喫煙者としては仕事を効率よく終わらせるためにも、タバコ休憩はとらせてほしいと願わずにはいられない。喫煙者と非喫煙者で割れるタバコミュニケーションに対する意見は、肯定と否定がちょうど半分に分かれている。それだけ、タバコミュニケーションが一長一短であるということだ。

 しかし、タバコミュニケーションに対して、たとえ否定的な意見が肯定的な意見を上回ったとしても、タバコミュニケーションはなくならないだろうと考える人は多い。なぜなら、タバコミュニケーションは長年続いた慣習であり、そう簡単に止めることはできない。また、喫煙者の数も多いことから、会社としては、タバコ休憩を規制してしまえば、職務に支障が出かねない。そのため、タバコ休憩に関しては何も規制できないのだ。

 タバコ休憩が仕事の効率化に繋がっているなどのメリットを考えると、喫煙者としては必要不可欠な休憩である。しかし、喫煙者はタバコ休憩をとることに対して、気を付けならなければならないことがある。それは、喫煙室以外の場での人間関係に悪影響を及ぼさないように、非喫煙者に対して配慮することである。喫煙室での人間関係だけに目を奪われてはならないのだ。


 タバコ休憩が仕事にもたらしている影響が意外に大きいことを知ったのと同時に、タバコ休憩に対して否定的な目で見ている非喫煙者の立場を理解できただろう。確かに、仕事を効率よく進めるのに休憩は不可欠である。タバコを吸うことは個人の趣味であるし、完全に否定することはできない。だからこそ、喫煙者は非喫煙者の休憩に対して、寛容な目で見ようと試みなければならないのではないだろうか。同じ職場の仲間として、格差が生じてはならないのだ。

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