学生時代、「自分がやりたいことを仕事にしよう」と必死に就職活動に取り組み、希望していた会社に入社したにも関わらず、「思っていたのとは違う」とギャップを感じている若手会社員は多いのではないだろうか。「今の会社では自分がやりたいことは実現できない」と思っていながらも、なかなか会社を辞める勇気が出ないものだ。
しかし、本当に自分がやりたいことを実現したいという思いがあるのならば、会社を辞めて独立するという選択も考えなければならない。独立を選択肢とすることに対して、不安を感じる人は少なくない。独立に関する知識やスキルがなければ、独立を選択肢に入れるのは抵抗があるだろう。
そこで今回は、山口 揚平氏の『まだ「会社」にいるの?~「独立前夜」にしておきたいこと~』から、幸福な人生を送るために、理想の独立を実現させる心構えや知識を学んでいこう。
会社を辞めて独立する選択
出典:news.stanford.edu 会社員の8割はグレーカラーと呼ばれる中間管理職であり、責任が大きい割に自分のやりたいことができない。そして、会社の取締役などのホワイトカラー層の流動性が増し、生え抜きである必要がなくなってきた現在、取締役に出世することは難しくなっている。いつの間にか、社会のために働くのではなく、会社という組織維持のために働くことにジレンマを感じずにはいられなくなる。
会社で、自分が培ってきたスキルや知識を会社のためにではなく、社会のために活用したいと思うならば、独立を考えるべきだ。独立を選択肢に入れることを考える時、自分の向き・不向きを不安視する人は多いが、独立に向き・不向きは関係ない。誰でも技術さえ取得すれば、誰でも実現できるものなのである。
自分に素直に生きて、社会に貢献するという理想の独立を実現させるには、以下の4つのプロセスを踏んでいく必要がある。
①会社を辞めてニート状態になる。
②自分が社会にどんな価値を見出せるのか自問自答を繰り返す。
③社会に関係なく好きなことをやるという自由人のポジションに到達する。
④好きなことで一人前に食べていける状態になることである。
好きなことを仕事にして、自立した生活を成り立たせることができて、初めて独立と言えるのだ。
独立前にしておきたいこと
出典:www.instructables.com 独立をするにあたって、クリアしなければならない課題がある。以下2点のうち、どちらかの条件を満たさなければならない。
①自分の実績が会社または業界で上位10%以内に、属している。
②人間的に「いい人」である。
前者の条件を満たすことが難しいのであれば、後者の条件はどうだろうか。会社組織と違い、独立は個人であるため、知識やスキルだけではなく、人間性を直接的に見られることが多い。そのため、会社を辞める前に、会社の同僚や上司などに、客観的に見た自分の評価を尋ねてみるべきだ。
専門知識やスキルを蓄積することができたとしても、精神が不安定であれば、理想の独立を実現させることはできない。独立の基礎となる精神を安定させるためには、期待値が自分のキャパシティに収まる状態を維持すれば良い。つまり、自分の身の丈に合っただけの期待をするように意識し、心に余裕を持たせるのだ。心に余裕が生まれれば、独立に役立つクリエイティブな発想が生まれやすくなるのだ。
健康な精神状態を維持する方法の一つに、オプションコストという技法がある。自分の感情のバイオリズムを客観的にとらえるために、日々の感情を記録する。そして、自分の精神状態が悪化しそうな時期に、旅行など気分転換の予定を前もって入れておくのだ。そうすることで、自分の精神状態に合わせて、自分のケアをするか仕事をするかの2つの選択肢を持つことができるのだ。
幸福な独立を実現させる姿勢とは
出典:startups.co.uk 会社員時代が長ければ長いほど、見失いがちだが、独立してバリューを与えるべき対象は、他者であり社会である。バリューを生み出すために意識すべきことは、相手の期待を明確に汲み取り、期待に応えるまでやり抜くコミットメントが必要である。あらゆる手を使ってでも、相手の期待値を超える働きをすることが、信頼を積み上げることに繋がる。この信頼を積み上げていくことで、理想の独立に近づいていくのだ。
独立すると、数値化されない価値と信用が会社員時代にも増して、重要となる。つまり、どれだけお金を儲けることができたかが重要なのではなく、どれだけ社会に貢献することができたのかが重要なのだ。独立すると、会社の看板ではない新たな信用の土台が必要となる。だから、独立においては、何よりも信頼が貴重な財産となるのだ。
何よりも幸福な独立を実現させるのに必要不可欠なことは、人生のシナリオを複数持つことである。つまり、各方面に人間関係作りを同時進行させるのだ。例えば、地元の友達、起業家仲間、会社の元同僚といった各コミュニティにおける人間関係作りを同時に進めていくのだ。どれかのコミュニティで人間関係作りに行き詰ったとしても、他のコミュニティが独立の強力なリスクヘッジとなるのだ。
独立における知識がなかったことも、会社を辞めることを恐れる一つの要因であったのではないだろうか。自分のやりたいことを実現させるためには、会社を辞めることと独立の二択から選ばなければならないわけではない。他にも選択肢は存在するだろう。しかし、独立という選択肢を熟考することで、まだ持っていない選択肢の幅を広くすることができるのではないだろうか。今の会社で働いている自分について、見直すことから始めてみてはいかがだろうか。
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