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消費行動を科学する。「科学的に売り上げを伸ばす術」が分かる!:『なぜこの店で買ってしまうのか』

Erika Muranaka

2016/01/10(最終更新日:2016/01/10)


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出典:www.flickr.com
 消費行動には法則性がある。今や、あらゆるものごとが学問の俎上にのせられるようになった。人間の消費行動も例外ではない。消費行動の法則性についての知見は、消費者としての君を賢い選択へと導いてくれるだろう。販売者としての君は、大いにこの消費行動の法則性を利用し、売り上げを伸ばしていってほしい。

 『なぜこの店で買ってしまうのか』から、いくつか消費行動の法則性を紹介していこう。一口に消費行動といっても、本書はタイトルからも分かるように、主に店舗における人間の消費行動が科学され、その消費行動の法則性がまとめられている。ショッピングの科学である。

 『なぜこの店で買ってしまうのか』から消費行動の法則性を紹介するとともに、消費行動の法則性を明らかにするショッピングの科学の方法、なぜショッピングにおいて消費行動の法則性が有効となるのかについても触れていこう。

消費行動の法則性をデータから見ていく

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by Pam loves pie
 消費行動の法則性を明らかにしていくショッピングの科学は、調査によるデータがもととなる。君は、買い物客をこっそり尾行しながら、その消費行動を逐一記録する追跡者と呼ばれる仕事が存在していることを知っていただろうか。追跡者は、1日に50人くらいの買い物客の消費行動を記録していく。通常、1つの現場に複数の追跡者が配置される。

 こうして集まった膨大な情報はデータベース化される。例えば、ある店ではカゴを使う客が実際に商品を買う割合が、カゴを使わない客が商品を買う割合よりはるかに上回るというデータが集まれば、カゴを客に使わせるようにすればいいという消費行動の法則性が明らかになるのである。

ショッピングにおいて消費行動の法則性が有効となる理由

 ショッピングが成熟した先進諸国では、既存店のスペースや場所を変えずにいかにビジネスを拡大できるかが重要になってきている。次々と新商品が生まれる中、ブランドの影響力も薄まる。消費者の消費行動が店内での印象や情報に左右されるようになっているのである。

 買い物客は店内にいる時間が長いほど、多くのものを買うという消費行動の法則性が明らかになれば、ショッピングの科学では店内を快適な環境に近づけ、よりよいショッピング環境を創出するのである。

消費行動の法則性を紹介しよう

消費行動の法則性:入り口付近の落とし穴

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 人間は最前線や先頭を重視しがちで、多くの店舗が入り口付近に重要なものを置く傾向がある。しかし消費行動の法則性に照らし合わせれば、それは落とし穴に陥っているのである。

 外から勢いよく入ってきた客は、店の敷居をまたいだ瞬間に急停止することはなく、徐々に店に適応していく。明るさの変化に合わせて目を調節し、だんだん店内の雰囲気になじんでいくのである。

 この入り口付近のゾーンに物を置いても役には立たない。入り口のすぐそばのチラシやカゴは取らないが、3メートル店の奥に移動させればそれらはすぐになくなるのである。

消費行動の法則性:男女の違い

 市場の消費の主力は女性だ。女性はゆったりと店内を歩き、商品や値段を比較し、販売員と話し、試着し、購入するという一連の消費行動を楽しむ。対して男性は売り場を歩く速度が速く、質問をするのが嫌いで、お目当ての品物が見つからなくても助けを求めない。女性の86%が購入時に値札を見るが、男性は72%にとどまる。データからこれら男女の消費行動の違いの法則性が見えてくる。 

消費行動の法則性:女性に男性が合わさると

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 また、女性の消費行動は男性が一緒になると変化する。女性は男性が一緒だと、自分一人のときや他の女性と一緒のときよりも店に滞在する時間が短くなる。退屈した男性がそばにいると、ゆっくり買い物ができないからだ。

 この消費行動の法則性をもとにすれば、店内に男性向け雑誌を読めるスペースをつくるなどして男性が気分よく待てるような工夫をすることが、女性の消費行動を促進させることにもなると分かってくる。

消費行動の法則性:試せることの重要性

 人々は、自分で納得して選びたいとますます強く思うようになっている消費行動の法則性を理解できていない店が多いと著者は言う。食料品の新製品で9割近くが売れ行き不振なのは消費者が好まないからではなく、食べたことがないからだ。消費行動の法則性から考えれば、コストがかかっても試食をしてもらったほうがよい。

 試着が特にものをいうのが衣料品だが、アメリカのある大手アパレルメーカーの試着室は、殺風景で安っぽい更衣室がずらりと並ぶお粗末なものだった。多くの店が消費行動の法則性に気付いていないのである。


 『なぜこの店で買ってしまうのか』から消費行動の法則性をいくつか紹介した。消費者としてもなるほどといった点があるし、販売者であれば具体的に店舗づくりの参考になるだろう。本書ではデータから導き出された普遍的な消費行動の法則性がまとめられている。

 具体的な消費行動の法則性をそれぞれ参考にするのもいいが、客の好みも行動も変化し続けるものだ。人間の消費行動には法則性があるといった視点をもってビジネスをすることが大きな成功につながるのではないだろうか。

 『なぜこの店で買ってしまうのか』には、パッケー ジ、陳列法、店舗のレイアウト、広告にいたるまであらゆることについて消費行動の法則性がまとめてある。一読して、人間の消費行動を科学的に見る目を養ってもらえればと思う。


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