2020年の東京オリンピックもいよいよ迫ってきたと感じさせる昨今、一つの問題が浮上している。それが「国の防犯対策」である。近年話題となっているテロ行為への対策はもちろんのこと、隣国の中国や韓国への政治・軍事情勢にも目を配らねばならない。
「日本は島国で安全だし、そこまで対策する必要はないんじゃない?」と感じているあなた。実は、日本はあなたが思っているほど平和な国とは断言できないのだ。
今回は、イギリスの経済平和研究所(IEP)が発表した「2015年版 グローバル・ピース・インデックス(世界平和度指数)」をご紹介する。尚このランキングは、犯罪率、武器の輸出入、受刑者の数など23の項目を調査し、5段階で評価している。日本を世界でも1位を争う上位国だと感じているあなたの予想は裏切られる結果であろう。
世界平和指数ランキング 1位〜5位の結果発表!
世界平和指数ランキング第1位: アイスランド
by Moyan_Brenn 「世界平和指数ランキング」の栄えある1位に輝いたのは「アイスランド」である。驚くべきは、殺人事件発生率の低さである。国際連合薬物犯罪事務所の「2011年版世界の殺人調査」によると、1999年から2009年までの間においてアイスランドの人口10万人あたりの殺人率は1.8以上になったことないそうだ。つまり年間に1件か2件くらいしか殺人事件が起きない。日本も殺人事件は減っているものの、年間300 件以上は殺人事件が起きている。銃社会とも言われるアイスランドだが、ここまで犯罪率が低い理由は、政府が事前の犯罪対策を強化しているところにある。
アイスランドは島国で豊かな自然に囲まれているなど日本との類似点も多い。日本は犯罪の未然防止を強化するためにも、アイスランドから学ぶべきところが沢山ありそうだ。
世界平和指数ランキング第2位:デンマーク
by Sunday Money 「世界平和指数ランキング」の第2位は、「デンマーク」である。デンマークは、2014年に引き続き第2位にランクインした。実はデンマークは、世界平和指数の基準となる「国民の幸福度ランキング」において世界第3位、「1人あたりの名目GDP」では世界第6位と、多くの分野で上位に位置づけられている。ちなみに首都のコペンハーゲンは、「住みやすい都市」で世界第1位となっている。
その一方で、「国民負担率」は世界第2位、「消費税率」は世界第3位というデータもあるので、「国民負担が多くて大変なのでは?」という疑問もあがってくるかと思う。しかしその分、デンマークは社会制度が充実しており、富が均等に分配される社会である。
日本において消費税の引き上げが議論されているが、そもそもこういった議論は日本政府に信頼がないからなされるもの。デンマークを見習い、「どんな政策を行っても私たちの生活は保障されるから大丈夫」と言われるような国になって欲しい。
世界平和指数ランキング第3位:オーストリア
by Fr Antunes 世界平和指数ランキング第3位は、永世中立国の「オーストリア」である。オーストリアの特徴は、柔軟な外交政策と徹底した中立政策。永世中立国といえば、「スイス」というイメージもあるが、オーストリアも同様に国際的に永世中立国を宣言している。オーストリアの特徴は、柔軟な外交政策と高水準な医療と教育システムである。様々な国籍の人がいるため、お互いの文化を尊重する多文化共生授業も先進的に取り入れているようだ。
世界平和指数ランキング第4位:ニュージーランド
by siyamalan 世界平和指数ランキング第4位は、観光地として人気を集める「ニュージーランド」。ニュージーランドは犯罪率が低く、色々な国籍を持つ外国人が多いことから少数派に対しても寛容な社会である。豊かな自然と綺麗な夜景を一望できるビジネス街を有したニュージーランドは、国民にとっても観光客にとっても優しく、平和な国として上位にランクインしたと考えられる。
世界平和指数ランキング第5位:スイス
by Transformer18 世界平和指数ランキング第5位は、永世中立国の「スイス」である。先ほどオーストリアの説明でも触れたが、スイスは多国間の戦争に関与しないと公言している永世中立国である。スイスといえば、時計や銀行、リゾート地など、世界に代表されるスイスブランドが多いのも特徴。
さらには教育システムも特徴的で、「デュアル・エデュケーション」といった社会にイノベーションをもたらす優秀な人材を育てることを目的とした教育制度を導入している。現にスイスにあるチューリッヒ工科大学からは、現在までに21名ものノーベル賞受賞者を出しているほどだ。
「世界平和指数ランキング」上位国の共通点とは?
「世界平和指数ランキング」の第1位から第5位までの国を見ていると、共通点があることに気づく。下記は、筆者がデータから予想した「世界平和指数が高い国家」になるための5つのポイントである。
「世界平和指数が高い国家」になるための5つのポイント
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①社会保障の充実
- ②犯罪率の低さ(治安の良さ)
- ③高水準な教育制度
- ④豊かな自然と観光地を有している
- ⑤国民の幸福度が高い
この5つが十分に満たされている国は、「世界平和指数ランキング」において上位の国とされる可能性が高い。同時に世界平和指数の低い国家は、これらの基準のどれかを満たしていないということを意味している。
番外編:気になる日本の順位と世界で最も平和指数が低い国とは?
番外編①:気になる日本の順位は?
世界平和指数ランキング第8位:日本
by skyseeker 日本の世界平和指数ランキングは「8位」。この結果を見て、「お! 日本は上位だな」と思う人もいれば、「あれ? てっきり1位かと思った」と思う人もいるだろう。
正直なところ、2008年の日本の世界平和指数ランキングは世界第3位だったので、この結果はあまり喜べない。順位が降下した一番の理由は、尖閣諸島や竹島などの隣国との領土問題である。また日本の国民幸福度も46位と先進国の中では決して高くないことも、理由に挙げられる。先述した5つの世界平和指数上位の条件と照らし合わせると、日本は「社会保障」「国民の幸福度」の点にまだ問題があるのかもしれない。
しかしながらその一方で、日本の豊かな自然や高度な技術、綺麗な街中、そして人々の律儀さは世界中から高い評価を得ているのも事実だ。今問題となっていることに対していかに向き合っていくか、さらに今の日本の良さをどう引きだしていくか。この2つが今後日本の平和指数をあげる鍵となるに違いない。
番外編②:世界で最も平和指数が低い国は?
世界平和指数ランキング第162位:シリア
by Christiaan Triebert 残念ながら世界平和指数の最下位となってしまったのは、中東地域にある「シリア」である。2015年はテロ事件をはじめ空爆の問題など何かと話題にあがることの多かったシリア。確かに最近のニュースを見ていると、国内の情勢が不安定なことは理解できる。シリアに住む住人は子供や女性関係なく、テロや他国からの攻撃に日常的に怯えている。
しかしながら、シリアは一概に危険だとは言い切れない。ダマスカスやアレッポなどの都市には、多くの歴史的建造物が存在した綺麗な町並みであり、国民も皆優しい。現在情勢は逼迫しているが、全てが危険な国ではないことを理解してほしい。
さて、今回は「2015年世界平和指数ランキング」からいくつかの国を紹介してきた。人それぞれに思うことのある結果だったとは思うが、いずれにしろ「世界平和指数」で高評価を受けることほど、国にとって嬉しいことはない。日本も平和な国として評価されるためには、現状問題となっている「社会保障」を充実させ、近隣諸国との「外交問題」を解決し、国民の幸福度を引き上げるべきである。
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