

今も燦然と輝く世界記録・868本の本塁打を打ち、巨人ではV9を達成した王貞治(おう・さだはる)。王貞治は、その活躍から、現役を引退した後もその功績を語り継がれ、“世界の王”とも称される誰もが知る日本の野球界のレジェンドである。王貞治は、現役引退後も監督として素晴らしい成績を収め、1977年に国民栄誉賞を受賞し、2010年には文化功労者として顕彰された。
今回は、世界最高レベルの“結果”を数多く出している王貞治の名言から、人生観やプロとしての心構えが表れている名言をご紹介したい。
プロの心構えを知る、王貞治の名言 #1
努力しても報われないことがあるだろうか。
たとえ結果に結びつかなくても、
努力したということが必ずや生きてくるのではないだろうか。
それでも報われないとしたら、
それはまだ、努力とはいえないのではないだろうか。
これは、王貞治の「努力」に対する考え方がよく表れている名言の一つ。一般的には、努力の美しさが強調され、どのような努力であってもそれは素晴らしいと称える風潮がある。そして、王貞治も努力自体は報われるものであるとしている。しかし、もし報われない状態であるのならば、まだそれは努力の領域ではないという考え方なのだ。
「王貞治は努力家だからこそ、野球界において輝かしい成績を残した」というように、努力の結果として成績がついてきたという順序で考えてしまいがちだ。しかし、王貞治にとっては、この成績や賞賛という結果ありきでこその“努力”なのだ。逆に、そこに達していなければ、それは努力としては成り立たないのである。
そういった王貞治の努力への考え方をふまえれば、努力することが正しいのではなく、「結果が出るまで」努力することが正しいのだ。
プロの心構えを知る、王貞治の名言 #2
自分のためにやってる人が結果的にチームのためになると思う。
自分のためにやる人がね、一番、自分に厳しいですよ。
何々のためとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれてきちゃうものだから。
野球というチームスポーツにおいて、「チームのために」というコメントはよく聞くだろう。しかし王貞治は、自分のために何かをすることが結果的にチームのためになるという名言を残している。チームのためという考え方は、失敗の予防線を張ってしまっていると捉えている。自分のためという言葉には、結果の責任を請け負うという意味合いがあり、そういった状況にあってこそ、自身に厳しく出来るのだろう。
よくテレビドラマや映画などで、恋人のためならパワーが湧いてくるだとか、誰かを守るためならなんでも出来るといったものを見かける。こういったことに関しては、人のために何々することがどうこう以前に、それが自分の幸せでもあるということが前提にあるのだろう。自身の幸せを追求した結果が、人のために何かするということであれば、より感情の理解が出来る。
王貞治の名言からは話が若干脱線してしまったが、あなたが所属する組織の中においても、「自分のため」ということをまずは考え、その後に自身の求めるものにつなげるため、「組織のため」に何かをするということを考えてみるのも良いかもしれない。
プロの心構えを知る、王貞治の名言 #3
最高のものを求める強い気持ちがないと、結果は出ないものなんだよ。
これは、王貞治の仕事に対する姿勢に関する名言である。最高のものを求めるということに関して、最初に仕事に望んだ時は考えていたとしても、それを継続できているだろうか。
限界が見えてくるとどうしても妥協をしてしまいがちだが、王貞治はその妥協を捨て、最高を求める強い気持ちがなければ、結果には結びつかないものだとしている。
その強い気持ちを王貞治は持ち続けられたからこそ、結果に結びついたのだろう。
プロの心構えを知る、王貞治の名言 #4
僕は人生は円だと思ってきました。
朝があれば、昼があり、夜があって、朝がくる。
季節で言えば冬がくれば、春、夏、秋がきて。
これはもう止めようがありません。
人間もサイクルみたいなものがあって、
調子がいいときもあれば、悪いときもある。
王貞治の人生観がわかる名言。人間良い時悪い時があるが、それを時の流れや季節の変化と同様であると捉えている。
この名言から読み取れるのは、王貞治は一喜一憂しないということだ。よい時も悪い時も、それらは一時的なものと捉え、次に向かう。そういった考えを持っていたからこそ、王貞治は、多少の調子の波を飲み込み、継続的に結果を出し続けられていたのだろう。
プロの心構えを知る、王貞治の名言 #5
よく「人間だからミスはするもんだよ」と言う人がいますが、
初めからそう思ってやる人は、必ずミスをするんです。
基本的にプロというのは、ミスをしてはいけないんですよ。
プロは自分のことを、人間だなんて思っちゃいけないんです。
百回やっても、千回やっても絶対俺はちゃんとできる、
という強い気持ちを持って臨んで初めてプロと言えるんです。
真剣で斬り合いの勝負をしていた昔の武士が
『時にはミスもある』なんて思っていたら、自らの命に関わってしまう。
だから彼らは、絶対にそういう思いは、持っていなかったはずです。
時代は違えど、命懸けの勝負をしているかどうかですよ。
こちらも、プロということに対しての王貞治の心構えが分かる名言である。
ミスというものは失敗と違って、意図があって起こるものではない。そのためミスは不可抗力として、しょうがないと考えられがちであるが、王貞治はプロはミスはしてはいけないと述べている。
ミスは不可抗力であるので、100%防ぐというのは不可能であるので、これはミスをしてはならないという王貞治の心構えだろう。王貞治は、100%防げるものでないからミスはしょうがないという捉え方を、最初からしてはならないとしている。
ミスは、完全でなくても意識次第で極限まで防ぐことはできる。ミスを起こしてはならないという緊張感を持つことで、より細部まで意識が行き届く。王貞治は、ミスを前提におかず、自信と緊張感を常に持ってこそプロと呼べると、この名言で示唆している。
王貞治の名言には、仕事や人生に生かせる心構えが多くあったのではないだろうか。王貞治自信が、これらの名言の心構えを実践し、努力を怠らず常にストイックに仕事に臨んで大きな功績を残したことで、その正当性は証明されているだろう。
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