社会の在り方やビジネスの形が大きく変容していく現在、まだ見ぬ未来のビジネスチャンスが現れる可能性も大きくなってきている。また、それに伴って、顧客も変化していくだろう。そんなまだ見ぬ未来に対して、どのように対応していくことが正解なのかも分からない。
「未来の顧客がどのような顧客であるのかさえ分かれば、ビジネスで成功を果たすことができるのに」と、夢のように語っているビジネスマンも多いのではないだろうか。しかし、そんな未来予測も夢ではない思考術が存在するのだ。また、ビジネスに限らず、あらゆる未来を見通す思考力を養うことができるのだ。
そこで今回は、宇田 左近氏、平野 敦士 カール氏、菅野 誠二氏の3人が著し、大前 研一氏が監修した『プロフェッショナル シンキング』から、あらゆる未来を予測する思考術を身につけ、自分の未来を明るいものにしていくとしよう。
未来を予測する思考力を鍛えるコツ
出典:www.seattleglobalist.com 毎日、仕事に取り組んでいく過程で、思考せず、とりあえず上司の指示に従って動くことに慣れてしまってはいないだろうか。また、形式的な会議などの組織の慣例を、ただ何となく思考せずに、受け入れてはいないだろうか。与えられた業務を順番にこなしていくことが正解なのだろうか。もし自分が当てはまってしまっていると感じたなら、本当に今、何が必要なのか思考する癖を身につける必要性がある。
思考力を身につけるには、日頃から思考するように意識することだ。例えば、家を購入する時は、数年後、十数年後の未来を思考してみる。さらに、良いシナリオと悪いシナリオの2つの未来のパターンを思考するのだ。日常生活の中で、何かしら選択を迫られた時など、このように思考してみるようにすると、自然と思考力は身についてくる。答えのないことについて、思考してみると、なお良いだろう。
未来を予測し、創造する思考術とは
出典:patcegan.wordpress.com 未来には2つのパターンがある。「ある程度予測できる未来」と「新しく創り出す未来」の2つである。前者の「ある程度予測できる未来」を思考するには、今現在に目を向けなければならない。例えば、人口構造の変化など、現在の社会で起きている変化にアンテナを巡らすことで、未来の社会がどのようになるのか、ある程度予測することができるのだ。このアンテナを巡らすことが、未来を予測する思考術の1つだ。
次に、後者の「新しく創り出す未来」を思考する方法は2つある。1つは、「デザイン思考」である。過去の実績や成功にとらわれず、顧客の問題解決や願望を叶える商品をデザイン先行で考え、試作品を使って顧客の反応を見るという思考術だ。もう1つは、「プラットフォーム戦略思考」である。この戦略思考を用いて、多くの企業が成功している。
「プラットフォーム戦略思考」とは、1つの企業で完結する「メーカー思考」と違い、複数の企業をひとつの土台にまとめている戦略思考だ。多くの企業が参加する、価値のある場を作り、集客できれば、そこから口コミが生まれ、ビジネスの生態系ができるという戦略である。今までにない新しいものを生み出していくなら、メーカー思考よりプラットフォーム戦略思考の方が可能性が高いことが分かるだろう。このプラットフォーム戦略思考こそが、新しい未来を創造する思考術なのだ。
未来の顧客を予測する3つの思考術
出典:stylecaster.com まず、「事業構造」から顧客を予測する思考術をご紹介しよう。この思考をする前に、顧客は誰かを明確にする。例えば、製造業の場合、流通チャネルである小売店の決定権が強い場合、最終的なユーザーよりも小売店を顧客としてとらえる場合もあるからだ。また、事業の決定に大きな影響を与える「ビジネス・ドライバー(推進力)」を見極めることで、「ビジネス・ドライバーによって未来の顧客はどう変わっていくのか」を予測することができるのだ。
次に、「時間軸」から顧客を予測する思考術をご紹介しよう。まず、遠い未来の顧客のライフスタイルについて思考する。そして、自分が思い描く遠い未来に、ある程度予測できる未来から、どのようにアプローチしていけば良いのか思考するのである。つまり、最終目標(遠い未来)から逆算していく思考術だ。
最後に、「個人の内面」から顧客を予測する思考術をご紹介しよう。前の2つの思考術と違って、小さな枠組みの中で顧客について思考していく。例えば、人には欲求が存在する。その欲求は表面的に出てくるものもあれば、そうでないものもある。その欲求をあらゆる観点から考察し、未来の顧客が本当に欲しているのは何なのか思考するのだ。
未来を明確に予測することは、様々な要素が未来を形作っていることを理解していれば、どれだけ困難なことであるか分かるだろう。しかし、明確には分からずとも、少しなら未来を予測することができる。この未来の情報を少しでも得ている者が、未来のビジネスチャンスを掴めるのだ。今に全力で取り組むのも良いが、未来を視野に入れてみることで、より今が有意義な時間となるのではないだろうか。
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