日本人なら誰でも知っている巨大小売業チェーン、ドン・キホーテ。海外観光客が増えた今、免税店であるドン・キホーテは日本のみならず海外にも確実に名を広げている。
その魅力はご存知の通り、深夜遅くまでの営業、豊富な品揃え、驚きの低価格などで、学生から大人まで、その恩恵にあずかる利用者は後を絶たない。
2015年には高級住宅街である港区白金に新店舗をオープンし、世間を騒がせた。そんなドン・キホーテだが、店ばかりが名をとどろかせ、創業者について知る人はあまりいないのではないだろうか。
そこで本記事では創業者にフォーカスし、ドン・キホーテ経営の成功の誕生秘話をご紹介しよう。
激安の殿堂、ドン・キホーテ創業者・安田隆夫氏
出典:www.reuters.com ドン・キホーテの創業者である安田隆夫氏は、岐阜県出身。若いころは悪ガキとして有名だったが、休み時間には一人読書をするような勉強好きの一面も持っていたようだ。
彼は高校卒業後上京し慶應義塾大学法学部を卒業後、不動産会社に勤務するが倒産してしまう。そしてその後、若干29歳で東京都杉並区に雑貨店「泥棒市場」をオープンするのだが、これが今のドン・キホーテの出発点となった。
その店舗の成功の理由がまさに今のドン・キホーテの特徴でもある「圧縮陳列」「手書きPOPの洪水」「ナイトマーケットの発見と深夜営業」だったのだ。そしてこれらは、いずれも創業者である安田隆夫氏の強運が引き寄せた偶然の産物だった。
ドン・キホーテ創業者が見つけた宝の山
出典:www.cnbc.com 小売店「泥棒市場」を立ち上げたものの、学生時代遊びほうけていた若き頃のドン・キホーテ創業者・安田氏は、お金も信用も持っていない。まともな仕入れができないうえに売り上げが伸びず、悩み続けていた。そんな彼にあるとき素晴らしいアイディアが浮かぶ。
それが、大手メーカーや問屋の裏側にある廃盤品に手をつけることだった。それらはメーカーや問屋が売り残してしまい、倉庫に眠ってしまっている、いわば不良債権だった。メーカー側にとってはすでに不要なごみ同然のものであるのだが、安田氏はそれを宝の山と考えたのだ。
そこで創業者安田氏はメーカーや問屋に何度も足を運び、その大量の売れ残りの買い取りに取り付けた。そして手に入れた膨大の商品を早速店頭に並べ、手書きの広告を大量に作ったのだ。これが現在のドン・キホーテでは馴染みの、いわゆる「圧縮陳列」そして「手書きPOP洪水」だ。
これが以外にも消費者に受けた。コスト削減のため商品は並べるだけぎゅうぎゅうに並べ、価格表示は手作り、そんなけち臭い創業者の嗜好がドン・キホーテのアイデンティティとなり、逆に親しみを持たれたのである。
強運創業者・安田氏がこだわる深夜営業の重要性
低価格商品によって売り上げが徐々に上がっていった安田氏に再び幸運が訪れたのは、入荷した大量の商品を深夜に整理しているときだった。
従業員の人手不足のため、業務時間の終わった深夜に作業を行っていたところ、営業中と勘違いした客が店に立ち寄ったのだ。そして、そのとき一円でも儲けを出したかった安田氏は、深夜時間にも関わらず接客を行った。
するとそこから、意外なほど多くの客が来るようになったのだ。当時深夜に営業している小売店はほとんどなかったのがその理由だった。アルコールのせいか、酔っぱらいの客ならなおさら、ふざけたような商品も面白がって買ってくれた。
深夜営業が儲かるという事実がこうして発見され、大成功をおさめた安田氏はドン・キホーテを開業し、創業者となるのだ。今のドン・キホーテの特徴は、すべて「泥棒市場」時代に培われたものだったのだ。
ただの低価格・深夜営業で終わらせない創業者のこだわり
出典:www.ptraveler.com ドン・キホーテのコンセプトは「CV(コンビニエンス)+D(ディスカウント)+A(アミューズメント)」である。
以前の店で深夜営業や低価格商品で客足を増やした安田氏は、さらにドン・キホーテの創業者となり店舗を展開するうえで、アミューズメントという付加価値を付け加えた。
たしかに、ドン・キホーテに足を運んだことのある人なら誰でも、その派手な外観や店内を流れるドン・キホーテのテーマソング、夜になっても賑やかさの衰えない店内に、お祭りのような感覚を覚えたことがあるのではないだろうか。
創業者のこだわりや突拍子の無い思い付きが、いつの間にか顧客にとって心地の良いものとなっていく。ドン・キホーテはまさにそういった創業者のマジックによって付加価値が形成されているのだろう。
これらのエピソードから分かる通り、創業者・安田氏がドン・キホーテを成功させている要因は、消費者のニーズを目に止める速さと常識にとらわれずに実行してしまう豪快さだ。それらに同氏の強運が相まって、ここまでの巨大チェーン、ドン・キホーテを生み出したと言えるのだ。
彼は人の心を掴むことを本気で考え続けたために成功の鍵に素早く気づくことができ、さらにそれを実行することができたのだろう。そしてそんな創業者の頑張りに幸運の女神も微笑み、ドン・キホーテの成功をもたらしたのかもしれない。
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