画期的なアイデアから、どんどん進歩していく技術。私達の生きる社会の風景は、様々な価値観から生まれたアイデアによって、時と共に変化していった。このような画期的なアイデアは、日常の些細なことの中から思い浮かぶことが多いようだ。つまり、アイデアを発想する人は、一見何ともない日常の物事から、価値を生み出すことができるのだ。
彼らのような人間は、自分の価値観から、多くの人が必要としてるであろうニーズを発見し、そのニーズに応えられる価値を持つものを自分で創造できる人間なのだ。とはいえ、自分だけで価値を見出すのはなかなかに難しいものがある。
そこで今回は、前刀 禎明氏の『人を感動させる仕事 〜僕がソニー、ディズニー、アップルで学んだこと〜』を取り上げたい。前刀氏は、2004年3月にアップルのマーケティング担当バイス・プレジデントに就任し、日本独自のマーケティング手法で、日本にiPod miniを大ヒットさせた実績を持つ。前刀氏が語る、自分だけで価値を見出せる能力を養い、他者にはない自分だけの価値を創造していくとしよう。
自分にしかできないもの“スイートスポット”とは
出典:www.tnooz.com まず、他人にはできない、自分のオリジナリティに溢れた価値あるアイデアを生み出せる人になるためには、自分にしか創造できない価値「スイートスポット」を確立させることが不可欠である。
他人が価値があると判断できそうなスイートスポットを確立させるには、セルフ・イノベーション(自己革新)を絶えず繰り返す必要がある。そこで、セルフ・イノベーションを実現するための3つのステップをご紹介しよう。
まずは、「感じる」ことである。つまり、自分の身の回りの物事を、自分の五感駆使して観察するのだ。注意深く観察するのだが、考えすぎてもいけない。物事の価値を発見するのに、思考に重きを置き過ぎてはならない。
次に、「考える」ことである。感じることで、発見した物事の価値について思考するのだ。まず、様々な観点を持つこと(多面的に物事を見つめること)を意識しよう。そして、様々な観点から物事の価値を見ることで得た情報の中で、関連性があるものはないか思考しよう。ここで、始めて閃きや直感がとなるのだ。
最後に、「行動する」ことである。感じて考えた結果から、アクションを起こすのだ。その際は、価値ある自分のアイデアを「自分が成功させるんだ!」という意識を強く持つようにしよう。トライアンドエラーを繰り返して、アイデアの価値は上がっていくものであるが、失敗を前提にしてはならない。このようなステップを踏んで、セルフ・イノベーションは実現されるのだ。
自分の感覚や思考力を磨くコツ
出典:articles.bplans.com 現代で暮らす私達は、常に情報化社会の中を生きている。生活の中で、あらゆる物事について考える時、自分の感覚や思考力に頼らず、インターネットで検索して調べてしまう。
しかし、これが自分の思考力を衰えさせていることにお気づきだろうか。自分の思考に、情報機器が介入してしまうことで、自分自身の思考プロセスが排除されてしまっているのだ。これでは、いつまで経っても価値あるアイデアを創造することはできない。
自分の思考力を磨くなら、情報機器を排除した環境に身を置いてみるといいだろう。昔は自分の感覚が得た情報が正確なものであるか分からなかった。そのため、その情報が正確なものであるかどうか、自分で判断するために、自分自身の思考プロセスが必要だったのだ。
このように、日常生活の中で感じたことを思考することを繰り返すことで、思考力が磨かれ、自分だけの価値あるアイデアを生み出すことができるようになる。私達はすぐに一般的な(他者によって評価された)答えを求めがちであるが、自分オリジナルの価値を生み出したいのならば、自分の答えを自分の思考を用いて出してみるべきなのだ。
自分らしさを確立する“マイナス1(ワン)プラスi(アイ)”とは
出典:napervillemagazine.com 私達は成長するために、他人のアドバイスを素直に聞き入れて、自分に取り入れようとする姿勢を重要視しがちである。しかし、それだけでは足りないのだ。自分らしい自分だけの価値を確立させるには、一般的な前提条件を外し(マイナス1)、自分ならどうするか思考する(プラスi)という、思考法を用いることが重要なのだ。
スターバックスを例に、マイナス1プラスiの事例をご紹介しよう。スターバックスが店内全面禁煙を実施しているのはご存知だろうが、一般的な考え方だと、全面禁煙にすることで、客は減ってしまうのではないかと考えるのだろう。
この前提を無くす、これがマイナス1である。そして「コーヒーを味わうのに、タバコの煙は邪魔」という自分の(ブランドとしての)価値観を徹底させた。これが、プラスiである。
つまり何が言いたいかというと、一般的な考え方と違うことを恐れていては、自分だけのオリジナル・アイデアを生み出すことはできないのだ。何事においても、自分なりの思考をしてみると、他者にはない自分だけの価値を確立することができるようになるだろう。
私達は、仕事で新しい組織に身を置いたとき、その組織での経験なしでは自分の価値観に頼ることを恐れてしまいがちだ。しかし、経験がないからこそ、自分の感覚と思考力を駆使して、自分だけの価値を組織へ提供することができるという点を忘却してはならない。それができれば、組織内でも一目を置かれる価値ある人材と見なされるだろう。既に、一般的な前提に基づいて、無意識にしていることが生活の中に多くあるのではないだろうか。今一度、自分を見直してみて欲しい。
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